たたかうあるみさんのブログMKⅡ

み~んなそろって、闘争勝利!でもやっぱりメットは、白でしょ⁉ということにしておこう。

容量がいっぱいになった「たたかうあるみさんのブログ」を移動して、2020年7月に新たに開設した、共産趣味鉄道ヲタブログ⁉…旅行、萌え系ネタ⁉もあります。

#朝鮮学校

レイシズムとは何かー梁英聖(その6)

 その5の続き
第六章 日本のレイシズムはいかに暴力に加担したのか
 
この章では六~七十年代の朝鮮高校生徒襲撃、八~九十年代のチマチョゴリ切り裂き事件、そしてゼロ年代以降の在特会の登場を中心に、戦後日本における差別扇動メカニズムを分析したものである。

①朝高生襲撃事件型=反共主義の極右による非公然かつ直接の差別扇動
 これは国士館高校・大学を拠点とする極右学生が、朝鮮学校に通う主に高校生(中学生も含む)を狙って起こした集団暴行・リンチ事件である。殺人にまでエスカレートしたケースもある。国会議事録によれば、一九七三年七月四日赤松勇議員「(六六年以降)国士館及び帝京商工など二校の朝鮮人高校生に対する暴力事件は、市民を含めて計五六〇回事件を起こしている」とあり、「国士館高校・大学を拠点とする極右組織による、反共主義イデオロギーに基づいた反朝鮮総連・朝鮮学校に対する意識的な差別扇動が、意図的・組織的に引き起こした事件」p201だ。国士館は右翼的な教育を行う大学、学校だが、加害者に暴力を振るわせるのは、国士館の教育一般によるものではなく、リーダーの役割を果たす具体的な極右組織であり、極右の差別扇動は殺人を含む深刻な暴力を実際に生み出したのである。
 七三年以降沈静化したのだが、これは国士館学生による暴力が暴走し、日本人にまで被害が及ぶことで社会問題になったからである。つまりレイシズム問題としてではなく、日本国憲法と境域基本法に国士館が違反していたので「解決した」というものだ。ただし、極右組織の活動を停滞あるいは消滅させれば、暴力事件も発生しなくなるということも分かるだろう。
②チマチョゴリ切り裂き事件型=「普通の人」による自然発生的暴力型
 本書では九四年六月の事例が紹介されている。こういった事件は一九九八年八月に約七〇件発生しており、三度の大きな「チマチョゴリ事件」がある。特徴として、
 第一 極右ではなく、「普通の人」による自然発生的な犯行が中心
 第二 被害者が女性や低学年児童にまで拡大し、とくにセクシズム暴力が激増
 第三 朝鮮半島情勢・日朝関係が悪化したり、在日コリアンへのバッシングがマスコミで行われる時に集中
 という点だ。極右による差別扇動が見当たらず、その代わり政治による差別扇動によって起ったといえる。政府・マスコミによる北朝鮮バッシングは、グローバル化と冷戦構造崩壊後の米国の東アジア戦略に沿う形で「カントリーリスク」に対応すべく日本が軍事大国化(日本の仮想敵はソ連から北朝鮮にシフト)する中で起こった事件である。 
 そして、政治による差別扇動が八十年代末から三〇年近くにわたり日本でレイシズムを増大させた結果、新しい二一世紀型差別扇動回路が現れた。これが
③在特会型=政治による差別扇動が生んだ、遊び半分で暴力を組織する日本型極右の脅威
 二〇〇七年、在特会という極右組織が結成・活動開始した。樋口直人氏は①正面からレイシズムを掲げ②継続的に組織化され③インターネットを通じて「普通の人」の動員に成功と分析している。
 彼らの活動は、以下のように分類分けされている。
 ①街宣型…いわゆる「ヘイトスピーチ」街頭で公然と行われるデモや街宣を行うもの
 ②襲撃型…京都朝鮮学校襲撃事件、徳島県教祖襲撃事件 人種化された個人・団体・地域にダメージ 
 を与えるための組織的・計画的暴力を行うもの
 ③キャンペーン型…社会運動としての差別 SNSや出版物を通じて、具体的な獲得目標と人種差別の
 方法を提示し、それら人種差別を一斉に行うよう呼びかけるアクションをするもの
 ・入管に在日コリアンを通報して国外退去させるキャンペーン
 ・朝鮮学校への補助金を廃止させるよう自治体に要請する
 ・あいちトリエンナーレを主催した愛知県知事をリコール
 ・朝鮮学校の高校無償化除外に反対した弁護士会や個々の弁護士への不当懲戒請求事件
議会進出型…日本第一党、日本国民党、無所属 選挙でレイシズム扇動を行うもの
 日本第一党は、二〇一六年、在特会創設者桜井誠が立ち上げ「外国人に対する生活保護を廃止します」をはじめ、公然と排外主義を掲げる極右政党である。なお二〇一九年四月の統一地方選挙は、選挙を通じてヘイトスピーチを拡散する人物、当選するために差別を活用する人物、かつて酷い差別を繰り返したことがある人物、差別を扇動するために議員になろうとする人物が非常に多く見られ、NGO反レイシズム情報センター(ARIC)調査では、四九名もの極右が選挙に立候補していることが明らかになっている。
在特会(新しい極右勢力)
 政治による差別扇動が自然発生的に草の根の極右を組織するまでに拡大した結果、かれら極右がSNSや街宣や後援会や出版物などを通じて「普通の人」のレイシズム暴力を大々的に扇動している。日本には反極右という反差別ブレーキが存在しないため、欧州のような「適合ジレンマ」が発生しない。そのため、極右になることのハードルが恐ろしく低く、極右にならなくとも自民党や保守的市民として簡単に差別ができる。一方で差別するのに飽きたり嫌になったり、あるいはごく小規模での抗議でさえその活動が後退する特徴がある。こ
 こで重要なことは、極右活動へのカウンターとヘイトウォッチである。極右・へイトクライム・レイシズムへの監視活動が、欧米では重要な反レイシズム実践となっている。継続して極右やレイシズムのデータを収集し分析し公表することで、差別と極右台頭の危険性を社会に可視化させるのだ。
 極右なき戦後日本社会に極右組織の結成を用意した背景は、歴史否定である。欧州のホロコースト否定は、レイシズムに基づくヘイトスピーチの一類型とされ、処罰の対象である。一方、日本版歴史否定論は一九九〇年代から急速に台頭した。高橋哲哉氏は日本版の歴史否定論が、ホロコースト否定論と「同レベルの最悪の修正主義に近づいている」と指摘している。
 欧州ではホロコーストの歴史が公的な記憶として公認され、ネオナチも規制されている。反レイシズム規範があるので、それに対するバックラッシュとしてのホロコースト否定が起こっている。しかし日本版歴史否定の場合、アジア侵略と植民地支配の歴史が公的な記憶となっておらず、ようやく九〇年代にアジアの被害者が「証言」を始めたことが直接の攻撃の引き金となっている。
 日本軍「慰安婦」の存在が社会問題になったのは、一九九〇年六月国会で社会党本岡昭次が日本軍「慰安婦」の実態調査を要求、労働省職業安定局が「民間の業者が軍とともに連れ歩いた」「調査はできかねる」答弁を受けて、九一年八月一四日、金学順さんが実名で名乗り出て日本政府を告発したものだ。日本政府の歴史否認が契機となっているのだ。
 九三年河野談話では「軍の関与」を認めたが、それが何であるかはあいまいなままにされ、九五年村山談話では「植民地支配と侵略」に謝罪を行うも法的責任については明確にせず、レイシズムや歴史否定と闘うという具体策もなかった。
 九六年「新しい歴史教科書をつくる会」 九七年「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」(事務局長:安倍晋三) 小林よしのり「戦争論」と歴史否定の動きが激しくなる中で、二〇〇一年 安倍晋三はNHKに圧力をかけ、女性国際戦犯法廷取材番組の改編させた。歴史否定を使って極右が攻勢をかければ、国や自治体はもちろん政治家やマスコミさえ沈黙し、ほとんど南の抵抗もなくレイシズムが増大するという、二一世紀日本で日々みられるパターンが確立してしまったのである。
 日本の慰安婦ヘイトは差別が許される状況下で、最も威力のある武器として活用されている、一般庶民やマイノリティや社会運動家や人権や反差別を訴える著名人を攻撃する際に「慰安婦」ヘイトがフル活用されている。性暴力を告発した伊藤詩織氏への攻撃がその典型例で、彼女を「慰安婦」被害者になぞらえ、ウソツキだと中傷し続けている。
 これほど反差別ブレーキが存在せず「慰安婦」ヘイトをはじめとする歴史否定論が何の抑止にも出会わずに、しかも官民それぞれの極右勢力によって三〇年以上継続されている国は、先進国では日本のほかにない。歴史否定の動きは今に至るまで放置され、加速され続ける、第二次安倍政権発足後二〇一二年末以降は、政権主導で歴史否定が行われている。アジアの侵略史が真相究明レベルから不十分であり、必要なジャッジメントもなされていないのが現実だ。
 今や日本版の歴史否定はグローバル化の動きがみられる。「慰安婦」ヘイトは現時点では日本でしか通用せず、世界では悪質なレイシズム特にセクシズムだとして一顧だにされることはないのだが、欧米のネオナチや白人至上主義者らが「慰安婦」ヘイトを、自らのホロコースト否定や黒人奴隷制擁護の歴史否定論を正当化するために用いることもある得るだろう。
 また現代はレイシズムの商品化、産業化による差別扇動が問題がある。「戦争論」「マンガ嫌韓流」をはじめ、「Will」「SAPIO」「Hanada」「正論」など、ヘイト本と称される差別・ヘイトスピーチを商品化したコンテンツは一般の書店で山積みされ、自由に購入できる状況だ。
 ネットでの差別扇動は「保守速報」「大韓民国民間報道」などがあり、後者は大学院卒の二五歳の男性が金もうけのために作ったものだ。アクセス数を稼ぐためにレイシズムを扇動していた。売れれば差別だろうがジェノサイド扇動だろうが商品として流通し、その商品の力、資本の力によってレイシズムが扇動されてしまう時代なのだ。(つづくよ)

レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]
レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]

レイシズムとは何かー梁英聖(その5)

 その4の続き、けっこう重要なところである。
第五章 一九五二年体制
 ところで、日本には人種差別を公然の目的にした差別政策や法律はない。国籍さえ取得すれば国民としての権利を十全に享受できる(タテマエとなっている)。では日本におけるレイシズム、在日韓国・朝鮮人に対する差別の根源は何か?それが一九五二年体制と呼ばれる入管法制である。
 一九五二年体制は、出入国管理令(入管法①)外国人登録法(外登法②)法律第一二六号(法一二六③)を柱とする入管法制である。なお、以下に日本の朝鮮人支配の変遷を示す(これは重要!)
図表12 レイシズムとは何か_0001
それをかいつまんで説明すると
・植民地支配時代の朝鮮人支配の枠組み
「日本国籍の壁」によって朝鮮人を囲い込み
「国籍の壁」から出られないようにカギをかけ
その上で戸籍と言う「レイシズムの壁」を法制度として貫く 
(ちなみに上記の図をみれば、植民地時代「朝鮮人も同じ日本人であった」などとうてい言えないことは一目瞭然である)
・GHQ占領期…日本の国籍によって閉じ込めると同時に戸籍によって差別化をはかる方法を踏襲
 一九四五年十一月一日「初期の基本指令」「台湾系中国人及び朝鮮人を、軍事安全の許す限り解放民族としてとりあつかう。彼らは本指令に使用されている「日本人」という語には含まれないが、彼らは、日本臣民であったのであって、必要の場合には、貴官は、敵国民として処遇してよい」これが、日本政府が在日コリアンをレイシズム対象として扱うことを許す条件になる。一九四五年十二月「戸籍法の適用を受けざる者」と言う表現で参政権「停止」し、一九四七年五月二日 外登令(外国人の入国を減速禁止、国内にいる外国人の登録義務)において「朝鮮戸籍令の適用を受けるべきもの」「適用については当分の間外国人とみなされる」これが朝鮮人弾圧法になったのだ!
 一九四八、四九年には朝鮮人学校強制閉鎖令が出されたが、これは在日朝鮮人が「日本国民」だから日本の学校に通うべき!というもので、外登法では外国人、学校教育では日本人とされている。「日本国籍と戸籍の使い分けは、むしろレイシズム政策を一貫させる道具だった」p180のである。
・四・二八サンフランシスコ講和条約発効…外地戸籍者を一律に日本国籍喪失させる暴挙!法務民事局長通達第四三八号
 これがなぜ問題かというと
①そもそもサンフランシスコ講和条約にはなんら在日朝鮮人の国籍について規定がない。
②サ条約を審議した講和会議には一人も朝鮮人が出席していない
③国籍選択権が一切認められていない
④憲法違反である(法律で国籍を定めるとする憲法第十条)
 こうしてみると、植民地時代、GHQ時代、五二年以後とは、一貫して朝鮮人を人種化して日本人と分けるレイシズム政策が貫徹しており、それが国籍と戸籍の二つの制度によって支えられてきた。また特徴として「公的な体系性をもった明示的プランではなく、むしろ国籍と戸籍を恣意的に使い分け、官憲の広範な裁量に依拠している」p182のである。
一九五二年体制と在日特権―法一二六という元祖「在日特権」…一般法としての入管法(入管法と外登法)と、その例外を規定する特別法
 入管法では、旅券もビザも無い外国人は日本に入国することができない。だが在日朝鮮人には当然ながら旅券もビザも無い…不法滞在の「外国人」が六十万も一夜にして増える。それを「解決」するための特別法が、法一二六なのだ。
 法一二六は、朝鮮人、台湾人という旧植民地出身者にのみ、特別に在留資格なしで在留してよいと定めたもので、ただし優遇措置ではなく。在留資格なしという極めて不安定な状況に追い込むレイシズム政策だ。すべての在日コリアンは含まれず、①一九四五年九月二日から五二年四月二八日まで引き続き日本に在住した朝鮮人②その朝鮮人が五二年四月二八日まで出生した子に限定。一度でも朝鮮半島と行き来した者、朝鮮戦争の難を逃れてやってきた者は含まれない。法一二六によって在留資格なしで滞在できた在日から生まれた子については、何の規定も無いのである。
 「特定在留」は三年に一度更新しなければならない不安定な法的地位、その子(孫)は在留期限の更新が一年もしくは三年の「特別在留」とされる。「在日朝鮮人の歴史と実情を踏まえその存在を公認して生活の権利を保障した政策ではまったくない。反対に無理やり国籍を失わせた在日を当面居てよいとする極めて場当たり的例外的な措置にほかならない。」P186のだ。
 五二年体制の一般法部分は、二〇〇九年の大改正によって外登法が廃止され、入管法に吸収1本化した。特別法部分は、六六年入管特別法(日韓法的地位協定時の協定永住)八二年改正入管法(難民条約締結時の特例永住)を経て、九一年入管特例法による、今日の特別永住資格となったのである。
 戦後日本社会での五二年体制が果たした役割はなんだろう?
第一 レイシズム法を入管法に偽装する体制の成立…レイシズムの壁が国籍の壁と癒着、政策・法律レベルのレイシズムが国籍「区別」に偽装され、見えにくくなる。
第二 反レイシズムゼロ下で外国人政策の代用物 
 ①反レイシズムがないので、在日コリアンは国からマイノリティとして公認されず、国籍以外にその政策上の「定義」さえ存在しない
 ②レイシズムに基づいた日本の戸籍=国籍制度に、米国の反共主義かつレイシズムに基づいた国籍別割り当てを規定した厳しい入管法部分だけが接ぎ木されたものである。
 ③反レイシズム規範が入管法と対決・衝突することなく、欧米でつくられるほかなかった移民政策(入管精伊作+統合政策)がつくられなかった。
第三 在日コリアンの権利を、外国人と平等に無権利状態におく入管法にとっての「特権」として正当化させた。
と、筆者はまとめている。
否定される在日コリアンの権利…教育でのレイシズム政策
 一九四八年の朝鮮学校閉鎖のロジックは「日本国民だから」である。それが「外国人」とされた一九五二年体制ひきつがれている。日本国籍を持たないことをフル活用して、朝鮮人と朝鮮学校をさらに排除し、「外国人」には学校への就学義務はなく就学はあくまで「恩恵」であり、外国人のための教育に税金を使うべきではないとのロジックで、一九五五年都立朝鮮人学校が廃校にされた。その後朝鮮総連が結成され、全国的に朝鮮学校再建に乗り出した。
 一九六〇年代に、新たな弾圧体制が構築された。六六年六月「わが国の安全保障に関する中間報告」で「間接侵略による危険は現状においてもすでに存在している」「とくにわが国に多数存在している北朝鮮系学校は、わが国に於いて反日教育、教育革命を実施し、このままでは将来わが国に重大な脅威となろう」…反共だけでなく在日コリアンという民族集団を一様に敵視するという発想はいうまでもなくレイシズムである。」P191こんな文言は、現在でも言われ続けているのではないだろうか。
 日韓条約前後の日本政府の政策は、在日コリアンの自主的な民族教育を一切認めず、むしろ「同化」させるというエスノサイド的なレイシズム政策である。ただ、外国人学校法案は、総連とそれに連帯する市民の反対運動によって四度上程されたが全てつぶされている。しかし、
第一 教育の義務と権利はあくまで日本国籍保持者のみに認められ、外国人が学校に通うのは「恩恵」であって、いつでも入学や就学が拒否できた。
第二 朝鮮人学校・外国人学校は日本の教育体系からは体系的に排除されている。これはレイシズムによる隔離政策である。
第三 反レイシズムの差別禁止法も政策も一切作られなかったため、政策上一九五二年体制と衝突する法・政策が存在しない。
 それでは、在日朝鮮人運動やそれと連帯する市民運動も強力だったのに、なぜこんなことがまかり通ったのか?
第一 南北分断で在日コリアンも分断され、本国のネイションの一員として本国の政治に関与することが社会運動の課題となったため、日本国内での「公民権」(シティズンシップ)を闘い取ることは問題にもならなかった。
第二 日本の市民運動や他の反差別運動も加害者の差別する自由を社会正義によって規制するのではなく被害者支援を通じて人権回復を訴えるというスタイルであったため、普遍的な差別禁止法を闘い取るという目標を掲げなかった。
と、筆者はまとめている。私が付け加えて言うならば、日本国内での「公民権」(シティズンシップ)を闘い取ることは問題にもならなかったのは、「公民権」を得ることが同化に繋がる、すなわち天皇制の問題とぶち当たったからではないのか?とも思うが、どうだろう。
 筆者は最後に「スリーゲートモデルさえ通用しない入管法1本で外国人政策を代用する一九五二年体制が生きている。五二年体制が外国人政策の代用物とされる限り、政策亡き差別政策は継続される。…在日コリアンにたいしてだけでなく、外国人研修生(技能実習生)はじめ一般的に移民や難民に対する日本のレイシズムをも強力に支えているのである。」p195とまとめている。
レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]
レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]

「アイたちの学校」上映会

 昨日26日、京都三条柳馬場あたりの食堂「わたつね」さんで、映画「アイたちの学校」上映会があったので参加してきた。
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 この映画は、以前大阪の第七芸術劇場でも5週間ほど上映していたのだが、見に行く機会がなかったので、ちょうどいい機会だ。ちなみになぜ街中の食堂で上映会が行われたのかというと、食堂のご主人が京丹後Xバンドレーダー基地反対運動にかかわり、京都市役所前座り込み行動を呼び掛けたり、梅田解放区や先日の反オリパラ集会に参加されたりと、食堂の仕事の傍らで行動している方だからだ。これまでも食堂が休みの日に、食堂で基地反対のミニライブを行ったりしていたそうな。
 映画は、朝鮮学校に高校無償化を適用しない、各種補助金を取り下げるなどの差別問題を扱ったものである。朝鮮学校の歴史…日本に労働力として「強制連行」されてきた朝鮮人たち、民族の言葉を奪われた人たちが日本敗戦後、民族を取り戻すために始めた朝鮮学校。しかし日本政府やGHQはその存在を認めず、弾圧ししつぶそうと企んできた。1948年、日本政府とGHQは朝鮮人学校閉鎖令を出したが、多くの朝鮮人がそれに抵抗し、闘った。なかでも大きな闘争は4・24(サイサ)阪神教育闘争である。そういった歴史から朝鮮学校がどういった存在であるのか、さらにはなぜ弾圧されるのか?ということがひもとかれる。
 朝鮮学校では朝鮮のことば、文字、歴史、文化を徹底的に学ぶ(もちろん日本語も、日本史等も学ぶ)。朝鮮幼稚園や初級学校で学ぶと、すぐに朝鮮語で会話ができるようになる(「バイリンガル」になるわけだ)だが、そうするためには学習指導要領に縛られる学校教育法の「1条校」ではなく「各種学校」扱いとならざるを得ない。自動車学校や調理師の学校と同様の扱いを受ける…そのため、実質的に子どもたちが社会にでてゆくための必要な教育が行われているにもかかわらず、補助金が受けられない、部活動等の様々な大会に参加できない、上級学校への入学・受験資格が得られないなど、あらゆる差別をうけてきた。運動の成果等もあり、80~90年代にこうした差別は徐々に解消されてきたが、2000年代の「北朝鮮拉致問題」の膠着や、核・ミサイル開発を口実に高校の無償化から排除され、また自治体からの様々な補助金が支給されなくなるという差別が起こっている。また2009年には京都朝鮮第一初級学校にクソ右翼「在特会」が襲撃し、ヘイトスピーチの限りをつくすという事件が起き、最近では関西医科大学が京都朝鮮学校生徒の受験を認めないという事件があったことが明らかになっている。差別は現在進行形で続いているのだ!映画はそういった事実や、裁判闘争も描いている。あの元文部事務次官・前川喜平さんも、朝鮮学校への差別に反対する立場の人として出て来るぞ!
 もちろん映画には、朝鮮学校で学ぶたくさんの子どもたち、ささえる親や先生方、スポーツや文化の様々な分野で活躍する卒業生たちも描かれている…そのことで、朝鮮学校は他の小中高校と同じ、普通の学校であると同時に、朝鮮・韓国にアイデンティティーを持つ人たちが、それを守り育てるために大切なところであるかということが分かる。
 映画上映後、高賛侑監督(もともとはノンフィクション作家)をお呼びしての交流会始まり、様々な質問や感想が述べられた。高監督はこの映画上映を広めて、朝鮮学校に対する差別問題をより多くの人に知って欲しいと考えておられるようだ。映画館での上映の他、こういった自主上映会や、ネット配信なんかも企画されている。ある配給会社を通して東京のポレポレ東中野で上映する企画が進んでいたのだが、コロナ禍により止まっているのだそうな。
 高監督は、日本にいる外国人に対し、行政の制度はすごく使いにくいが、それは制度に朝鮮人を排除する仕組みが組み込まれているからだと述べられた。かつて日本で「外国人」といえば朝鮮人であり、その権利を認めないという形で様々な制度がつくられている。それが他の外国人に対する制度に適用される。だから朝鮮人に対する差別をなくすことが、あらゆる外国人に対する差別をなくすことにつながるわけだ。また世界には様々な差別があるが、日本のように法律で「子どもの人権」を差別で排除するようなものはないということも言っておられた。日本は1994年に子どもの権利条約を批准しているのに、本当に恥ずかしいことである。
 交流会の中で、2009年の在特会・京都朝鮮学校襲撃事件の時に生徒として校舎内にいたという学生が発言した。襲撃事件の際は高学年であったため、先生方が気をつかってカーテンなどを引いたので、その時は何を言われたのか聞こえなかったのだそうな。代わりに低学年の子どもたちがまともにヘイトスピーチを受けたのだということも分かり、改めて在特会への怒りがわいた。
 17時にスケジュールとしての上映会は終了…35名もの参加者があったそうな。その後、食堂「わたつね」さんのおいしい料理と京丹後のお酒での交流会がもたれたのである。
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あるみさんとは

あるみさん

左翼、時々テツ!ちょっぴり萌え系…白系共産趣味ブログであったが、どうも本人のスピリットは赤か黒らしい。闘争・集会ネタが主。主戦場は沖縄・辺野古。
 もとネタは、鉄道むすめのメットキャラ「金沢あるみ」さん。フィギュアを手に入れ、メットを白く塗ったりして遊んでいた。「あるみさん」つながりで「すのこタン。」も要チェック!
 「侵略!イカ娘」からはまったのは「ガールズ&パンツァー」…梅田解放区の隠れ「ガルパンおじさん」でもあるが、今は「はたらく細胞」の「血小板ちゃん」にハマり(おいおい)人間が朝の6時に起きれるか!という謎のコンセプトで生きている。

メールは、nishihansenあっとyahoo.co.jpまで(あっとを@に変更して下さい)
ではでは(^^)

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