ここまで「セックスワーク(論)」についてあれこれ考えたり批判してきたりしたが、一応「セックスワーク論」を”マルクス主義”の立場から批判する本がある。

マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論 搾取と暴力に抗うために
森田成也 慶應義塾大学出版会(2021年3月)
である。
本書はマルクス主義の立場から、現代フェミニズム、特に性暴力の問題に切り込んだものである。章立を紹介すると、以下のとおり
第一部 再生産、平等、生産力
第一章 マルクス主義フェミニズムと社会的再生産理論
第二章 日本国憲法と平等権ーフェミニズムから読み解く戦後平等権論争
第三章 戦時の性暴力、平時の性暴力ー「女性に対する暴力」の二〇世紀
第二部 売買春、ポルノ、セックスワーク論
第四章 売買春とセックスワーク論ー新しいアボリショニズムをめざして
第五章 ポルノ被害と新しい法的戦略の可能性
第六章 マルクス主義と売買春ーセックスワーク論はなぜ間違いか
である。第二章の「平等権」について、日本国憲法の平等権は単に「法の下の平等」を読みとるのではなく、不平等をを積極的に是正する「社会権としての平等権」として読むべき(なのに憲法学者はそういった視点をほとんど持っていない)という解釈は、憲法を武器にして男女平等を目指す…だから平等でないところに法的、制度的な介入を積極的におこなうべし…という地平を示しているし、売買春やポルノは男性による女性への「性暴力の体系」である論は明快である。そして「セックスワーク論」を前面批判し、現在のリベラルフェミニズムやマルクス主義フェミニズムは「セックスワーク論」に”屈服”し、性暴力と闘えていない!と批判している。
筆者は序文の中で、
本書はきわめて論争的な内容になっている。マルクス主義もフェミニズムも無数の論争を通じて事故を鍛えていった。両者をテーマとする本書が論争的でないわけがない。本書の立場に対立する人々、とりわけセックスワーク論を信望する人びとにとっては、本書は唾棄すべきものでしかないだろう。大いに結構。誰からも受け入れられるようなフェミニズムやマルクス主義の著作がもしあるとすれば、それは無難で通り一辺の内容でしかないにちがいない。(p18)
と書いている。まぁ、それなりに「凄い書物」ではある…
しかし!
本書の帯に「日常化した女性差別へ抗う理論を必要とする人たちへ。日本における売買春廃止論(アボリショニズム)の決定版の書!」なる推薦文を寄せているのは、NPO法人ほっとプラス理事で反貧困ネットワーク埼玉代表の藤田孝典氏なのだが、彼は2020年の夏ごろセックスワーク、セックスワーカーに対する差別発言をツイッターで繰り返した(反貧困ネットワーク埼玉に提出された抗議書 何の根拠もないのに差別や偏見を振りまくNPO理事)この件に関しては私もツイッターで現認しており「反貧困」を掲げる活動家がここまで差別的にふるまえるのかとドン引きしたものだし、後者はなんのエビデンスもなくコロナ流行を「夜の街」「新宿などの繁華街」が原因としてスケープゴートにした、小池都知事や吉村大阪府知事と同じ発想であり、極めて許しがたいものだった。
そして筆者の森田成也氏は、「トランスジェンダリズムはミソジニー」というような、トランスジェンダーの存在を徹底的に貶め、亡きものにする文書を「女性の権利を守る」「性暴力から守る」と称して発表している、とんでもない差別者である。(この文書はあまりにもおぞましいので、リンクは貼らない。”森田成也””トランスジェンダー”とかで検索すると出てくる。発表された文書にも書いてあるが、森田氏はこれを最初に「週刊かけはし」に投稿したのだが「内部議論中」でなかなか出なかったため、別のところに出したとのこと。「かけはし」はこれをボツにして大当然である.ちなみに「週刊かけはし」はトランスジェンダー当事者の声をあつめた冊子「トランスジェンダーのリアル」をHP内で紹介したりしている。ここ)また私は森田氏がかかわる「ポルノ・買春問題研究会」(APP研)もツイッターでトランスジェンダーを否定する書物を紹介していることを確認している。
何なんだこれは‼
女性差別や性暴力と闘う理論が、度し難い差別や偏見を呼び寄せているのか?それとも度し難い差別者であっても「立派な理論」を構築することができるのか、それとも「立派な理論」を構築した人物でも差別から逃れられないのか?
こんな書物に依拠してフェミニズムを語っては絶対にイケナイ‼
本書はマルクス主義フェミニズムやアボリショニズムの「正当性」や「権威」もぶっ壊すシロモノなのか、それとも理論そのものに差別を容認する重大な欠陥が隠れているのか?単純に著者や取り巻きの「作風」の問題なのか?
ということで、本書のリンクも貼りません(^^)

マルクス主義、フェミニズム、セックスワーク論 搾取と暴力に抗うために
森田成也 慶應義塾大学出版会(2021年3月)
である。
本書はマルクス主義の立場から、現代フェミニズム、特に性暴力の問題に切り込んだものである。章立を紹介すると、以下のとおり
第一部 再生産、平等、生産力
第一章 マルクス主義フェミニズムと社会的再生産理論
第二章 日本国憲法と平等権ーフェミニズムから読み解く戦後平等権論争
第三章 戦時の性暴力、平時の性暴力ー「女性に対する暴力」の二〇世紀
第二部 売買春、ポルノ、セックスワーク論
第四章 売買春とセックスワーク論ー新しいアボリショニズムをめざして
第五章 ポルノ被害と新しい法的戦略の可能性
第六章 マルクス主義と売買春ーセックスワーク論はなぜ間違いか
である。第二章の「平等権」について、日本国憲法の平等権は単に「法の下の平等」を読みとるのではなく、不平等をを積極的に是正する「社会権としての平等権」として読むべき(なのに憲法学者はそういった視点をほとんど持っていない)という解釈は、憲法を武器にして男女平等を目指す…だから平等でないところに法的、制度的な介入を積極的におこなうべし…という地平を示しているし、売買春やポルノは男性による女性への「性暴力の体系」である論は明快である。そして「セックスワーク論」を前面批判し、現在のリベラルフェミニズムやマルクス主義フェミニズムは「セックスワーク論」に”屈服”し、性暴力と闘えていない!と批判している。
筆者は序文の中で、
本書はきわめて論争的な内容になっている。マルクス主義もフェミニズムも無数の論争を通じて事故を鍛えていった。両者をテーマとする本書が論争的でないわけがない。本書の立場に対立する人々、とりわけセックスワーク論を信望する人びとにとっては、本書は唾棄すべきものでしかないだろう。大いに結構。誰からも受け入れられるようなフェミニズムやマルクス主義の著作がもしあるとすれば、それは無難で通り一辺の内容でしかないにちがいない。(p18)
と書いている。まぁ、それなりに「凄い書物」ではある…
しかし!
本書の帯に「日常化した女性差別へ抗う理論を必要とする人たちへ。日本における売買春廃止論(アボリショニズム)の決定版の書!」なる推薦文を寄せているのは、NPO法人ほっとプラス理事で反貧困ネットワーク埼玉代表の藤田孝典氏なのだが、彼は2020年の夏ごろセックスワーク、セックスワーカーに対する差別発言をツイッターで繰り返した(反貧困ネットワーク埼玉に提出された抗議書 何の根拠もないのに差別や偏見を振りまくNPO理事)この件に関しては私もツイッターで現認しており「反貧困」を掲げる活動家がここまで差別的にふるまえるのかとドン引きしたものだし、後者はなんのエビデンスもなくコロナ流行を「夜の街」「新宿などの繁華街」が原因としてスケープゴートにした、小池都知事や吉村大阪府知事と同じ発想であり、極めて許しがたいものだった。
そして筆者の森田成也氏は、「トランスジェンダリズムはミソジニー」というような、トランスジェンダーの存在を徹底的に貶め、亡きものにする文書を「女性の権利を守る」「性暴力から守る」と称して発表している、とんでもない差別者である。(この文書はあまりにもおぞましいので、リンクは貼らない。”森田成也””トランスジェンダー”とかで検索すると出てくる。発表された文書にも書いてあるが、森田氏はこれを最初に「週刊かけはし」に投稿したのだが「内部議論中」でなかなか出なかったため、別のところに出したとのこと。「かけはし」はこれをボツにして大当然である.ちなみに「週刊かけはし」はトランスジェンダー当事者の声をあつめた冊子「トランスジェンダーのリアル」をHP内で紹介したりしている。ここ)また私は森田氏がかかわる「ポルノ・買春問題研究会」(APP研)もツイッターでトランスジェンダーを否定する書物を紹介していることを確認している。
何なんだこれは‼
女性差別や性暴力と闘う理論が、度し難い差別や偏見を呼び寄せているのか?それとも度し難い差別者であっても「立派な理論」を構築することができるのか、それとも「立派な理論」を構築した人物でも差別から逃れられないのか?
こんな書物に依拠してフェミニズムを語っては絶対にイケナイ‼
本書はマルクス主義フェミニズムやアボリショニズムの「正当性」や「権威」もぶっ壊すシロモノなのか、それとも理論そのものに差別を容認する重大な欠陥が隠れているのか?単純に著者や取り巻きの「作風」の問題なのか?
ということで、本書のリンクも貼りません(^^)