参政党の”躍進”が注目されている。6月15日に投開票が行われた尼崎市議会選挙では、参政党のたかのゆりこ氏がトップ当選した。また同日投開票が行われた、福井県あわら市と愛知県西尾市の市議会選挙でも、トップ当選は参政党であった。そして22日に投開票が行われた東京都議会選挙では4名の立候補者のうち、3名が当選した。市かも世田谷区では2位、練馬区では3位の高得票である。来たる参議院選挙でも一定数の議席を確保するであろう勢いだ。
参政党は2020年に結党した新興の政党であるが、2022年参議院選挙で約177万票を集め、神谷宗幣が当選して国政政党になった。2024年衆議院選挙では3名を国会に送り込み、参政党のHPを確認すれば現在、地方議員が147名もいる政治勢力だ。ちなみに似たような時期に結党した「新選組」では、HPで確認したところ地方議員は55名と、参政党地方議員の半分以下である。
参政党は「日本ファースト」「日本人のための政党」というスローガンを掲げてており、綱領等を見れば「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」「一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。」とあり、れっきとした極右政党だ。「大調和」とは成長の家、谷口雅春が提唱した言葉で、参政党では日本が主導して世界の国々が共存共栄する新しい世界秩序を築くことを意味し、「八紘一宇」と同様の概念を示しているとされる。…ここまで書けば、参政党などとんでもない政党だと理解できるだろうが、それでも自治体議員を多数輩出し、トップ当選も果たすということは脅威である。もっとも参政党は「大調和」や「天皇」なんという言葉は表に出さず、政策として「教育・人づくり」「食と健康・環境保全」「国のまもり」という3つを掲げている。「教育」や「食の安全」などといったスローガンはリベラルや左翼政党でも掲げる「共通事項」的なものもあるし、3つ目の「国のまもり」にしても、自衛隊・軍備を増強するといったハードなことは述べず、外国(人)排斥と反グローバリズムをソフトに語る方針であることから、ソフト化されたお行儀のよい右翼ということになろうか。
それでも”ボードメンバー”で参議院議員でもあり、党をつくった神谷宗幣は西田昌司のひめゆり発言を擁護する発言を、青森での講演で行うなどの歴史修正主右翼の正体をあらわにしている。参政党の掲げる「食の安全」や「反グローバリズム」の中には、エコロジー運動の中から出てきた怪しい理論や陰謀論的なものを取り入れたところも多く、参政党の支持者や構成員の中には「反マスク」「反ワクチン」のようなところもあった。こうした状況を評論家でネット右翼や右派論壇について詳しい古谷経衡氏は、2022年7月に参政党とは何か?「オーガニック信仰」が生んだ異形の右派政党として発表している。リンク記事を読んでいただければわかるが、食品添加物を排除し、有機農法・自然農業で得られる食物を取ることで健康になるという「オーガニック信仰」が支持される中心にあるとする(そういえば尼崎市議選挙トップ当選のたかのゆりこ氏は、オーガニックレストラン勤務と紹介されている)、そのうえで
しかし参政党の面白いところは、こういった一見してオーガニック信仰・反大量消費社会・自然産品礼賛を謳っておきながら、”日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり”と謳って「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」「外国人労働者の増加を抑制し、外国人参政権を認めない」などと急に排外的な主張が混じっていることである。だがこれは何ら不自然ではない。
参政党は2020年に結党した新興の政党であるが、2022年参議院選挙で約177万票を集め、神谷宗幣が当選して国政政党になった。2024年衆議院選挙では3名を国会に送り込み、参政党のHPを確認すれば現在、地方議員が147名もいる政治勢力だ。ちなみに似たような時期に結党した「新選組」では、HPで確認したところ地方議員は55名と、参政党地方議員の半分以下である。
参政党は「日本ファースト」「日本人のための政党」というスローガンを掲げてており、綱領等を見れば「日本の国益を守り、世界に大調和を生む」「一、先人の叡智を活かし、天皇を中心に一つにまとまる平和な国をつくる。」とあり、れっきとした極右政党だ。「大調和」とは成長の家、谷口雅春が提唱した言葉で、参政党では日本が主導して世界の国々が共存共栄する新しい世界秩序を築くことを意味し、「八紘一宇」と同様の概念を示しているとされる。…ここまで書けば、参政党などとんでもない政党だと理解できるだろうが、それでも自治体議員を多数輩出し、トップ当選も果たすということは脅威である。もっとも参政党は「大調和」や「天皇」なんという言葉は表に出さず、政策として「教育・人づくり」「食と健康・環境保全」「国のまもり」という3つを掲げている。「教育」や「食の安全」などといったスローガンはリベラルや左翼政党でも掲げる「共通事項」的なものもあるし、3つ目の「国のまもり」にしても、自衛隊・軍備を増強するといったハードなことは述べず、外国(人)排斥と反グローバリズムをソフトに語る方針であることから、ソフト化されたお行儀のよい右翼ということになろうか。
それでも”ボードメンバー”で参議院議員でもあり、党をつくった神谷宗幣は西田昌司のひめゆり発言を擁護する発言を、青森での講演で行うなどの歴史修正主右翼の正体をあらわにしている。参政党の掲げる「食の安全」や「反グローバリズム」の中には、エコロジー運動の中から出てきた怪しい理論や陰謀論的なものを取り入れたところも多く、参政党の支持者や構成員の中には「反マスク」「反ワクチン」のようなところもあった。こうした状況を評論家でネット右翼や右派論壇について詳しい古谷経衡氏は、2022年7月に参政党とは何か?「オーガニック信仰」が生んだ異形の右派政党として発表している。リンク記事を読んでいただければわかるが、食品添加物を排除し、有機農法・自然農業で得られる食物を取ることで健康になるという「オーガニック信仰」が支持される中心にあるとする(そういえば尼崎市議選挙トップ当選のたかのゆりこ氏は、オーガニックレストラン勤務と紹介されている)、そのうえで
しかし参政党の面白いところは、こういった一見してオーガニック信仰・反大量消費社会・自然産品礼賛を謳っておきながら、”日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり”と謳って「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」「外国人労働者の増加を抑制し、外国人参政権を認めない」などと急に排外的な主張が混じっていることである。だがこれは何ら不自然ではない。
「混じりけのない純粋なる何か」をそのまま延長していくと、「日本は純血の日本民族だけが独占する、混じりけのない国民国家であるべきだ」という結論に行きつくのは当然の帰結だからだ。
と述べている。そして、
参政党と似ているとは全く言わないが、かつて有機農法や無農薬をことさら礼賛し、自然との調和や自然の中でのキャンプや観光を推奨し、健康増進(禁煙、禁酒など)を展開した政党が戦前のヨーロッパに存在した。「混じりけのない純粋なる何か」を推し進めると、必然的に純血主義に行きつく。
と、ナチスとの類似性をほのめかしている。
ところが参政党の支持者は、ナチスに”憧れる”ような極右ではなく、むしろ政治的な関心がほとんどなかった層だということだそうな。
そして私が定点観測してきた数百に及ぶ、熱心な参政党支持者の人々は、驚くほど政治的に無色であり、むしろ参政党支持以前には政治自体に関心がほとんどないような、政治的免疫が全く無いような人々が多い。でいて自然食品や有機野菜などを好んで摂取する、消費者意識の高い比較的富裕な中高年や、自分の子供に食の安全を提供しよう思っている女性層が、あまりにも、驚くほど多い。
としている。
古谷氏は東京都議会選挙後、同じサイトで参政党の支持者について論考する記事を発表したが、それが参政党支持層の研究である。そこにも参政党支持層は、それまで政治的関心がほとんどない、「無党派層」というより「無関心層」である。そして世の中に「与党」と「野党」があって、右と左が対立していて、その右の思想,主張がこれこれ、左の思想や主張がこれこれといった、政治的マトリックス(座標軸)さえない人たちだそうな。だから自分たち(の主張)が、差別や排外主義につながっている、あるいは差別や排外主義が”良くないこと”であるかどうかも分からない、分かっていない人たちなのだ。しかし、そうしたリテラシーがない人たちが普通に自営業や勤め人として一定”成功”している…参政党支持者はそういった層なのだそうな…のはなぜか?古谷氏はこう答えている。
つまり政治や社会のことに全く無知・無関心でいながら、一端の社会生活を送ることが果たしてできるのか?という疑問である。だがしかし、戦後日本社会は永年「政治と宗教の話はするな」などと言われてきたように、政治的リテラシーがゼロでも、社会生活を送ることが出来る世界になって久しい。
上記のような日本の政治的状況が生み出したのが、参政党支持者であり、そして東京都議会選挙で
すなわちこのYAHOO!ニュースや、それに関連する新聞・雑誌・テレビの報道や内容を流し見でも触れていれば、世の中の人々はある程度、「政治的真贋」とか「政治的公平性」の正邪や高低の云々が分かろう―、という図式がはなから通用しない人々が、この国には数百万人という規模で存在するという驚くべき事実だ。
と述べている。ある意味、こりゃぁどうしようもないなぁ~という感じだ。
これまで「政治的に無関心」だった層が、今回、突然目覚めて参政党に投票したかどうか?今回の東京都議会選挙の投票率は47.59%と、前回と比べ5.2ポイント上がっている。票数にして58万6千票ぐらい、それに対し、参政党の得票が11万7千票だから、自民党1強が終焉したものの、以前「政治とカネ」の問題やコメなどをはじめとする物価高対策、手取りを増やすのか、給付を行うのか、消費税を減税するのか…などで選挙への関心が高まって投票率が上がったその中に、参政党の主張に「目覚めて」初めて投票に行った…というような人が含まれていても、なんらおかしいものではない。
とはいえ、支持者が普通の人だからエエというものではない。間違ったカルト右翼政党をのさばらしてなならない。次回は参政党の主張や運動母体をきちんと批判しよう。
と述べている。そして、
参政党と似ているとは全く言わないが、かつて有機農法や無農薬をことさら礼賛し、自然との調和や自然の中でのキャンプや観光を推奨し、健康増進(禁煙、禁酒など)を展開した政党が戦前のヨーロッパに存在した。「混じりけのない純粋なる何か」を推し進めると、必然的に純血主義に行きつく。
と、ナチスとの類似性をほのめかしている。
ところが参政党の支持者は、ナチスに”憧れる”ような極右ではなく、むしろ政治的な関心がほとんどなかった層だということだそうな。
そして私が定点観測してきた数百に及ぶ、熱心な参政党支持者の人々は、驚くほど政治的に無色であり、むしろ参政党支持以前には政治自体に関心がほとんどないような、政治的免疫が全く無いような人々が多い。でいて自然食品や有機野菜などを好んで摂取する、消費者意識の高い比較的富裕な中高年や、自分の子供に食の安全を提供しよう思っている女性層が、あまりにも、驚くほど多い。
としている。
古谷氏は東京都議会選挙後、同じサイトで参政党の支持者について論考する記事を発表したが、それが参政党支持層の研究である。そこにも参政党支持層は、それまで政治的関心がほとんどない、「無党派層」というより「無関心層」である。そして世の中に「与党」と「野党」があって、右と左が対立していて、その右の思想,主張がこれこれ、左の思想や主張がこれこれといった、政治的マトリックス(座標軸)さえない人たちだそうな。だから自分たち(の主張)が、差別や排外主義につながっている、あるいは差別や排外主義が”良くないこと”であるかどうかも分からない、分かっていない人たちなのだ。しかし、そうしたリテラシーがない人たちが普通に自営業や勤め人として一定”成功”している…参政党支持者はそういった層なのだそうな…のはなぜか?古谷氏はこう答えている。
つまり政治や社会のことに全く無知・無関心でいながら、一端の社会生活を送ることが果たしてできるのか?という疑問である。だがしかし、戦後日本社会は永年「政治と宗教の話はするな」などと言われてきたように、政治的リテラシーがゼロでも、社会生活を送ることが出来る世界になって久しい。
上記のような日本の政治的状況が生み出したのが、参政党支持者であり、そして東京都議会選挙で
すなわちこのYAHOO!ニュースや、それに関連する新聞・雑誌・テレビの報道や内容を流し見でも触れていれば、世の中の人々はある程度、「政治的真贋」とか「政治的公平性」の正邪や高低の云々が分かろう―、という図式がはなから通用しない人々が、この国には数百万人という規模で存在するという驚くべき事実だ。
と述べている。ある意味、こりゃぁどうしようもないなぁ~という感じだ。
これまで「政治的に無関心」だった層が、今回、突然目覚めて参政党に投票したかどうか?今回の東京都議会選挙の投票率は47.59%と、前回と比べ5.2ポイント上がっている。票数にして58万6千票ぐらい、それに対し、参政党の得票が11万7千票だから、自民党1強が終焉したものの、以前「政治とカネ」の問題やコメなどをはじめとする物価高対策、手取りを増やすのか、給付を行うのか、消費税を減税するのか…などで選挙への関心が高まって投票率が上がったその中に、参政党の主張に「目覚めて」初めて投票に行った…というような人が含まれていても、なんらおかしいものではない。
とはいえ、支持者が普通の人だからエエというものではない。間違ったカルト右翼政党をのさばらしてなならない。次回は参政党の主張や運動母体をきちんと批判しよう。