前編の続き。
 講演は次に、顧問の北上田毅さん「奄美の自然・生活環境を守ることが「辺野古」を止める!」と題したもの。まず現在の辺野古の様子から。
DSC03076
DSC03077
 何基もの地盤改良を行う台船が、大浦湾で工事を進めている。外周護岸、A護岸工の様子であるが、中詰めに大量の砂が必要である。ただ、工事の進捗をみてみると地盤改良の工事は、計画では4年半の行程だが、今のペースでは7年かかる。土砂は全体土量の17%しか投入されておらず、このペースでは37年かかる。これから台風の時期が来るが、櫓を高く改良した不安定な地盤改良船が避難にも時間がかかることになる。
 一方、埋立用材の調達が、辺野古の工事を決めると言っても過言ではない。400万㎥の砂は、沖縄県の1年間の使用量の3~4年分だ。防衛局は、奄美大島から1190万㎥の調達が可能だとしている。
DSC03079
DSC03081
 鹿児島県の海砂採取に関しては、現状では規制が緩い。また奄美大島の採石場は採取が荒っぽい。沖縄県の土砂条例に基づく、奄美大島の土砂を搬出するための防衛局からの書類提出はまだない。おそらく調査で「特定外来種」が見つかったのであろう。今、防衛局は搬出する土砂を「石材」と言い切っている…洗浄で”対策”ができるからだが、土砂は対策ができない。しかし土砂条例には罰則がないため、なし崩しにされる恐れもある。しかし、奄美大島からの土砂搬出を止めれば、辺野古は止まるということであった。
 つづいて、土砂全協顧問で環瀬戸内海会議共同代表の湯浅一郎さんの「瀬戸内海から海砂採取問題を考える」と題した講演。日本政府は辺野古新基地建設で時代錯誤のことをやっていると批判したうえで、80年代の三原瀬戸における海砂採取の影響について説明された。
DSC03083

DSC03084
 イカナゴは砂地で「夏眠」するが、海砂採取によりイカナゴの漁獲量が減少した。またイカナゴを餌とするスナメリクジラも減少した。海砂採取は食物連鎖の構造を大きく変えることになり、持続可能ではない。
 瀬戸内での海砂採取が困難になり、九州や沖縄の海砂に移行している…沖縄での海砂大量採取は、海底地形の変化や濁水の拡散、海草の減少から、まだ絶滅していないジュゴン生息への致命的な打撃となる。その他、生態系・食物連鎖への影響も考えられる。沖縄県は海砂採取の環境への影響を包括的に評価しておらず、総合的な実態調査が必要だとのことであった。
 続いて、自然と文化を守る奄美会議の城村典文さんから、奄美大島の上空にオスプレイの低空飛行訓練ルートがあるという話。
DSC03089
 2016年12月、沖縄県名護市安部にオスプレイが墜落した時の事故報告書、付属資料も含め検証すると、何度も「奄美LATルート」という言葉が出てくる。(LAT=Law Alutude Tactics 低高度飛行戦術)奄美大島でそういった訓練をやっているのではないか?ということだ。先日の4・10防衛省交渉では「奄美LATルート」とは何か?を政府に初めて問う機会になった。政府は否定することもなかったので、多分答えられないのであろう。地元から声を上げ、鹿児島県を動かすことが重要で、沖縄県を含めた九州知事会で共有し、住民の安全と健康を守るため、政府に突きつけていくよう求めるべきと訴えた。
DSC03093
 最後は「沖縄ドローンプロジェクト」の奥間政則さんから、奄美大島のあちこちをドローンで撮影してきた状況の報告。
DSC03092
 辺野古埋立護岸の消波ブロックも、奄美大島で作っているらしい。

 講演の後は、交流会…
DSC03096
 奄美大島で護岸のない嘉徳浜、ウミガメが卵を産みに来る海岸なのだが、ここにコンクリートの護岸を作る計画がある。それに抵抗して座り込みを続けている若者の、ジャンベ演奏の披露がなされた。

 翌日、25日はフィールドワークで、採石場や嘉徳浜、瀬戸内分屯地や弾薬庫など奄美大島じゅうを回ることになっているのだが、あいにく私は所要のためこの日の午後の飛行機で帰阪することになっており、参加できなかった。かわりに午前中、名瀬にある奄美市立奄美博物館に行くことに。
DSC03099
DSC03102
 奄美の古民家が展示されており、内部に入れないが無料で見ることができる。また博物館の入場料は300円である。
 博物館では、薩摩が奄美大島にサトウキビ栽培をプランテーション的に強制し、ガチの植民地支配をしていたことを改めて認識させられた次第だ。また、奄美の自然や歴史、文化の紹介もばっちりである。
DSC03107
 博物館の前の道路だけ、なぜか石畳風の舗装である。
 ではでは…