1月18日日曜日、PLP会館4階中会議室で、関西ガザ緊急アクションが企画する講演集会「ガザ虐殺は私たちに何を突きつけているのか?」に参加してきた。講師は、同支社大学人文科学研究所嘱託研究員の役重善洋さんである。

まずは歴史から…といってもシオニズムやイスラエル建国といった話ではなく、冷戦終期、80年代ぐらいからのお話し…80年代の「世界不況」で米国は「双子の赤字」に苦しみ、軍縮を始める。またこのころは米中蜜月の時代だった。一方、イスラエルは世界不況でハイパーインフレに苦しみ、政権を担っていた労働党が退潮するとともに、リクードや宗教右派などが台頭して来る。イスラエルが持っていた「社会主義的要素」が転換され、国営企業を民営化したり、米軍需産業との連携が強化されたりしてきた時代でもある。一方、日本にも「新自由主義」の波が押し寄せ、中曽根内閣による民営化や右傾化が進んでいった…81年には日本パレスチナ友好議員連盟がアラファト議長を招へいし、鈴木首相と会談するなどアメリカとは一線を画した独自外交が行われていたが、89年には石原慎太郎が日本イスラエル親善協会会長に就任するなど、イスラエル寄りの姿勢を示しだす。なお「第一次インティファーダ」は87年から始まっている。
冷戦崩壊後は、パレスチナ「和平」の動き、91年の湾岸戦争から93年野オスロ合意に動く。ただしオスロ合意の「二国間解決」は裏切られ、パレスチナ暫定政府は樹立されたものの、パレスチナ側の他の要求は全て先送りされた。イスラエルは経済の新自由主義化が一層進み、イスラエル企業の海外進出や、逆にイスラエルに多国籍企業が進出するようになる。この時代に、イスラエル経済の国際化が進んだというわけだ。一方、日本では97年に日本会議や「新しい歴史教科書をつくる会」が発足するなどの右傾化がさらに進んだが、そこに親イスラエルの「キリストの幕屋」が参加する。そして親ユダヤ・イスラエルの活動を行うようになる。日本の右翼がそれまでイスラエルを支持することは自明なことではなかったのではあるが。
2000年代、9・11事件と「対テロ戦争」の時代に突入し、アメリカとイスラエルにおける「ホームランドセキュリティ」ビジネスの一体化が進む。日本では右翼からユダヤ人と日本人だけを特別な民族であるとしたり、「ユダヤ陰謀論」的な言説をまき散らすようになる。日本の右傾化(≒親イスラエル化)は第一次安倍政権挫折の後、第二次安倍政権下で加速した。このころのイスラエル・ロビーの発言を見てみると…
山谷えり子「超人大陸」(2012年7月2日)では
「イスラエルと日本だけなんです。民族の物語があってそれが建国の理念になっている。」
加瀬英明「アメリカはいつまで超大国でいられるか」(2014年)では
「安倍首相が、靖国神社を参拝するに当たって、臆することはない。…日本は、イスラエルを手本とすべきだと思う。イスラエルはヨルダン川西岸に、次々と入植地を建設するなど、アメリカの神経を逆撫でしているが、アメリカの反発を無視して、頻繁に繰り返すので、アメリカ政府も慣れっこになって…」などである。
第二次安倍政権が発足する以前の2010年ごろから米中関係が悪化しはじめる…これは中国が経済成長して、アメリカの地位を脅かすようになった、アメリカの国力が低下したからでもある、第二次安倍政権では2013年、F35 共同製造を武器輸出三原則の例外扱いとする閣議決定され、2014年には武器輸出三原則が撤廃される一方、ネタニヤフ政権のイスラエルと「日本イスラエル共同声明」が出される。ここには「サイバーセキュリティに関する協力の必要性」「防衛協力の重要性」などの具体的な事柄が確認されている。
17年2月には日本イスラエル投資協定が署名される。その一方、外務省はHPで入植地ビジネスのリスクを周知するようになる。入植地でのビジネスそのものが批判を受けることも覚悟して、日本とイスラエルの経済関係を強めようとしたわけだ。18年8月には川崎市とどろきアリーナでイスラエルの国際武器見本市、ISDF JAPANが開催され、10月には第一回日本・イスラエル外務・防衛当局間協議が開催された。このように第二次安倍政権では強引に日本とイスラエルの関係を強めようとしていたのである。
安倍政権後も、ソフトバンクがイスラエル初代事務所代表に元モサド長官を任命したり、NTTがイスラエルに技術探索拠点を設立したりしている。これらを民間企業独自の考えで行われていると考えてはならない。また、イスラエルはアメリカや日本などと経済交流を強めているわけであるが、私たちがイスラエルを見て「軍事大国で凄い」と感じるのは、それは宣伝であって実際のところイスラエルの経済は外国から資金がはいってこないと回らないようになっている、ということだそうな。
また日本の東北地方にイスラエルが進出していることにも注目しなければならない。2011年の東日本大震災では、イスラエル軍医療部隊が岩手県南三陸町に展開した。これは東北地方とイスラエルの関係のとっかかりになる。そこから様々な日イ関係の施設や機構が東北につくられたり、イベントが行われたりしている。2024年9月にはヘブライ大学学長らが東北大学を訪問している。また東北大学は11月に日本初の「国際卓越研究大学」に認定されている。
さて、ここからBDS(Boycott、Divestment、Sanctions ボイコット、投資撤収、制裁)運動である。先にも述べたように、イスラエルの経済は外から来る資金に依存しているので、こういった運動がイスラエルに対する圧力になるわけだ。BDS運動は2005年7月、被占領地内外の170以上のパレスチナ市民組織が呼びかけたもので、西岸(東エルサレム含む)およびガザにおける占領の終結、イスラエル領内のパレスチナ市民に対する平等権の保障、イスラエル領内の故郷へのパレスチナ難民の帰還後の保障という明確な目標を持った、非暴力、超党派(パレスチナ人主導の尊重)、反ユダヤ主義を含めたあらゆる人種主義・差別に反対するというものである。
日本における経済的ボイコットの成功例として、無印良品が2010年にイスラエル出店を中止したり、2015年にソーダストリームの宣伝イベントを中止させ、その後入植地から撤退させた事例がある。誓うでは伊藤忠商事がイスラエルの軍事企業エルビット社との協力覚書を2024年に狩猟させたというのがある。文化・学術のレベルでのボイコットにも成功例があるし、イスラエルに対する制裁の動きもみられる。
今すべきことは、イスラエル製ドローンの輸入中止、防衛省が導入を検討している無人攻撃型ドローン7機のうち5機がイスラエル製である。それとファナック社の虐殺加担中止、産業用ロボットメーカー・ファナック社の製品は、イスラエル軍がガザで使用している155㎜砲弾やF35戦闘機などの兵器を生産する世界各地の工場で使われており、その中にはイスラエルの軍需産業エルビット・システムズ社も
含まれている。また日本の年金の対イスラエル投資中止、イスラエル国債を約2270億円、パレスチナ人虐殺に加担していると国連が認定した企業の株式約8740億円分を保有している現状がある。そして、アパルトヘイト加担商品の不買、イスラエル産ワインやソーダストリーム、REEBORK BOOKING.COM ディズニーなど…ここでボイコット対象のリストはないのか?という質問がよく来るが、私たちが「買わなければよい」というような品物は減ってきており、かつてはフルーツにイスラエル産が多かったが最近は減ってきている。イスラエル自体「ものづくり」のシェアが減ってきており、工業・農業製品よりソフトウエアなどの比率が高まっているそうだ。
質疑応答、カンパ・休憩の時間…カンパは「ガザ地区に学校をつくろうプロジェクト」からで、そこからのメッセージが読み上げられた。集まったお金41,120円は全て当団体に贈られる。
休憩後、意見交換の時間となり、日本らの国会議員団がイスラエルを訪問したことや、トランプ・アメリカのむき出しの植民地主義と、それを止めることができない現状、「帝国主義」の矛盾の拡大…力を持てば持つほど、矛盾も大きくなり、支配層も「必死」で「やぶれかぶれ」であること。今のアラブの体制(特に王政)は民衆を恐れており、イスラエルと「和平」を結んでイスラエルから武器を購入し、民衆を抑圧していること、団塊世代の運動が危機的だから、若い人の運動を邪魔しない、SNSや対面でつながろう…などの問題が話された。

最後に主催者まとめのあいさつで、アメリカの帝国主義的な侵略にふれ、また本集会に寄せられたイノウエ駐ベネズエラ大使のビデオメッセージが披露された。イノウエ大使は日系二世であり、日本語でメッセージを語られた。

まずは歴史から…といってもシオニズムやイスラエル建国といった話ではなく、冷戦終期、80年代ぐらいからのお話し…80年代の「世界不況」で米国は「双子の赤字」に苦しみ、軍縮を始める。またこのころは米中蜜月の時代だった。一方、イスラエルは世界不況でハイパーインフレに苦しみ、政権を担っていた労働党が退潮するとともに、リクードや宗教右派などが台頭して来る。イスラエルが持っていた「社会主義的要素」が転換され、国営企業を民営化したり、米軍需産業との連携が強化されたりしてきた時代でもある。一方、日本にも「新自由主義」の波が押し寄せ、中曽根内閣による民営化や右傾化が進んでいった…81年には日本パレスチナ友好議員連盟がアラファト議長を招へいし、鈴木首相と会談するなどアメリカとは一線を画した独自外交が行われていたが、89年には石原慎太郎が日本イスラエル親善協会会長に就任するなど、イスラエル寄りの姿勢を示しだす。なお「第一次インティファーダ」は87年から始まっている。
冷戦崩壊後は、パレスチナ「和平」の動き、91年の湾岸戦争から93年野オスロ合意に動く。ただしオスロ合意の「二国間解決」は裏切られ、パレスチナ暫定政府は樹立されたものの、パレスチナ側の他の要求は全て先送りされた。イスラエルは経済の新自由主義化が一層進み、イスラエル企業の海外進出や、逆にイスラエルに多国籍企業が進出するようになる。この時代に、イスラエル経済の国際化が進んだというわけだ。一方、日本では97年に日本会議や「新しい歴史教科書をつくる会」が発足するなどの右傾化がさらに進んだが、そこに親イスラエルの「キリストの幕屋」が参加する。そして親ユダヤ・イスラエルの活動を行うようになる。日本の右翼がそれまでイスラエルを支持することは自明なことではなかったのではあるが。
2000年代、9・11事件と「対テロ戦争」の時代に突入し、アメリカとイスラエルにおける「ホームランドセキュリティ」ビジネスの一体化が進む。日本では右翼からユダヤ人と日本人だけを特別な民族であるとしたり、「ユダヤ陰謀論」的な言説をまき散らすようになる。日本の右傾化(≒親イスラエル化)は第一次安倍政権挫折の後、第二次安倍政権下で加速した。このころのイスラエル・ロビーの発言を見てみると…
山谷えり子「超人大陸」(2012年7月2日)では
「イスラエルと日本だけなんです。民族の物語があってそれが建国の理念になっている。」
加瀬英明「アメリカはいつまで超大国でいられるか」(2014年)では
「安倍首相が、靖国神社を参拝するに当たって、臆することはない。…日本は、イスラエルを手本とすべきだと思う。イスラエルはヨルダン川西岸に、次々と入植地を建設するなど、アメリカの神経を逆撫でしているが、アメリカの反発を無視して、頻繁に繰り返すので、アメリカ政府も慣れっこになって…」などである。
第二次安倍政権が発足する以前の2010年ごろから米中関係が悪化しはじめる…これは中国が経済成長して、アメリカの地位を脅かすようになった、アメリカの国力が低下したからでもある、第二次安倍政権では2013年、F35 共同製造を武器輸出三原則の例外扱いとする閣議決定され、2014年には武器輸出三原則が撤廃される一方、ネタニヤフ政権のイスラエルと「日本イスラエル共同声明」が出される。ここには「サイバーセキュリティに関する協力の必要性」「防衛協力の重要性」などの具体的な事柄が確認されている。
17年2月には日本イスラエル投資協定が署名される。その一方、外務省はHPで入植地ビジネスのリスクを周知するようになる。入植地でのビジネスそのものが批判を受けることも覚悟して、日本とイスラエルの経済関係を強めようとしたわけだ。18年8月には川崎市とどろきアリーナでイスラエルの国際武器見本市、ISDF JAPANが開催され、10月には第一回日本・イスラエル外務・防衛当局間協議が開催された。このように第二次安倍政権では強引に日本とイスラエルの関係を強めようとしていたのである。
安倍政権後も、ソフトバンクがイスラエル初代事務所代表に元モサド長官を任命したり、NTTがイスラエルに技術探索拠点を設立したりしている。これらを民間企業独自の考えで行われていると考えてはならない。また、イスラエルはアメリカや日本などと経済交流を強めているわけであるが、私たちがイスラエルを見て「軍事大国で凄い」と感じるのは、それは宣伝であって実際のところイスラエルの経済は外国から資金がはいってこないと回らないようになっている、ということだそうな。
また日本の東北地方にイスラエルが進出していることにも注目しなければならない。2011年の東日本大震災では、イスラエル軍医療部隊が岩手県南三陸町に展開した。これは東北地方とイスラエルの関係のとっかかりになる。そこから様々な日イ関係の施設や機構が東北につくられたり、イベントが行われたりしている。2024年9月にはヘブライ大学学長らが東北大学を訪問している。また東北大学は11月に日本初の「国際卓越研究大学」に認定されている。
さて、ここからBDS(Boycott、Divestment、Sanctions ボイコット、投資撤収、制裁)運動である。先にも述べたように、イスラエルの経済は外から来る資金に依存しているので、こういった運動がイスラエルに対する圧力になるわけだ。BDS運動は2005年7月、被占領地内外の170以上のパレスチナ市民組織が呼びかけたもので、西岸(東エルサレム含む)およびガザにおける占領の終結、イスラエル領内のパレスチナ市民に対する平等権の保障、イスラエル領内の故郷へのパレスチナ難民の帰還後の保障という明確な目標を持った、非暴力、超党派(パレスチナ人主導の尊重)、反ユダヤ主義を含めたあらゆる人種主義・差別に反対するというものである。
日本における経済的ボイコットの成功例として、無印良品が2010年にイスラエル出店を中止したり、2015年にソーダストリームの宣伝イベントを中止させ、その後入植地から撤退させた事例がある。誓うでは伊藤忠商事がイスラエルの軍事企業エルビット社との協力覚書を2024年に狩猟させたというのがある。文化・学術のレベルでのボイコットにも成功例があるし、イスラエルに対する制裁の動きもみられる。
今すべきことは、イスラエル製ドローンの輸入中止、防衛省が導入を検討している無人攻撃型ドローン7機のうち5機がイスラエル製である。それとファナック社の虐殺加担中止、産業用ロボットメーカー・ファナック社の製品は、イスラエル軍がガザで使用している155㎜砲弾やF35戦闘機などの兵器を生産する世界各地の工場で使われており、その中にはイスラエルの軍需産業エルビット・システムズ社も
含まれている。また日本の年金の対イスラエル投資中止、イスラエル国債を約2270億円、パレスチナ人虐殺に加担していると国連が認定した企業の株式約8740億円分を保有している現状がある。そして、アパルトヘイト加担商品の不買、イスラエル産ワインやソーダストリーム、REEBORK BOOKING.COM ディズニーなど…ここでボイコット対象のリストはないのか?という質問がよく来るが、私たちが「買わなければよい」というような品物は減ってきており、かつてはフルーツにイスラエル産が多かったが最近は減ってきている。イスラエル自体「ものづくり」のシェアが減ってきており、工業・農業製品よりソフトウエアなどの比率が高まっているそうだ。
質疑応答、カンパ・休憩の時間…カンパは「ガザ地区に学校をつくろうプロジェクト」からで、そこからのメッセージが読み上げられた。集まったお金41,120円は全て当団体に贈られる。
休憩後、意見交換の時間となり、日本らの国会議員団がイスラエルを訪問したことや、トランプ・アメリカのむき出しの植民地主義と、それを止めることができない現状、「帝国主義」の矛盾の拡大…力を持てば持つほど、矛盾も大きくなり、支配層も「必死」で「やぶれかぶれ」であること。今のアラブの体制(特に王政)は民衆を恐れており、イスラエルと「和平」を結んでイスラエルから武器を購入し、民衆を抑圧していること、団塊世代の運動が危機的だから、若い人の運動を邪魔しない、SNSや対面でつながろう…などの問題が話された。

最後に主催者まとめのあいさつで、アメリカの帝国主義的な侵略にふれ、また本集会に寄せられたイノウエ駐ベネズエラ大使のビデオメッセージが披露された。イノウエ大使は日系二世であり、日本語でメッセージを語られた。





