1週間たつが、人民新聞裁判取り下げ報告集会のレジュメとその若干の補足…おおくは村上さん自身の報告による…でもって、表題のことを書いてみる。
 
はじめに、おさらいとして経過であるが。2021年11月に、人民新聞が村上さんに対し、副業であるメンズエステを辞めるよう強要し、そこでハラスメントが行われた。結局村上さんはメンズエステを辞め、別のナイトワークをすることになったわけだが、本人は当初「泣き寝入り」をするつもりだったそうだ。ところが宝島社裁判のある支援者が「裁判費用をかせぐためにナイトワークをしている」と肯定的な書き方であるがFacebookにあげたのである。その記事を、たまたまかつて人民新聞で働いていたものの、ハラスメントで辞めた女性の目にとまり「大変なことになっているね」と村上さんとコンタクトを取った。村上さんがメンズエステを辞めさせられた(だから別のナイトワークで働いている)という事情を説明したところ、「それはハラスメントだよ」と”指摘”されたとのことである。そして自分がハラスメントで辞めたのに、そのことについて声を上げなかったことが、今回の村上さんの件につながっている、ごめんねと謝ったそうである。そこで村上さんは「同じことを繰り返させない」ために、闘うことにしたのだそうな。
 手始めに「連帯ユニオン」に相談したところ、団体交渉はできないが「話し合いの場」を持つことは可能であるということで、年明けから3回、話し合いをした。その場では連帯ユニオン組合員である友人が参加して、人民新聞側を追及したりもした。ただユニオン側がこれ以上の介入は難しいし、団体交渉も避けたいということで、連帯ユニオンでの話し合いは終了した。
 その後、先に村上さんとコンタクトを取った人も含めた、人民新聞からかつてハラスメントを受けたという人が集まって話し合いを引き継いだ…これは労働組合・ユニオン相手ではなく、あくまでも任意の人の集まりによるものだ。数回の話し合いが行われたが、過去にハラスメントを受けた人が再度、人民新聞から被害を受け(資料によれば、セクシャリティに関するアウティングの仄めかしと、その実行である!)その方が精神的に追い詰められ、話し合いの継続が困難になってしまった。(私も別途、裁判直前にその方にお会いしたのだが、大変消耗した状態で、もう話し合いは続けられない、裁判しかありませんと訴えられたのである)
 村上さんは茨木市にあるサポートユニオンwithYOUに赴いて「自分たちでは人民新聞から対等な話し合いがなされなかったので、ユニオンにはいって団交したい」と伝えたが、連帯ユニオンでも無理だったこともあって「団交は無理だが、裁判にするなら支援できる」と提案され、裁判が始まったわけである。その後「きょうとユニオン」から連絡が入り「ウチで団交しよう」と提案され、団交が始まる…ただ裁判は一度取り下げると同じ内容で訴えることはできず、団交が決裂した場合に備えて団交と平行して継続されることになった。これが昨年の11~12月のことである。期日を引き延ばし、引き延ばしして5月25日に設定していたのであるが、なんとかその日までに「和解協定書」が結ばれ、自己批判文が人民新聞読者に発送されたため(参考)裁判は取り下げられたのである。

 では団交で解決したのであれば、裁判は何だったのか?という疑問が残る。この点について、労働組合による団交・交渉は当事者が絞り込まれ、部外者・支援者が参加しずらいということもある。交渉中もその過程や内容を外に出すことが難しい。それに対し、裁判は原則、公開されているので支援を募りやすく、裁判に沿った形ではあるが過程・内容を外に出すことも可能である。実際問題、裁判になるまで「村上さんと人民新聞が揉めている」こと水面下で行われており、運動圏では「なんか揉めてるらしい」程度でおぼろげに伝わっているか、あるいはまったく知られていなかったか?ということである。また裁判そのものが、団交に対しての圧力にもなったという面もある。ただ、いすれにしても支援者がそれなりに集まったということが大きなカギであり、後で行われた交流会の中でも村上さんは、人民新聞とそこの活動家が言うことと、田舎からでてきた自分の言うことのどちらを信用してくれるのか不安であったが、これだけの人(報告集会では30名程度)が集まってくれてありがとうございますとお礼を言っていたことも報告しておく。

 報告集会では、今後についての報告もなされた。まず本報告集会でもって「人民新聞ハラスメント裁判を支援する会」は解散することになり、団体交渉と連携した裁判を支援する取り組みとして
①運動体で働く者の労働環境について、使用者と雇用契約を結ぶことなど新しい芽をつくりだすことができた。
②裁判の報告集会や学習会を通して、運動体に存在する男性中心の共同社会の前近代的な関係を見直すことにつながった。
③同様に裁判の報告会や学習会を通して、ナイトワークや風俗産業で働く女性の権利や人権、職業選択の自由などについて考えることにつながった。
 との報告がなされた。そして、これらの立場を継続する個人参加の活動を進めていくことの確認がなされたのである。
 また大阪市西淀川区にある、医療法人愛仁会からのパワハラに対し裁判で闘っている島本友紀子さん(仮名)のアピールがあり、社会医療法人愛仁会パワハラ裁判を支える会(準)を足り上げたので、メーリングリスト等に登録して、支援してくださいとのことであった。

 ではでは…