先日の戦争をしたがる高市政権を許すな!記事には、日中、政府間の合意事項「台湾は中国の不可分の領土」であるという主張を日本が理解する…ということを書いた。また「二つの中国」が存在した可能性では「一つの中国」原則について書いた。だが、台湾問題についての私の立場は台湾民衆の自己決定権を尊重しようであり、そこで引用している駒込武氏の論考
 だが、「台湾は中国の一部」という主張は、沖縄を日本の一部とすることと同様に、歴史それ自体の内には根拠をもたない。国境が線として画定され、民族的な帰属が重要な位置を占めるのは近代以降のことである。したがって、かつて台湾は清国の版図にくみこまれていたという中国の主張は、台湾民衆が清国の「棄地遺民」とされた経験を発端として、近代という時代に繰り返し「台湾処分」を経験させられるなかで「台湾人」という意識を育んできたその歴史的経験を無視するものと票ぜざるをえない。あるいは、本来ならば、東アジア世界における帝国主義的世界分割のお先棒を担いだ日本人に向けられるべき中国人の怒りや憎しみが、世界分割の結果として生み出された台湾人、とりわけ「台湾独立」を主張する人びとに向けられてきたとみることもできる。
 につきる。
 もっとも、一旦台湾が中華民国に「返還」され、現在の台湾の状態は中国革命が「未完」の状態にあるということその台湾(中華民国)側も「大陸反攻」を唱え、統一を図って(もちろん米帝・日帝の協力を得てである。他方、米日帝も中国革命圧殺のため台湾と手を組んでいた…それが中国革命が「未完」のままである原因である)いたこと、その方針が国民党独裁に対する民主化運動の過程で消え(おおむね90年代半ば)、台湾の「独立」を含む、国際的な地位問題が浮上しているということもおさえなければならない。「一つの中国」論は、あくまでも国連(連合国)が出来た時、あるいは1950年代の中国革命そのものが問題であった時代の「原則」であり、現代にそれを振りかざすことは間違いである。
 高市発言(答弁)の批判において、例えば反戦・反基地を掲げる運動体の中で、こういった共同抗議声明(■日本の高市早苗首相の台湾に関する暴言に厳重に抗議する ■台湾人民は日本軍国主義の犠牲になることを拒否する 2025年11月17日)が流れてきており、共有されている。表題はもっともであるが、中身には「台湾は1945年に中国に回帰して以降、中国の領土の一部となっている」と書いてあり、また共同声明の主体の一つに台湾労働党が名を連ねている。台湾労働党は左派系労働運動幹部が作った左翼政党であり、一国二制度による中台統一を掲げているが、これが台湾民衆の多数に支持されているわけではない。

 前にも書いたと思うが、台湾の国立政治大学選挙研究センターによる調査で、中国との統一か、独立かの質問について①「できるだけ早く独立」5.2%②「当面は現状を維持し、その後に独立」24.4%③「永遠に現状維持」27.7%④「当面は現状を維持し、その後に決める」29.4%⑤「当面は現状維持し、その後に統一」5.9%⑥「できるだけ早く統一」1.3% となっている。独立志向だけ見ると3割近く、現状維持で見ると8割以上、統一指向はわずか6.5%である。また2023年に「自分を何人と考えているか」という質問については①「台湾人」62.8%②「中国人」2.5%③「どちらでもある」30.5% となっている。中国「本土」と統一したいと考える人、自分は「中国人」であると考える人はわずかなのだ。
 台湾には「天然独」という言葉があって、これは「台湾は本来独立しているのだから、中国や米国がどう言おうとそのありかたは変えられないし、変えるべきではないというものだ。また米国は台湾を中国との取引のカードとして使おうとしているという「疑米論」も、トランプ以降強まっているそうだ。
 また「現状維持」も、中国や米国の圧力、軍事バランスその他もろもろの状況から規定されているところもあるので、例えば中国からの圧力が軟化する、中国が「民主化」する、米軍が東アジアから撤退する(弱体化する)などの条件が変われば、独立すべき、あるいは統一すべきという意識も変わってくるだろう。

 こういった台湾民衆の意識を無視して、むやみに左翼・反戦をかかげるグループが「台湾が中国の不可分の領土」「一つの中国」といった言葉をふりかざすべきではない。