9月22日、杉原浩司さん講演集会に参加してきた。DSC01453
 入口で大量のレジュメ、チラシを受けっとって入場…14時に司会の難波希実子さん(能勢町議会議員)からプログラム、スケジュールの紹介を含めたあいさつで始まる。
 実行委員会を代表して岩田吾郎さんがあいさつ…反戦運動を、反軍運動にしよう。また沖縄から韓国、朝鮮、台湾、中国の人民との国際連帯が大切だと述べられた。
 つづいて人民新聞の朴偕泰(パクテヘ)さんからのビデオメッセージ。彼は現在、アジアを放浪中とのことで、香港や台湾で運動をしている人との交流について述べた。香港の民主化運動では、大学が運動の中心を担ったが、現在はセキュリティが厳しくて外部の人間が大学に立ち入れなくなっているとのこと。また台湾では「台湾労働党」という左翼政党(国会議員はいないが、地方議員はいる)と交流してきた…台湾では日本の植民地支配を肯定するような動きがあるが、そういったことも含めて相手と交流することが重要だと述べられた。
 次が杉原さんの講演である。
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 まずスライドで武器見本市の様子や、経営者どもが協力覚書締結を祝して乾杯しているところ、抗議行動、ダイ・インの様子などの説明がなされた。WAR STARTS HERE(戦争はここから始まる)…これは2019年の幕張メッセで行われた武器見本市に対する抗議行動で掲げたものだそうな。杉原さんは2015年5月、パシフィコ横浜で行われた武器見本市に一人で抗議行動を起こし、そこから武器取引反対へっとワーク(NAJAT)をつくることになる。今はなく張メッセや東京ビッグサイトで武器見本市がたびたび行われており、その中で「殺傷能力が向上した」と宣伝される…それが武器見本市の世界なのだ。
 その後、レジュメをかいつまんで説明する形になる…エマニュエル駐日米国大使は「岸田首相は2年間で、70年来の政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費のGDP比2%への増額、反撃能力保有、そのためのトマホーク購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもメドをつけた。日本は今や米国にとって完全なる安全保障のパートナーだ」(4月7日 産経)と大絶賛している。しれっと悪いことをしている、安倍ができなかったことをやった岸田は、安倍より悪いと述べた。
 「武器輸出三原則」は1967年からの国会答弁で確認されてきたもので、憲法9条の理念を主権者の力で具現化させたものである。それを2014年4月に安倍政権が閣議決定だけで「武器輸出三原則」を撤廃して「防衛装備移転三原則」をつくった…これは行政による独裁である。「防衛装備移転三原則」では「紛争当事国」には武器輸出できないが、「武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連案税保障理事会が取っている措置の対象国」は、2024年2月21日の林官房長官の答弁では「現時点では基本的に存在しない」そうだ。これではイスラエルやロシア、ウクライナに武器を輸出することも可能になる。それでもこれまで殺傷壁兵器の輸出は回避していた。2023年6月に、立憲民主党も賛成して「軍需産業強化法」が成立し、武器輸出や設備増強に税金が投入されるようになる。この時杉原さんも参議院外交防衛委員会の参考人として参加し、自民党松川るい議員と「死の商人」という言葉をめぐって論争した。また2023年12月には殺傷武器輸出も解禁される…ライセンス品のライセンス元国への輸出、例えばアメリカやドイツなどへの輸出は、玉突きでウクライナやイスラエルに武器を輸出することにつながる。また部品輸出も、F15戦闘機のエンジンを輸出すれば、それを使用した戦闘機による戦争犯罪に加担することになる。次期戦闘機の第三国への輸出は、例えば英国がサウジアラビアにユーロファイターを輸出したら、それがイエメン内戦への軍事介入に使われ、無差別爆撃に多用された。韓国もフィリピンへFA50戦闘機を輸出したが、2017年ミンダナオ島マラウィ市でのフィリピン軍と武装勢力との紫外線に使用されるなどの問題があった。次期支援戦闘機輸出に設定されている「歯止め」も、後から「閣議決定」とかで追加したり、停戦になれば(イスラエルであっても)Okなのか?何一つ歯止めになっていない。次期戦闘機の輸出を認めた先には「地対艦ミサイル(12式地対艦誘導弾能力向上型)」の輸出が目論まれている。そうゆうことを軍事の評論家も言っているが、柚須津をしてはいけない。
 OSA(政府安全保障能力支援機構)は、「同志国」軍への武器無償供与であり、外交を軍事化させ、中国包囲網の一翼を担うものだ。2023年度は20億円がフィリピン、マレーシア、フィジー、バングラデシュに、2024年度は50億円がフィリピン、インドネシア、パプアニューギニア、ベトナム、モンゴル、ジブチに…と。国内紛争や軍・警察による人権侵害に加担しかねないものである。
 日本における武器見本市は、2015年5月のパシフィコ横浜でのMast Asiaに始まり、千葉の幕張メッセでも4回行われている。イスラエル軍需企業の出展が拡大しており、2019年11月では3社だったものが、2023年3月には16社に増えている。
 軍事費の伸びについて日本はトップクラスであり、軍需企業にとって日本は魅力的な市場である。米ロッキード。マーチン、英BAEシステムズなどの欧米軍需大手企業がアジアの拠点を日本にシフトしている。国内の軍需大手企業も軒並み品員と設備を拡大・増強している。三菱重工は「ミサイル特需」で23年度契約額が1兆6803億円となり、政府の有識者会議のメンバーにもなっている。
 2024年4月の「日米合意」とオーカス(AUKUS 米・英・豪)の取り込みについて、「日米防衛産業協力・取得・維持整備定期協議」(DICAS)が創設され、ミサイルの共同開発・生産、米軍艦船・航空機の日本企業による維持整備を解禁し、米国の武器生産体制のひっ迫を保管しようというものができた。9月24・25日に防衛省で行われる予定の作業部会では、ミサイルの共同生産と米空軍航空機の維持整備などが議題にあがるだろう。また日本は対中国抑止の攻撃的軍事同盟AUCUSと「第二の柱」で先端技術分野をめぐる協力に向けた協議を開始しており、日本が強いとされるAIや量子技術を使って新しい武器の開発が行われる。9月17日、米英豪の首脳は共同声明で「海上の自動航行システム開発での日本との協力」を表明しており、これは日本企業への機密保持態勢(セキュリティクリアランス 経済秘密保護法)と連動してくる。(つづくよ)