Xを見ていると、こんなニュースが飛び込んできた。
次世代型路面電車を検討  江崎知事が岐阜圏域でのプランを公表 岐阜県議会・一般質問
 車だけに依存せず、歩いて回れるまちをデザインしようと、岐阜県は新たな交通インフラとして次世代型路面電車「ライトレールトランジット」を検討していることを公表しました。
  これは1日に開かれた岐阜県議会の一般質問で、県政自民クラブの田中勝士議員の質問に、県の江崎禎英知事が答えたものです。
  岐阜圏域における新しい交通システムの整備方針を問われた江崎知事は「車だけに依存しない新たな交通手段により中心市街地に人を呼び、『歩くまち』に戻していく必要がある」と述べ、「LRT」(ライトレールトランジット)次世代型路面電車を有力な候補として検討していることを明らかにしました。
  検討されているのは、岐阜羽島駅や岐阜羽島インターチェンジと岐阜インターチェンジを両端とするエリアで、人の移動や回遊ができるよう中心市街地を含む複数の路線が候補に挙がっています。
  財政負担を少なくするため土地の買収を行わない形を模索していて、原則県道を利用する方針です。
  江崎知事は「10年をひとつの目標として現実的なプランに仕上げていきたい」と話しました。

 岐阜市内にはもともと、名鉄の岐阜市内線と、そこに乗り入れる形で名鉄高富線、鏡島線、揖斐線、谷汲線、美濃町線の路面電車が走る町であったが、道路交通の妨げになると厄介者扱いされ、広島のような軌道内への車乗り入れ禁止もなされず、電停は路面に線を引いて色を塗っただけの状況のままだった。高富線は1960年、鏡島線は1964年、谷汲線は2001年、残った揖斐線、美濃町線、岐阜市内線は2005年4月に廃止された。廃止直前まで名鉄は、2000年に超低床車のモ800形を導入するなどそれなりにてこ入れはしていたのだが、行政側が路面電車の活性化にほとんど乗り気でなかたtことから、インターアーバンの特性を生かすこともなく廃止となったわけである。それから20年、新たに岐阜県知事がLRTの整備を検討するということだ。おお、なかなか明るい話題ではないか!
 しかし新幹線の岐阜羽島駅と岐阜市中心部は、すでに名鉄羽島線・竹鼻線で結ばれている。全く別個の路線をつくるとなると、二重投資となり、確実に共倒れになる。遠方で岐阜市内に用事のある人が、岐阜羽島で下車して羽島線に乗り換える…というのは少ない。実際、名鉄も新幹線へのアクセスを考慮して羽島線を建設したのだが、蓋を開けてみると新幹線アクセス需要はほとんどなく、羽島駅周辺からの通勤など日常需要のための路線となっている。ただ現在、羽島駅から名鉄岐阜駅に直通するダイヤはなく、笠松駅で乗り換えを強いられている。(だから江崎岐阜県知事も羽島線は使ったことがないのかもしれない)だからLRTを建設するより、羽島線・竹鼻線や名鉄本線を改良して(そのためのカネは自治体が負担する)利便性を高めるほうが効果は高いであろう。もっとも、羽島インター付近にはコストコ岐阜羽島倉庫店などがあるから、なんとか分岐させてこっちにつなげたいという構想も出てこよう。
 さて、中心市街地を含み、東海環状自動車道の岐阜インター…すなわち、岐阜大学や岐阜大学附属病院を結ぶとなると、やっかいだ。とりあえずJR岐阜駅前から、徹明町を通って高富線や揖斐線とつながる過去の市内線に沿ったルート…岐阜市役所前は通りたいので、旧高富線につながるルートから、西に折れて忠節橋方面に行き、長良川を渡って岐阜大学方面に向かうのがいいだろう。もっとも旧市内線ルートにこだわらず、JR岐阜駅前から県道54号をドーンと北上というのもアリか…。羽島方面から来る名鉄路線と、JR岐阜駅前との接続がカギになるが、そうすると羽島からのルートは竹鼻線柳津あたりから路面を岐阜駅方面に向かい、なんとか富山駅みたいに駅の下をくぐって接続する…というのがエエかもしれない。もっとも、西岐阜駅南の県庁前を通りたい!というのであれば、一つ南の南宿から路面におりて北上することになる。県庁前を通れば、近くに県美術館や岐阜市科学館もあるので、そこへのアクセスともなるだろう。西岐阜付近から路線は東に向かい、岐阜駅前に行けばよい。
 こうゆう構想ではいろいろ想像だけで路線を引くことができ、ワクワクするものであるが、もちろん現地の道路状況については何も考慮していない。果たして出来るのか?

 2023年に全く新しく整備されたLRT宇都宮ライトレールが開業し、そこそこの好成績をあげている。富山市では毀損の路面電車と、JR富山港線をLRT化した富山ライトレールを富山駅の下をくぐって結び付け、活性化した。だが県知事の口から突然でてきた岐阜のLRT構想のNHKのニュースにおいて
 LRTの導入検討について、岐阜市の柴橋市長は「名鉄高架化事業や市街地再開発事業など、すでに始まっている事業に今後、相当な費用がかかると想定され、市としては財政的に非常に厳しい状態である。まずは県と周辺市等で交通への影響や費用面など新しい交通システムの整備に関するさまざまな課題を整理し、実現可能性も含めしっかりと検討を進めてほしい」などとコメントしています。
 と、岐阜市市長は冷めた見方をしている。まぁ、まだ前途は多難であるなぁ~

 また少子化、人手不足でバスの運転手が確保できず、運行本数を減らさざるを得ないという問題もでてきている。これは鉄道の運転手確保についてもそうで、例えば津軽鉄道 6月1日からダイヤ改正 運転士退職で5本減便へということも起こっている。「車だけに依存しない」公共交通整備で中心市街地を…という理念以前に、バス・鉄道も含めた公共交通を再編する必要に迫られる…これこれこうゆう条件ではバスが有利(あるいは鉄道が有利)という常識も、数年で通用しなくなるかもしれない。そういったことも含め、岐阜県は岐阜市などもまきこんで十分な検討を行ってもらいたいものである。