たたかうあるみさんのブログMKⅡ

み~んなそろって、闘争勝利!でもやっぱりメットは、白でしょ⁉ということにしておこう。

容量がいっぱいになった「たたかうあるみさんのブログ」を移動して、2020年7月に新たに開設した、共産趣味鉄道ヲタブログ⁉…旅行、萌え系ネタ⁉もあります。

土木屋さんのお話

下水菅が硫酸でぶっ壊れるお話し

 1月28日、埼玉県八潮市の道路が突然陥没して大穴が開き、トラックがその中に転落…31日夕方現在、運転手がいまだ救出されていないという事故が起こった。道路の穴はどんどん広がり、幅が40mにも達しているそうだ。また穴の中に土砂や瓦礫が入りこみ、下水も流れているので救出作業も困難をきわめているという。
 道路が陥没した原因として、下を通っている下水道管が劣化して穴があき、そこに道路下の土砂が流れ込んでスカスカになっていたためと考えられている。そう、下水道というインフラ設備が劣化し、その点検や補修がおいつかなくなって起こった事故なのである。国土交通省も緊急で同様の下水道施設について緊急の点検を行うよう要請し、各地の自治体も動き出している。
 しかし老朽化したインフラ設備の点検・補修にお金をまわさないとイケナイ時代なのに、防衛予算に8兆7千億円も使い、リニア中央新幹線や北海道・北陸新幹線の建設・延伸、さらには高速道路その他新規のバイパスなどの整備、万博・カジノなどにお金をつかうのは間違っているのだ。石破政権は軍拡にカネを使うのではなく、インフラ点検・補修にカネをまわせ!
 ただ本記事はそういったことではなく、下水道管については橋やトンネルなどと違い、やっかいな問題があるということを書く。下水道は地中にあり、普段から水が流れているので点検や補修が困難であるということもあるが、もう一つは下水そのものによって構造物が劣化するのである。
 手元にある「コンクリートの診断技術’06 基礎編」(日本コンクリート工学協会 2006年1月)によれば、その54ページにこんな記述がある。
 下水道関連施設においては、一般に微生物腐食と呼ばれる劣化が生じることがある。下水中に含まれる硫酸塩や含硫アミノ酸が嫌気性細菌である硫酸還元最近によって還元され、硫化水素が生成される。この硫化水素が流水の乱れ等により気相中に放散されると、好気性細菌であるイオウ酸化細菌によって酸化され、硫酸が生成される。この硫酸がコンクリートを浸食するというメカニズムである。
 また55ページにはこんな記述もある。
 硫酸浸食においては、硫酸との接触によりコンクリートは酸としての作用を受け浸食するとともに、酸が内部へ進行しNaOHやKOH、Ca(OH)2で中和されたときには、硫酸塩としての作用による侵食が生じるため、非常に激しい侵食となる。
 ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの硫酸塩がセメント中の水酸化ナトリウムと反応して「二水せっこう」を生成し、それがさらにセメント中のアルミン酸三カルシウム(アルミニウムを含んだカルシウム化合物)と反応して「エトリンガイト」という膨張性のある物質を生成する。傍聴性があるのでそれが大量に生成すれば、コンクリート構造そのものが破壊され、ひび割れが入ったりするわけだ。
 下水道のコンクリート管は、下水由来の硫酸および硫酸塩による劣化をうけるということである。また、下水道内の空気にも硫化水素その他の有毒ガスが含まれていることがある(大阪・夢洲の万博会場みたい)ので、人が入って点検を行うのも困難であるというわけだ。なお、コンクリートが硫酸や硫酸塩によって劣化しないよう、あらかじめもしくは補修工事で、コンクリート管内面に樹脂製の塗料・保護層を塗り付けておくという対策がある。
 また硫酸塩によるコンクリート劣化は下水菅のみならず、硫酸塩を含む土壌の上に建てられた建物の布基礎コンクリートや壁のコンクリートがが、硫酸塩によって劣化するという事例も見られる。そういった土質の土地は、日本には広く存在する。

 以上・硫酸および硫酸塩によるコンクリート劣化について説明した。これ「コンクリート診断士」の資格試験で出るからね‼

コンクリート柱を一体化させるお話し

 震災で施工不良が判明したお話しに、「コンクリートの文明史」からこんな記述を引用している。
 倒壊した新幹線高架橋の柱は、施工当初から二分されており、一体化していなかった。
 土木構造物でも建築構造物でも、十数メートルの高さがあるコンクリート柱は通常、何回かに分けて施工される。仮に、5mごとに施行していくとすると、まず一番下から5mのところまで型枠・鉄筋を組み(鉄筋は普通それ以上の高さまで組み立てる)、5mの高さまでコンクリートを打設する。コンクリートが硬化したら、型枠をばらして次の5mまで型枠・鉄筋を組みたて、そこにコンクリートを打設する。
 固まってしまったコンクリートの上に、そのままコンクリートを打ち込んでもその部分は一体化しない…それが「施行当初から二分され」ていた理由である。固まったコンクリートの上に、新たにコンクリートを打ち込むときには「打ち継ぎ処理」をしなければならない…件の新幹線の高架橋は、その処理を怠るという施工不良があったということだ。開業ギリギリの工期に追われ、手抜きをしたということだろう。
 ではコンクリートの柱を一体化させる…固まったコンクリートの上に新しくコンクリートを打ち込むときにはどうすればよいのか?コンクリートは水、セメント、砂・砂利(砕石)といった、密度・比重の違う材料で構成されている。また骨材には通常、微粒分が付着しており、微粒分の中には非常に密度の小さいゴミのようなものも含まれている。
 コンクリートを打設してしばらくすると、水分のみが上昇してくる…コンクリートを構成する材料のうち、水が一番密度・比重が小さいから、ある意味当然だ。これを「ブリージング水」という。ブリージング水が骨材中の、密度の小さい微粒分やセメント粒子もまきこんで、コンクリートの表面をうっすら覆う形になる。それがそのまま固まると、本体のコンクリートより脆弱な薄い層ができる…これを「レイタンス層」もしくは単に「レイタンス」と呼ぶ。
 実は新旧のコンクリートを一体化させるには、このレイタンス層を除去してやればよい。弱層の上にそのままコンクリートを打ち込むから、一体化しないのである。「レイタンス処理」の方法は、硬化したコンクリートの表面だけを削り取って、粗骨材(砂利・砕石)の角が見えるようにざらざらな表面にしてやるのだ。教科書に書かれている具体的な方法は、小型ののみどによるチッピングや、金属のブラシでこすり出すという方法も記載されているが、より確実な方法はコンクリート打設終了後すぐに「遅延剤」という、セメントの硬化を遅らせる薬剤を表面に散布し、翌日にジェット水で洗えば、表面のレイタンス層は剥がれ落ちて、ざらざらの表面が現れるのだ。実際、柱には鉄筋が多く配置されているため、硬化したコンクリート表面を人が入り込んでチッピングしたりブラシでこすったりすることは大変だから、「遅延剤+ジェット水」でレイタンス処理を行うことがほとんどである。(これをグリーンカット、グリーンカット工法と呼ぶこともある)
 
 こんなのでも面倒だ、翌日、ジェット水で流す手間がいるじゃないか!(だから新幹線高架橋で手抜きが行われたのである)という輩もいるので、20年ぐらい前から「レイタンス層を強化する」という触れ込みの薬剤を、コンクリート打設後に散布するという工法が現れた。そういった薬剤を開発したメーカーや施工業者から、自社の試験データ込みで薬剤の使用を”提案”してきたこともあるが、私の会社で試験してみると、「割裂引っ張り試験」や「透水性試験」で比較しても、通常のレイタンス処理(グリーンカット工法)を行ったケースよりも効果がでていないことが判明したため、採用を見送ったケースがほとんどである。今、おそらくその工法はほとんど日の目をみていないだろう。

 なお、長いコンクリートの梁や橋げた、床版を1回で施工せず、分割してコンクリートを打ち込むケーズもある。そういったときにできる「鉛直打ち継目」も、基本的には同様にコンクリートのつるつるの面を、骨材の角が見えるざらざらな表面にしてから打ち込む。教科書的にはそこに「モルタルを塗り込んで」一体化させると書いてあるが、鉄筋も錯綜しているところでそんな面倒くさいことはしない。型枠の表面に「遅延剤」を塗っておくか、遅延剤をしみこませた紙を張っておき、打ち継ぎ部のコンクリートの硬化を遅らせ、ジェット水で洗い流してざらざらにするというのが一般的である。その他、打ち継ぎ部に荷物を梱包するときに使う空気の入った緩衝材…プチプチというヤツ…のようなものを張り付けておくと、型枠を外した時に凸凹の面が現れる…この面に新しくコンクリートを打ち込んでも、レイタンス処理をしたのと同様の強度・耐久性が出ることはわかっているので、これはよくつかわれる。なお、いくつかのプレキャスト部材をPC鋼材に導入した緊張力で一体化させる構造では、プレキャスト部材間の接合には接着剤を使用することもある。また、ブレキャスト部材の上に新しくコンクリートを打ち込んで一体化させる場合では、新しく打ち込むコンクリートが降れる面はあらかじめ「ざらざら」になるよう表面処理を行っておく必要がある。

 まぁ、こんなわけで、コンクリートを一体化させるのはなかなか面倒くさい…ということである。

震災で施工不良が判明したお話し

 先日1月17日は、阪神淡路大震災から30年ということであった。高度経済成長後に出現した大都市の直下で発生した大地震は、多くの犠牲を出すとともにたくさんの教訓を与えてくれた。
 あの地震まで「大地震安全神話」というものが日本にはあった…世界のあちこちで震災が起こり、高層ビルや高速道路の高架橋が倒壊していたが、「日本ではそういったことは起こらない!」という、変な”自身”があった。それは30年前のあの日に覆された…新幹線も高速道路もぶっ壊れ、横倒しになり、交通インフラは完全に破壊されたのである。
 新幹線や高速道路などのコンクリート構造物がもろくも壊れ去った原因は、たしかに想定していた地震動が甘く、直下型地震で強烈な振動を受けた場合を想定していない設計…せん断補強鉄筋の不足や、鉄筋の段落とし(柱の上の方に行くほど鉄筋が少なくなる…曲げモーメントだけに抵抗するのであれば、鉄筋は根元だけ沢山配置しておけばよいという設計思想に基づく)があげられる。しかし、それだけではなかった。高度経済成長期のイケイケどんどんで作られてきた構造物の、施工不良もその原因だったのである。
 「コンクリートの文明史」(小林一輔 岩波書店 2004年10月)には、こんなことが書かれている。
コンクリートの文明誌
ノーブランド品

 もろくも倒壊した山陽新幹線や阪神高速道路の高架橋のテレビ映像に私は息を呑んだ。どこかよその国の地震際涯ではないか、そんな錯覚を起こさせるような惨状であった。時間の結果とともに、手抜き工事の実態が次々と明らかにされた。倒壊した新幹線高架橋の柱は、施工当初から二分されており、一体化していなかった。鉄筋はガス圧接部分で剥離破壊していた。上部に帯鉄筋が存在しない柱もあった。
 しかし、私がもっとも衝撃を受けたのは一枚の写真であった。それは、単なる手抜き工事としてはかたづけられない異常な状態を示していた。その写真には新幹線高架橋柱の縦筋が見えている。柱の鉄筋は等間隔で配置することになっているが、この柱では鉄筋がまとめて無造作にほうりこまれてあった。写真では見えないが、その分、別の個所では鉄筋が疎らになっているはずである。縦筋を束ねる帯筋は通常直径10ミリの異形鉄筋であるが、実際に使用されていたのは六ミリの丸い鉄線であった。
 驚くべきことは他にもある。高架橋や橋脚が「ゴミ捨て場」になっていたのである。空き缶、角材、発泡スチロールなど、実に多彩なものが投げ込まれていた。なかでも極めつきは、コンクリートポンプの洗い滓が廃棄されていた武庫川橋梁の橋脚である。橋脚断面の中ほど数センチの層は洗い滓であった。橋脚のコンクリートは、この部分で二分されており、鉄筋のみでかろうじてつながっていた。
 このような犯罪的行為は、請負業者の暗黙の了解の元で行われたと考えるべきであろう。構造物が完成してしまえば、すべてが半永久的にお蔵入りとなる。外観からチェックできないからだ。震災が起こったから判明したのである。これらはどう考えても手抜き工事の範疇を超えている。施行の完全放棄である。(p178)

 こうした”手抜き工事”。施工不良がなぜ発生したか?一つは工期が限られていて時間がなかったということがある。山陽新幹線の工事では、開業時期が決められても、まだ用地問題等で釋種できない区間が存在していた…発表した開業時期にまにあわせるため、無理に無理をかさねて、途中の検査などもおろそかになっていったのである。そればかりか、施工手順そのものの手抜きもあった。本書には、こんな記述もある。
 それから十五年後に謎は解けた。当時、相生付近の高架橋工事に従事していた中堅ゼネコンの技術者から聞いた話は信じがたいものであった。通常、三日間程度は存置する高架橋柱の型枠をわずか八時間で外したというのである。セメントの水和反応が満足に進まないのでコンクリートはスカスカの状態になる。連続している床版の急速施行には移動式型枠が用いられた。通常の存置機関では、柱の施工が追いつかない。後は野となれ山となれという施工管理の放棄行為が起こりうる状況にあった。(p183)

 その他にも「シャブコン」といって、施工を早くするため生コン車ではいたツイされたコンクリートに後から水を加えて柔らかくする行為…水の量が多くなれば、コンクリートの強度が出なくなる…も、多くなされていたのではと推測されている。(こういった「シャブコン」、加水行為をさせない!というのが、全日建連帯関西生コン支部のコンプライアンス活動でもあるのだ!)施工不良・手抜き工事で震災に耐えられない構造物があったというのも、事実であろう。しかし、そういったことは公に明らかにされぬまま、誰も責任をとらず、とらせずうやむやにされた。倒壊した構造物は”証拠物件”でもあるのだから、存置して原因を徹底追及しろ!という声もあったのだが、交通インフラの復旧は大至急なされなければならない…ということで、ぶっ壊れたコンクリートの柱や床版などはさっさと撤去されてしまったのである。

 私は阪神淡路産震災で、現地を調査したり、ましてやボランティア加津堂で被災地の人々を支援したことはない…だが、こういた情報のは接していた。そして、土木技術者として、コンクリートの施工不良や品質不良を絶対にゆるさない!ということは、心に誓った次第である。そして、今も私がいるのだ!

排ガス中の二酸化炭素からセメントをつくるなんてやめとけ!

 万博関連で読売新聞がこんな記事を出していた。Y!ニュースより
排ガス中のCO2利用しセメント製造、万博パビリオン「住友館」で採用…「脱炭素建材」世界にアピール
 排ガス中の二酸化炭素(CO2)から製造した「人工石灰石」を原料とするセメントが、来年4月に開幕する大阪・関西万博で本格的に実用化される見通しとなった。住友大阪セメント(東京)が政府の支援を受けて開発を進めており、住友グループのパビリオン「住友館」に採用する。使用する建材のCO2排出量を約20%削減できるという。
 人工石灰石は、住友大阪セメントの工場の排ガスからCO2を回収し、焼却場から出る灰などに含まれるカルシウムを結合して生成する。回収したCO2を利用することで、通常のセメントの製造時に比べてCO2の排出量が減らせる。
 住友館では、建物周囲の側溝や縁石に人工石灰石由来のセメントを使用する。人工石灰石を原料にした絵はがきなどの販売も検討する。このほか、製鉄時に排出される粉末などを原料に、製造過程のCO2を9割削減できるコンクリートも床材に使う。脱炭素につながる建材として世界にアピールする。

 セメントの原料は石灰石であり、大部分は炭酸カルシウムCaCO3である。セメントをつくるときは石灰石を1300~1400℃以上の高温で「焼成」して、CO3部分を飛ばし、また焼成前に混入した粘土由来のケイ素(Si…シリカ)やアルミニウム(Al)などと結合してセメントクリンカーというセメン原料ができるのだが、当然この過程で石灰石由来のCO2が発生する。その他、高温で焼成するので燃料となる化石燃料、それ由来の廃棄物(古タイヤや廃プラスチックなど…パチンコ屋さんから発生する廃パチンコ台もプラスチックの塊なので使われたりする)をぼんぼん燃やすことになるので、そこからも二酸化炭素が発生する。1tのセメントを製造する際に出てくるCO2の量は、770㎏にもなるそうだ。だからセメント生産時に発生する二酸化炭素量を減らすことが「カーボンニュートラル」を達成する一つの方法だとされる。
 一方、記事にある「人工石灰石」とは、セメント工場から出る二酸化炭素を焼却場から出る灰などに含まれるカルシウムの残渣をつかって「回収」する…要するに石灰石を招請してセメントをつくる工程の逆をやって(といっても、CO2とCaを反応させるだけ)CaCO3にしたものだ。(参考:住友大阪セメント セメントコンクリート研究所CaとCO2のデュアル・リサイクル技術)これを石灰石として、普通の石材・建材として使用したり、舗装の路盤材やコンクリート舗装の材料として使うならまだしも、それをセメント原料としてふたたび「焼成」すれば、せっかく捕獲した?CO2をまた大気中に逃がしてしまうことになるではないか?
 これをやるためには、どこかから排ガス中のCO2を捕獲するためのカルシウム残渣を持ってこなかればならない…セメント工場だと、セメント工場から発生する残渣があるだろうが、リンクを見れば償却炉から出てくる焼却灰や生コン工場からのスラッジ、建築廃材としての廃コンクリートを集め、加工して二酸化炭素を取り込みやすい形にして…というところで、ものすごくエネルギーを投入する、すなわち化石燃料を燃やしてCO2を発生させることになる。加えて、ントロピーが増大した排ガス中のCO2
を、再び集めて資源として使える量の人工石灰石(エントロピーが小さい状態)にするのに、短時間でエネルギーをあまり投入しないで作ることは不可能だ。(廃コンクリートを細かく砕き、セメントペースト部に二酸化炭素を長~い時間をかけて吸着させれば、セメントペースト部はCaCO3に戻る…ただし十数年の時間がかかるだろう)かくして住友大阪セメントの技術者が考えていることとは裏腹に、人工石灰石を使ってセメントをつくることを持続すると、その過程で普通に石灰石を使ってセメントをつくるよりもエネルギーを投入することになり、かえって発生する二酸化炭素の量は増えるのだ。
 投入エネルギー量を少なくし、かつ時間をかけずに人口石灰石、そしてそこからセメントをつくるとすると、ホンの少量…万博の展示で使う量…しか作ることができないだろう。かくして展示されたパビリオン「住友館」のみでこの技術は終わる。エントロピー増大則に反する技術は成り立たないから、やめておいた方がエエ(参考:メタネーションなんかやめとけ!

 セメントを使いながら二酸化炭素排出量を減らす有効な技術は、今のところセメントの一部を水和反応を起こして硬化する製鋼スラグなど(製鋼スラグは基本、廃棄物でありそれをつくるときに発生する二酸化炭素は、例えば製鉄の時に発生する二酸化炭素として計上されるので、スラグは二酸化炭素を発生させないことになっている…出てくる二酸化炭素は、運搬や材料の調整時に由来するもののみである)に置き換えるぐらいしか有効な技術はない。あとはできるだけ、セメントを使わないことだ。

トンネルばっかりが、リニア中央新幹線の弱点(後編)

 前編からの続き
 前延長の86%がトンネル区間…これは土木工事を進捗させるうえでネックになるということを書いたが、トンネルばっかりというのは災害、特に地震災害でも問題である。もっとも地震そのものでトンネルがぶっ壊れる…ということはまずない…地下構造は地震の時は安全…という話もある。だが、リニア中央新幹線の場合は違ってくる。
 「リニア新幹線と南海トラフ巨大地震(石橋克彦 集英社新書 2021年6月)」によれば、リニア中央新幹線は最大クラスの南海トラフ大地震が起こった時、震度6以上が起こるであろう区域を通過する。1854年の「安政東海地震」および1923年「大正関東地震」で、甲府盆地南西部では震度6~7の震度分布があったとされる。こうしたところをリニア新幹線は通過する。しかもそのあたりは、曽根丘陵断層帯と、糸静線断層帯南部区間という活断層帯があるのだ。
リニア新幹線と南海トラフ巨大地震 「超広域大震災」にどう備えるか (集英社新書) [ 石橋 克彦 ]
リニア新幹線と南海トラフ巨大地震 「超広域大震災」にどう備えるか (集英社新書) [ 石橋 克彦 ]
 リニア中央新幹線は、南海トラフ地震が起こった際の東海道新幹線のバックアップとしても”期待”されているらしいのだが、この事実を鑑みるとそんな機能は期待できない。(北陸新幹線ならなんとかバックアップの機能は持てそうだ)それどころか、巨大地震で同時にうごくであろう活断層を、何本もリニア中央新幹線は横断するルートになっている。
 地震のゆれそのものでトンネルは破壊されなくても、トンネルを通る活断層が動けばトンネルは破壊される。また活断層でなくても、巨大地震に伴う地殻変動…特に沈降が予測されている…が起こっても、線路は甚大な被害を受ける。
 問題は、長大トンネルが破壊された場合の”復旧”である…また片側の坑口から入って「掘り直し」をしなければならない。トンネルの内部だけでなく、坑口部での土砂崩落で、坑口から埋まっている…という被害も考えられる。また、営業運転時間内に地震が起これば、リニア新幹線車両が巻き添えをくらって埋まっている…ことも想定される。そして、周辺の地域も震度6~7で被災しているので、高速道路や一般の道路、在来線鉄道にも甚大な被害が出ているだろう。そうした中、東京ー名古屋(大阪)菅輸送にほとんど特価しているリニア中央新幹線の復旧にまでリソースが回るだろうか?
 著者、石橋氏は、「最悪の場合には、何ケ所かの大深度地下トンネルや山岳トンネルに閉じ込められた乗客を何日も救出できず、山岳トンネル内の被害や坑口付近の山体崩壊などでトンネル内の列車を引き出せないといった事態になるだろう。リニアの救助・復旧が重大な問題になるが、超広域が第六章で述べるような大震災に見舞われていて、東海道・山陽新幹線をはじめとするJR各社(東日本、東海、西日本、四国、九州)の在来型新幹線や在来線でも多数の被害が生じる。鉄道以外のインフラや都市・国土にも莫大な被害が出ていて、資金・労働力・機材・資材が不足するなかで、鉄道の復旧工事は在来型新幹線や在来ローカル線が優先されるだろう。したがってリニア新幹線の復旧は後回しになり、被害の程度よっては廃線もやむなしという判断を迫られるのではないだろうか。」(p119~120)と記述している。また「私は、南海トラフ巨大地震に対する東海道新幹線のバックアップとしては、次章でみるようにそもそも甲府盆地と名古屋は非常に危険だと思うが、どうしても両地をとおるのであれば、諏訪と伊那谷を経由して明かり区間をできるだけ多くした在来型新幹線方式がよいと考えていた。それでも活断層を回避することはむずかしいだろうが、地震被害を低減でき、被災した場合の救助・復旧の困難さが著しく減るはずである。」(p75)と述べている。
 南海トラフ巨大地震で全体的に被災した場合の復旧も、明かり部が多いほどとっかかりやすく、多方向・多方面から進めていけるので、トンネルばっかりということはリニア中央新幹線の弱点であるといえよう。
 なお、震災時の乗客避難については、こんな話もある…大深度地下トンネルで被災した場合、ガイドウェイ下に避難通路があるのだが、そこを何キロメートルも歩かなければならない、そして避難用の立坑(シールドマシンを入れるために掘った立坑で、およそ5㎞おきにある)は深さ40m以上!地震・停電でエレベーターが故障していれば階段を昇ることになる。長大山岳トンネルの場合、これも速報通路を何キロメートルも歩いて”斜坑”までたどりつき、そこから外に出る。「例えばトンネル中央の、品川から一五〇㎞地点付近だった場合、最寄りは西俣斜坑だが、トンネルから地表までの標高差は約三二〇mで長さは約三・五㎞もある。しかも何本もの断層やもろい地層と交差しているから、強振動や地殻変動で損傷して通れないおそれがある。(中略)何とか地上に出られたとしても、そこは日本第六位の高峰・悪沢岳(三一四一m)の北方の尾根が大井川の支流・西俣川に落ちる標高一五三五mの高所である。夏でもたいへんだが、冬季であれば南アルプスの真っ只中の雪山の世界だ。トンネル工事の施工ヤードが整備されたり、作業員宿舎が避難所に改装されたりするのかもしれないが、薄着でリニア新幹線から脱出した乗客が長く居られるところではない。しかし、西俣二条口から登山基地の二間小屋(冬季は無人)まで一時間歩かねばならず、そこから大井川鉄道井川線の終点・井川駅の北方の最奥集落・小河内および田代までは徒歩で実に八時間くらいかかる。」(p115~116)

 おお、おそろしい!…新幹線からの避難だから、避難した乗客数は数百人!それもヘリが使えない山岳地帯で孤立するというのである。

 トンネルばっかりのリニア中央新幹線は、弱点だらけ…あと人口縮小時代に、東京―大阪間を飛行機より遅い時間で大量の人員を運ぶ需要がどれだけ出てくるのか?JRおよび国は、とっととリニア中央新幹線から撤退して、今使われている資金、資材、労働力、機械を真の防災対策に振り向けるべきであろう。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

あるみさんとは

あるみさん

左翼、時々テツ!ちょっぴり萌え系…白系共産趣味ブログであったが、どうも本人のスピリットは赤か黒らしい。闘争・集会ネタが主。主戦場は沖縄・辺野古。
 もとネタは、鉄道むすめのメットキャラ「金沢あるみ」さん。フィギュアを手に入れ、メットを白く塗ったりして遊んでいた。「あるみさん」つながりで「すのこタン。」も要チェック!
 「侵略!イカ娘」からはまったのは「ガールズ&パンツァー」…梅田解放区の隠れ「ガルパンおじさん」でもあるが、今は「はたらく細胞」の「血小板ちゃん」にハマり(おいおい)人間が朝の6時に起きれるか!という謎のコンセプトで生きている。

メールは、nishihansenあっとyahoo.co.jpまで(あっとを@に変更して下さい)
ではでは(^^)

最新コメント
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ