昨日の続き
岡真理さんは「ガザとは何か」という問いに、こう答える…
「ガザ、それは巨大な実験場です」
イスラエルの最新兵器を実験する、世界のニュースがそれを放映してくれる。古い兵器の在庫も一掃できる…そして「百万人以上の難民たちを閉じ込めて、五十ね以上も占領下に置き、さらに十六年以上完全封鎖して、食料も水も医薬品も、辛うじて生きるのに精一杯という程度しか与えないでいたら、人間はどうなるか、その社会はどうなるか、何が起こるのか、という実験です」(p136)
産業基盤が破壊され失業率は50パーセント近く、50パーセント以上が貧困ライン以下の生活を強いられ、三割の家庭が子どもの教育費を賄えない。八割の世帯が食料援助に頼らざるを得ない…炭水化物や油を大量に摂ることになるので、糖尿病が風土病になる。自殺が禁忌とされるイスラームの世界であっても、自ら命を絶つ人が後を絶たない。下水処理施設が使えないため、生活排水がそのまま川に流され、地中海に流れ込む。飲み水の97パーセントが飲料に適していないのに、飲まざるを得ない。海が汚染されているので、ビーチは遊泳禁止になっているが、夏、電気がなくてエアコンも扇風機も使えないので、海で涼むしかない。
「ガザは実験場です。
「2007年当時で百五十万人以上の人間を狭い場所に閉じ込めて、経済基盤を破壊して、ライフラインは最低限しか供給せず。命をつなぐのがやっとという状況にとどめておいて、何年かに一度大規模に殺戮し、社会インフラを破壊し、そういうことを十六年間続けた時、世界はこれに対してどうするのかという実験です。
そして、分かったことー世界は何もしない。」(p142)
「いずれにせよ、停戦になったら、すぐ忘れられてしまうのです。」(p143)
![ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 [ 岡 真理 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/4204/9784479394204.jpg?_ex=128x128)
ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 [ 岡 真理 ]
ここまで書けば「つまり、問題の背景には、西岸とガザに限っても、六十年近いイスラエルによる占領がある。パレスチナ人に対する法外な占領の暴力がある。」(p160)その「実験の結果」が、昨年十月七日の攻撃なのだ!
ことわっておくが、今回の攻撃は「ハマースによる攻撃」ではなく、「ハマース主導の戦闘員たち」による攻撃である。ハマースに主導された、イスラーム聖戦やPFLPなど、パレスチナ解放を掲げる複数の、民兵組織、パレスチナ解放を目指す人民が参加した解放のための作戦だったのである。
「日本のメディアではほとんど報道されていませんが、まず、彼らはガザ周辺にある十二のイスラエルの軍事基地を占拠しました。そこにいたイスラエル兵を捕虜にして、その後、イスラエル軍との交戦になり、基地にいた戦闘員たちは全員殺されたのだと思います。このことにはほとんど触れられず、キブツと野外音楽祭が襲撃され、そこで民間人が殺されたことばかりが強調されて、報道されているように思います。
占領下にある者たちが、占領からの解放のために、占領軍に対して武力を用いて抵抗することは、国際法上、正当な抵抗権の行使です。しかし、この時には守るべきルールがあります。民間に対する攻撃や、民間人を人質に取ることは、国際人道法違反であり、戦争犯罪です。占領からの解放を目指す武装抵抗が正当なものであるとしても、戦争犯罪に当たるこうした行為は許されるべきものではありません。国際法に則って、戦争犯罪としてきちんと裁かれるべきことです。だからといって、占領下のパレスチナ人が、イスラエルによる占領からの解放を求めて戦うということ、それ自体が違法化されるわけではありません。」(p160~161)
そう、戦争犯罪は裁かれなければならない…では、イスラエルの行ってきた戦争犯罪や、国連決議違反、人道にもとる数々の行為は、これまで裁かれてきたのか?誰か責任者が責任をとったのか?
そして、10月7日以降「ハマースとは何か」と問われることに対し、むしろ問うべきは「イスラエルとは何か」である、どのように建国されたのか、何をしてきて、何を行っているのか…それがこの問題の根本なのである。(「イスラエルとは何か」というのが、本記事の前編である)またイスラエルは「アパルトヘイト国家」でもある。これはパレスチナにかかわる人権団体や国連の専門家が常々主張していることであり、「ユダヤ人至上主義」を掲げ常にパレスチナ人に対する差別・抑圧を国家として続けているということだ。南アフリカでかつてアパルトヘイトと闘っていたANC(アフリカ民族会議)が「テロ組織」とされ、ネルソン・マンデラも「テロリスト」とされていたように、イスラエルはパレスチナにある六つの字k年団体を「テロ組織」として認定している。
そして岡真理さんは「もう一つ強調したいのは、パレスチナ問題の根源にある、イスラエルによる占領、封鎖、アパルトヘイト、そして、難民の帰還ーこれらはすべて、「政治的な問題」だということです。
植民地支配されている国の独立が、政治的な解決を必要とする政治的問題であるのと同じく、パレスチナ問題は政治的な問題です。しかし、イスラエルは人為的にガザに大規模な人道的危機を作り出すことによって、本来は政治的問題であるはずのものを「人道問題」にすり替えてえいます。」(p178~179)
今現在行われている空爆、攻撃、封鎖による水、食料、燃料、電気、医薬品の欠乏そのものは「人道問題」であり、一刻も早い停戦と「人道物資」支援が望まれるが、それで終わりということでは絶対にない!イスラエルの違法な占領を終わらせ、パレスチナを解放すること…それは政治的な解決をやらなければならない。そのためには、世界がアパルトヘイトを行っていた南アフリカに対し「経済制裁」「ボイコット」等を行い、徹底的に批判・非難してきたことを、イスラエルに対して(そうすると、後ろ盾になっているアメリカや欧州の一部の国に対しても)行わなければならないだろう。それぐらい厳しい政治対決になる。
岡真理さんは、京都大学での講演では、マンスール・アル=ハッラージュというイスラーム中世の神秘主義者の言葉
地獄とは、人々が苦しんでいるところのことではない。
人が苦しんでいるのを誰も見ようとしないところのことだ。
を紹介し、早稲田大学での講演では、ネルソン・マンデラの言葉
パレスチナ人が解放されない限り、私たちの自由が不完全であることを私たちは熟知している。
を紹介して、講演をしめられた…
みんなでパレスチナ解放のため、声をあげていこう!
岡真理さんは「ガザとは何か」という問いに、こう答える…
「ガザ、それは巨大な実験場です」
イスラエルの最新兵器を実験する、世界のニュースがそれを放映してくれる。古い兵器の在庫も一掃できる…そして「百万人以上の難民たちを閉じ込めて、五十ね以上も占領下に置き、さらに十六年以上完全封鎖して、食料も水も医薬品も、辛うじて生きるのに精一杯という程度しか与えないでいたら、人間はどうなるか、その社会はどうなるか、何が起こるのか、という実験です」(p136)
産業基盤が破壊され失業率は50パーセント近く、50パーセント以上が貧困ライン以下の生活を強いられ、三割の家庭が子どもの教育費を賄えない。八割の世帯が食料援助に頼らざるを得ない…炭水化物や油を大量に摂ることになるので、糖尿病が風土病になる。自殺が禁忌とされるイスラームの世界であっても、自ら命を絶つ人が後を絶たない。下水処理施設が使えないため、生活排水がそのまま川に流され、地中海に流れ込む。飲み水の97パーセントが飲料に適していないのに、飲まざるを得ない。海が汚染されているので、ビーチは遊泳禁止になっているが、夏、電気がなくてエアコンも扇風機も使えないので、海で涼むしかない。
「ガザは実験場です。
「2007年当時で百五十万人以上の人間を狭い場所に閉じ込めて、経済基盤を破壊して、ライフラインは最低限しか供給せず。命をつなぐのがやっとという状況にとどめておいて、何年かに一度大規模に殺戮し、社会インフラを破壊し、そういうことを十六年間続けた時、世界はこれに対してどうするのかという実験です。
そして、分かったことー世界は何もしない。」(p142)
「いずれにせよ、停戦になったら、すぐ忘れられてしまうのです。」(p143)
![ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 [ 岡 真理 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/4204/9784479394204.jpg?_ex=128x128)
ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義 [ 岡 真理 ]
ここまで書けば「つまり、問題の背景には、西岸とガザに限っても、六十年近いイスラエルによる占領がある。パレスチナ人に対する法外な占領の暴力がある。」(p160)その「実験の結果」が、昨年十月七日の攻撃なのだ!
ことわっておくが、今回の攻撃は「ハマースによる攻撃」ではなく、「ハマース主導の戦闘員たち」による攻撃である。ハマースに主導された、イスラーム聖戦やPFLPなど、パレスチナ解放を掲げる複数の、民兵組織、パレスチナ解放を目指す人民が参加した解放のための作戦だったのである。
「日本のメディアではほとんど報道されていませんが、まず、彼らはガザ周辺にある十二のイスラエルの軍事基地を占拠しました。そこにいたイスラエル兵を捕虜にして、その後、イスラエル軍との交戦になり、基地にいた戦闘員たちは全員殺されたのだと思います。このことにはほとんど触れられず、キブツと野外音楽祭が襲撃され、そこで民間人が殺されたことばかりが強調されて、報道されているように思います。
占領下にある者たちが、占領からの解放のために、占領軍に対して武力を用いて抵抗することは、国際法上、正当な抵抗権の行使です。しかし、この時には守るべきルールがあります。民間に対する攻撃や、民間人を人質に取ることは、国際人道法違反であり、戦争犯罪です。占領からの解放を目指す武装抵抗が正当なものであるとしても、戦争犯罪に当たるこうした行為は許されるべきものではありません。国際法に則って、戦争犯罪としてきちんと裁かれるべきことです。だからといって、占領下のパレスチナ人が、イスラエルによる占領からの解放を求めて戦うということ、それ自体が違法化されるわけではありません。」(p160~161)
そう、戦争犯罪は裁かれなければならない…では、イスラエルの行ってきた戦争犯罪や、国連決議違反、人道にもとる数々の行為は、これまで裁かれてきたのか?誰か責任者が責任をとったのか?
そして、10月7日以降「ハマースとは何か」と問われることに対し、むしろ問うべきは「イスラエルとは何か」である、どのように建国されたのか、何をしてきて、何を行っているのか…それがこの問題の根本なのである。(「イスラエルとは何か」というのが、本記事の前編である)またイスラエルは「アパルトヘイト国家」でもある。これはパレスチナにかかわる人権団体や国連の専門家が常々主張していることであり、「ユダヤ人至上主義」を掲げ常にパレスチナ人に対する差別・抑圧を国家として続けているということだ。南アフリカでかつてアパルトヘイトと闘っていたANC(アフリカ民族会議)が「テロ組織」とされ、ネルソン・マンデラも「テロリスト」とされていたように、イスラエルはパレスチナにある六つの字k年団体を「テロ組織」として認定している。
そして岡真理さんは「もう一つ強調したいのは、パレスチナ問題の根源にある、イスラエルによる占領、封鎖、アパルトヘイト、そして、難民の帰還ーこれらはすべて、「政治的な問題」だということです。
植民地支配されている国の独立が、政治的な解決を必要とする政治的問題であるのと同じく、パレスチナ問題は政治的な問題です。しかし、イスラエルは人為的にガザに大規模な人道的危機を作り出すことによって、本来は政治的問題であるはずのものを「人道問題」にすり替えてえいます。」(p178~179)
今現在行われている空爆、攻撃、封鎖による水、食料、燃料、電気、医薬品の欠乏そのものは「人道問題」であり、一刻も早い停戦と「人道物資」支援が望まれるが、それで終わりということでは絶対にない!イスラエルの違法な占領を終わらせ、パレスチナを解放すること…それは政治的な解決をやらなければならない。そのためには、世界がアパルトヘイトを行っていた南アフリカに対し「経済制裁」「ボイコット」等を行い、徹底的に批判・非難してきたことを、イスラエルに対して(そうすると、後ろ盾になっているアメリカや欧州の一部の国に対しても)行わなければならないだろう。それぐらい厳しい政治対決になる。
岡真理さんは、京都大学での講演では、マンスール・アル=ハッラージュというイスラーム中世の神秘主義者の言葉
地獄とは、人々が苦しんでいるところのことではない。
人が苦しんでいるのを誰も見ようとしないところのことだ。
を紹介し、早稲田大学での講演では、ネルソン・マンデラの言葉
パレスチナ人が解放されない限り、私たちの自由が不完全であることを私たちは熟知している。
を紹介して、講演をしめられた…
みんなでパレスチナ解放のため、声をあげていこう!