昨日19日、自民党・維新の連立政権である高市政権が発足した。高市は安倍晋三の“後継”を辞任する右翼政治家であり、靖国神社にも進んで参拝する極右政治家である。彼女が自民党総裁に選ばれて後「政治とカネ」の問題に対する認識の甘さから、公明党が26年間続けてきた自民党との連立から離脱するという出来事が起こった。しかし高市は、周回遅れの新自由主義政策とファシスト的政治手法により大阪をグっ壊した維新と手を組み、政権を獲得した。しかしこの政権は衆議院で自民党と維新連立でも過半数に届かない”少数与党”であるがゆえに、、日本帝国主義の危機を極右的・ファシズム的に突破するとんでもない政権として立ち現れてきている。発足した高市政権を、自民党、日本維新の会、連立政権合意書の全文からみてみよう。(日本経済新聞による全文pdfはこちら)
 
 合意書の前置きでは 国難を突破し、「日本再起」を図ることが何よりも重要である。 と書かれている。そして「自立する国家」として、日米同盟を基軸に、極東の戦略的安定を支え、世界の安全保障に貢献する。わが国には、そのような覚悟に加え、安全保障環境の変化に即応し、「国民をどう守るか」「わが国の平和と独立をどう守るか」というリアリズムに立った視座が不可欠である。と続く…覚悟という言葉は「台湾有事」に対する”覚悟”を求めたへグセス米国務長官に答えるものだ。そして 国民に寄り添った経済対策などの速やかな実現に加え、憲法改正や安全保障改革、社会保障改革、統治機構改革を含む中長期にわたる日本社会の発展の基盤となる構造改革の推進について、本合意に至った。と続く。改憲も見据えた改革のオンパレードである。
 それにもとづき、まず合意文書の Ⅳ外交安全保障 をみてみよう。まず戦略三文書を前倒しで改定する。とある。2022年に岸田政権が「安保関連3文書」を改訂し、5年間で43兆円もの大軍拡に踏み込んだわけだが、高市政権はそれをさらに前倒しで改定し、さらなう軍拡を推し進めるとしている。そして長射程ミサイルの配備、展開を推し進めるとともに、次世代の動力を活用したVLS搭載潜水艦の保有にかかる政策を推進する。と書いている。次世代の動力とは原子力であり、VSLとは垂直ミサイル発射システムのことだ。原子力潜水艦を持ち、そこから敵を攻撃するミサイルを発射するというものだ。また 26年通常国会において「防衛装備移転三原則の運用指針」の5類型を撤廃し、防衛産業にかかる国営工廠(こうしょう)および国有施設民間操業に関する施策を推進すると記述し、武器輸出、防衛産業の更なる育成に邁進することを宣言している。
 またこのような急激な軍拡・戦争準備の動きは、当然反対の声があがってくる。石破政権・中谷防衛大臣は自衛隊の訓練や増備に対する反対の声を「妨害」などと言いつのったっが、高市政権はそれらを強力に取り締まり、圧殺しようとしている。それが合意文書 Ⅴインテリジェンス政策 の中にあるインテリジェンス・スパイ防止関連法制(基本法、外国代理人登録法およびロビー活動公開法など)について25年に検討を開始し、速やかに法案を策定し成立させる とある。のちに述べる外国人対策とも関連して、反対する者(高市軍拡だけでなく、その他の政策についても)をスパイとレッテルを張って取り締まり、排除する「スパイ防止法」の制定を目論んでいるのである。
 ここでⅢ皇室・憲法改正・家族制度などにもどってみてみよう。まず「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする」案を第一優先として、26年通常国会における皇室典範の改正を目指すとあり、ガチガチの男系天皇制を護持するための皇室典範改正を打ち出している。また憲法9条改正に関する両党の条文起草協議会を設置する。設置時期は、25年臨時国会中とするとあり、緊急事態条項(国会機能維持および緊急政令)について憲法改正を実現すべく、25年臨時国会中に両党の条文起草協議会を設置し、26年度中に条文案の国会提出を目指す とある。緊急事態条項を持つための憲法改正に、期限をくぎり前のめりとなっている。その他、旧姓の通称使用の法制化法案を26年通常国会に提出し、成立を目指すと「選択的夫婦別姓」制度を葬り、また26年通常国会において、「日本国国章損壊罪」を制定し、「外国国章損壊罪」のみ存在する矛盾を是正する というようなことも書いている。ただし「外国国章損壊罪」というのは外国との外交問題を発生させないための法律であり、日本国内で日本国旗を損壊しても何の不都合も起きない…他人の所有物としての「国旗」」を損壊した場合は、他人のものをぶっ壊した器物損壊罪に問われるだけだ…単に表現の自由としての日本国旗損壊を「国旗を汚すものは許さん!」とばかりに罪に問おうとするクソ右翼・ファシスト政権の恐ろしさである。
 Ⅵエネルギー政策では 安全性確保を大前提に原子力発電所の再稼働を進める。また、次世代革新炉および核融合炉の開発を加速化する と、完全に原発再稼働・新設に舵を切った。またⅨ人口政策および外国人政策を見ると、外国人対策として(1)内閣における司令塔を強化し、担当大臣を置く と書き、これは高市政権で普段から排外主義的な発言をしている小野田紀美を「外国人政策担当」に就けた。Ⅺ統治機構改革では、首都機能分散および多極分散型経済圏を形成する観点から、25年臨時国会中に、両党による協議体を設置し、首都および副首都の責務および機能を整理した上で、早急に検討を行い、26年通常国会で法案を成立させる とあり、維新が主張する「副首都」構想(三回目の大阪都構想)を全面的に取り入れたものだ。
 肝心のⅫ政治改革では、自民党と維新の違いを埋めることができず、その代わりに1割を目標に衆院議員定数を削減するため、25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指すと、なぜか誰も望んでいない議員定数1割削減というものが盛り込まれている。議員定数削減については、維新・吉村大阪府知事が連立交渉中に「議員定数削減が一丁目一番地」などと持ち出し、維新流の「身を切る改革」をアピールしていたのであるが、議員定数を削減したところで出てくるカネはわずかである(天皇制を廃止したほうがカネが出てくるだろう)選挙区の定員を削減すれば、人口の少ない地方の声を代表する議員が出にくくなり、比例代表の定員を削減すれば、少数意見を代表する政党から議員が出にくくなる。現に大阪では維新政治のおかけで大阪市、大阪府とも議員定数が削減され、維新、自民党、公明党ぐらいしか議員になることができなくなった。実質これで大阪は維新の「独裁政治」が成立してしまったわけだが、こんな悪手を25年臨時国会で議員立法案を提出するなど合意しているわけだ。
 大軍拡と原発再稼働・新設(核武装への道)、スパイ防止法、日本国国章損壊罪、そして議員定数削減などの民主主義破壊・ファシズム政策をとりながら、肝心のⅠ経済財政関連施策はどうか、ガソリン税の旧暫定税率廃止法案を25年臨時国会中に成立させる。電気ガス料金補助をはじめとする物価対策を早急に取りまとめ、25年臨時国会において補正予算を成立させる と緊急性の高い、できそうなものは一番最初に記載しているが、自民党がかねてより訴えていた給付金政策は 子どもや住民税非課税世帯の大人には一人4万円、その他の人たちには一人2万円を給付するという政策は行わないものとする。と全面的に後退し、また多くの人が望んでいる消費税減税についても飲食料品については、2年間に限り消費税の対象としないことも視野に、法制化につき検討を行う とほぼ先送り、ゼロ回答状況である。Ⅱ社会保障政策については、みるべきものはないが、「OTC類似薬」を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映などの応能負担の徹底など、25年通常国会で締結したいわゆる「医療法に関する3党合意書」および「骨太方針に関する3党合意書」に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を25年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止め、引き下げていくことを目指すと、既に上げられた、ただし民衆が望んではいない政策を粛々と追行するということが書かれている。もちろん、これらの「改革」がうまくいかなければ、軍拡予算分も含む増税と社会保険料の増額もしくは福祉切り捨てが待っている。

 上に見たように、自民党・日本維新の会が取り交わした連立合意文書には、とても恐ろしい軍拡・戦争とそのための民主主義破壊・ファシズム政策が書き連ねられている…しかも緊急事態条項や議員定数削減など、25年、26年と年限を区切っている政策も多い…これは新自由主義性s買うを掲げる維新が、企業の「成果主義」的な考え方をとっていることにも影響されていると思うのだが、それだけ日本帝国主義の危機が「待ったなし」と認識されていることに他ならない。他方、期限切りの政策は、仮に期限通りにできなければ維新から見れば「連立解消」の理由にもなりかねない。闘い方としれば、期限までに成立させないといったやり方が重要になるし、相手の攻撃もスケジュールに余裕のない、ハードなものとなり、なりふりかまわぬやり方でやってくるだろう!自民党と維新の連立合意文書の危険性を広め、闘いを構築しなければならない!

ファシズムと戦争に突き進む高市・維新政権を打倒しよう!