23日に行われた沖縄県民大会同時集会inおおさかの、主催者挨拶・集会呼びかけを転載する。
集会の呼びかけ
集会の呼びかけ
沖縄戦から78年。沖縄の施政権返還から51年。この長い時間を、私たちはいかに過ごしてきたのでしょうか。「基地のない平和な島を返して欲しい」 沖縄の方々の切なる願いを、私たちは今日まで裏切り続けてきました。その罪深さを、私たちは真摯に反省しなければなりません。
昨年、日本政府は安保関連3文書を改訂しました。防衛費を5年間・43兆円に拡大させ、「敵基地攻撃能力」の保有を決めた政府は、石垣島・宮古島など琉球弧の島々に対し、中国本土を射程に入れた長距離ミサイルを配備しようとしています。「台湾有事は日本有事」 そんな掛け声の下で、自衛隊と米軍との一体化が進められ、8月に台湾を訪れた自民党の麻生副総裁からは、「戦う覚悟」との言葉が飛び出しました。日本が沖縄を、そして東アジアを、戦渦に巻き込む主犯格になっている。そう言わざるを得ない状況です。
9月4日、最高裁は辺野古訴訟における沖縄県の敗訴を確定させました。2019年2月24日の県民投票や、過去3度の県知事選の結果は、「辺野古反対」が県民の民意だとはっきりと示しています。しかし、この国の司法は、沖縄の民意を無視し、行政不服審査制度を濫用して辺野古新基地建設を強行する政府の共犯者になりました。現在、国が沖縄県に代わって辺野古新基地建設の設計変更を承認する代執行訴訟が行われていますが、この国は地方自治も、法治主義も、さらには科学的判断も、全てかなぐり捨ててしまったのです。
この辺野古新基地建設には、沖縄戦の激戦地とされ、戦没者の遺骨・血・肉が染み込んでいると言われる沖縄島南部の土砂が使われようとしています。沖縄県内のみならず、全国200以上の自治体で反対意見書が出されても、国は土砂採取地から南部戦跡を外そうとしません。一度戦争の犠牲にされた方のご遺骨を使って、新たな戦争に繋がる基地を作る。このことは、今の政府が、沖縄戦が生んだ犠牲を気にも掛けていないのだと象徴しています。
基地問題は人権問題です。沖縄では基地があることにより、米兵による事件・事故が後を絶たず、凄惨な性暴力も繰り返されています。保育所・学校・病院の上空を軍用機が飛び、早朝や深夜にも訓練が行われ、爆音が平穏な生活を奪っています。基地由来の有機フッ素化合物PFASは河川や湧き水を汚染し、住民の健康や地域の農業を脅かしています。日米地位協定によって無制限とも言うべき特権を与えられた米軍は、人権問題も環境汚染も「やりたい放題」です。しかし、日本政府は不平等な日米地位協定を改善する努力すら見せません。
日本は過去に沖縄を武力で「併合」、「植民地化」し、文化や言葉を奪いました。沖縄戦中は国体護持のため10万人以上の県民を犠牲にし、戦後は本土の独立のために、沖縄を米軍に差し出しました。沖縄が米軍占領下にあった1952年から1972年の間には、本土から沖縄へ米軍基地・部隊の移駐が進みました。1972年の施政権返還以降も、沖縄への軍事負担の一極集中は解決せず、全国の米軍専用施設の7割が、今沖縄に押しつけられています。
今、日本は沖縄戦前と全く同じように、沖縄を対中戦争の「盾」に使おうと、沖縄のさらなる軍事植民地化に走っています。日本国憲法前文は、「われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する」と謳っています。私たちはこの理念に立ち返り、沖縄から、そして世界中から、軍事占領と植民地主義を根絶させなければなりません。
沖縄も日本も、パレスチナもウクライナも、そして世界中のどこも戦場にしてはいけない。そのことを改めて確認し、沖縄を戦場にする大軍拡に走る今の政治を変えることを誓います。