たたかうあるみさんのブログMKⅡ

み~んなそろって、闘争勝利!でもやっぱりメットは、白でしょ⁉ということにしておこう。

容量がいっぱいになった「たたかうあるみさんのブログ」を移動して、2020年7月に新たに開設した、共産趣味鉄道ヲタブログ⁉…旅行、萌え系ネタ⁉もあります。

2023年09月

ゼロからの「資本論」を読む(その4)

 しばらくあけたが、(その2)(その3)で「法学幻想」批判とアソシエーションに支えられた「福祉国家」論について紹介した。なぜ「アソシエーション」を重要視するか?というと
 マルクスによれば、法や制度よりも根幹にあるのが、商品や貨幣が人間を支配するような力をふるっているという現実そのものです。人間とモノの関係性の転換をマルクスは「物象化」と呼び、批判したのを思い出してください(本書第一章参照)
 ここでまず確認しておきたいのは、マルクスにとって資本主義に抵抗するうえで重要なのは国家権力の奪取や政治体制の変革ではなく、経済の領域でこの物象化の力を抑えていくことなのです。そう言うと難しく感じるかもしれませんが、要するに、商品や貨幣に依存せずとも生きていけるように、日々の選択の余地を広げていくということです。(p168~169)

 引用の後半は、のちに問題として別途とりあげるが「物象化」を打ち砕こう!ということに他ならない。そして
 けれども、ソ連ではまず先行したのは国有化の力です。それとは反対に、福祉国家の場合、先にあるのは、物象化の力を抑えるための社会運動です。これをマルクスは「アソシエーション(自発的な結社)」と呼びます。(p171)
 と続いている。
 では「物象化」について第一章に戻ってみてみよう…
第一章「商品」に振り回される私たち では、商品とは、価値とは何か?という、資本論の一番最初の部分が展開されているのだが…ま、要するに
・商品であれ何であれ、労働によってモノを作る(生産する)
・つくられたモノ、商品は「使用価値」と「価値」を持つ
・資本主義社会は、「使用価値」をつくるためにモノをつくる(労働する)のではなく、「価値」をつくって売る(おカネを得る)ために商品をつくる(労働する)
 そして斎藤氏は次のように説明する。
 資本主義のもとでは、いくらで売れそうか、どれくらい儲かりそうかが大事です。つまり、価格という形で現れる「価値」の側面ばかりが優先され、肝心の「使用価値」は二の次になる。例えば、地球やお財布のことを考えれば、環境に配慮した素材を使って、長く使える商品を作るべきです。ところが、実際には、ファストファッションのように、環境負荷を無視して、安さを追求した洋服で、私たちのクローゼットはあふれかえっています。「儲かるモノ」(価値の側面)と「必要なモノ」(使用価値の側面)がここでは乖離しているのです。(p41)
 この乖離、そして「価値」に振り回される消費者、資本家も含めてこう展開する。
 「使用価値」のために物を作っていた時代は、文字通り、人間が「物を使っていた」わけですが、「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる。この現象をマルクスは「物象化」と呼びます。人間が労働して作った物が「商品」となるや否や、不思議な力で、人間の暮らしや行動を支配するようになるというわけです。(p42)
 こう「物象化」について説明をした。
 だから「商品」生産でない労働、必要な物やサービスを「商品」として「消費」せず、別の原理で手に入れることを、「アソシエーション」の力で行うことを訴えるということなのだ。

目玉が伸びてるので?網膜に孔が空くおはなし

 先週の金曜日、NHKで「チコちゃんに叱られる」を見ていると、お菜が「なぜ近くばかり見ると近視になるか?」であった。”所説あります”では胡麻化されないネタなので、注視していると…
 大昔のアップデートされていない知識では、近くばかり見るとピントを合わせるために水晶体が分厚くなり、それが元にもどらなくなって近視になる!とされていたのだが、それは「仮性近視」である。水晶体はちゃんともとの厚さに戻るらしい。そうではなく、近くばかり見ていると、目玉のほううがピントを合わせるために少し伸びる、そして一旦伸びると、元にはもどらない…これが近視なのだそうな。
 もう一度書きます…目玉が奥に伸びる→奥に伸びた目玉は、絶対に戻らない→っ得のピントが合わなで、近視に…というわけだ。
網膜に孔が開く1
 上の図で、ちょっとだけ目玉が横方向に長くのびるわけですね。そうすると、遠方の像が網膜上で結像せず、ぼやけて見えるのだ。
 ちなみに「ドラえもん」では何回か未来ののび太にタイムマシンで会うというシーンがあるが、のび太の近眼が直っている…しかし、目玉の伸びは戻らないので、近視が直るということはない。彼はレーシック手術でも受けたのであろう。(ドラえもんの「ひみつ道具」では治せないのか?22世紀も近視は治せない)
 さて、10年ほど前に右目の網膜に孔が空く「黄斑部円孔」というのが判明して、手術をしたわけだが、近視が強いひとほどこれにかかりやすい!ということは教えてもらっていた。(参考:網膜に孔の空くお話)では、なぜ近視だと円孔が空きやすくなるのか?それは眼球が伸びてすでに網膜が引っ張られている状態にあるからだと納得がいったわけである。はぁ~
 ちなみに「黄斑部円孔」で検索すると、いろいろひっかかってくる…例えば「株式会社三和化学研究所」という製薬会社のサイトに20。黄斑円孔・黄斑前膜というのがある。それにょれば
 硝子体の表面は硝子体皮質という膜で覆われていて、網膜の内側はこの硝子体皮質と接しています。そして硝子体は、歳とともに少しずつ液体(水分)に変化し、体積が縮小していきます。このとき硝子体皮質は網膜から剥がれ、その間にできる隙間は水分に置きかわります。この現象を「後部硝子体剥離はくり」といいます。これは50~60歳以降の人ならだれにでも起こる自然な現象で、問題となるほどの症状は現れません。
 ところが硝子体皮質と網膜の癒着が強すぎ、うまく剥がれてくれないことがあります。そのようなケースでは、硝子体収縮の影響が網膜に及んで、さまざまな病気が起きてきます。黄斑円孔や黄斑前膜も、それによって引き起こされるものです。

 加齢によって硝子体が縮むときに癒着が強いと、網膜の一部を引っ張ってしまい、孔が空いたりするのだそうな。ここにも
 この病気は硝子体の収縮が関係して起きるので、後部硝子体剥離が起こる60代をピークに、その前後の年齢層の人に多発します。とくに、硝子体の液化が進みやすい近視の人や女性に多い傾向があります。
 とある。なるほど、液化が進むのか!目玉が伸びているので引っ張られるわけではない…ようだ。
 とにかく私は近視が強いので、40代で黄斑部円孔になって
網膜に孔が開く2
 こんなふうに孔が空き、それをおさえるため硝子体をいじってガスを注入し、網膜を抑える(ガスをためるため、3日ぐらいうつぶせになって暮らさないといけない!)…手術は成功して網膜はくっついたが、ステージ4に進行して何年かたった時期だったからか、視細胞(錐体細胞)は復活せず、視力はおちたまんま。おまけに硝子体手術をやると白内障が進行しやすくなるので、白内障手術も3年ほど前にやる羽目になった。当然、視力は戻らず、眼鏡もあっていないままである。パソコンやスマホ作業はけっこうしんどい。

ということで、近視の強い皆様!加齢による黄斑円孔には気を付けるのだぞ!
症状的には、華麗性黄斑変性と同じように、視野の中心部がぼやけたり、ゆがんだりすることだから、見え方がおかしければ、眼科で検査を受けよう!

「VIVANT」は良くできたプロパガンダドラマ⁉

 TBS日曜劇場「VIVANT」…豪華なキャストとお金をかけたモンゴルロケ、目まぐるしく、そして驚くべき展開と伏線回収が続くこのドラマ…「豪華キャスト」につられて見ていた。(しかしハイライトである、乃木憂助(堺雅人)が別班を”裏切る”シーンの回は、北海道のTVのない安宿に泊まっていたため見逃し)なるほど、巷で話題になるぐらいエンタメとしてはすごく面白い!
 しかし公安や自衛隊「別班」が日本国家のためにテロ組織と戦う「正義の組織」であるという設定からして「あーそんなモンですか?」という違和感だらけではあるし(いわゆる「刑事もの」の影響か「名探偵コナン」にみられるようニッポンのエンタメって公安は「正義」っていう前提が多いな)最終回なんぞは、孤児院運営という“善行”のためテロ行為を請け負っていた”テロ組織”を完全不問にして、バルカ共和国(ドラマ上の架空の国)の”悪党”を排除し、ニッポン政府とバルカ共和国、そして”テロ組織”が、半導体産業に不可欠の資源をめぐってWin Winになる”見事な展開”に収束していくのをみて、「あーこりゃありえないなぁ~!」と思ってみていた。

 で、そんな違和感をうまく批評してくれているものを発見したので、ご紹介…ダイヤモンドオンラインより
ドラマ「VIVANT」の裏に極秘任務⁉最終回の役所広司のセリフに漂うきな臭さを”考察”
 ネットやSNSでさまざまな「考察」で大盛り上がりしたTBSの日曜劇場『VIVANT』が最終回を迎えた。
 これまでのさまざまな伏線が見事に回収された一方で、また新たな「謎」を示唆するようなシーンもあって、まだまだ考察を楽しんでいる人がいる。かく言う筆者もそのひとりで、最終回にあった不可解なセリフが気になって、ずっと考察を続けている。
 そのセリフとは、役所広司さん演じるテロ組織の指導者、ノゴーン・ベキが私腹を肥やすバルカ共和国(劇中の舞台となる架空の国)の悪徳政治家に平和を諭して、改心を促していた時のこんな発言だ。
 「日本では古くからありとあらゆるものに神が宿っていると考えられてきた。神はひとつではないという考えがあることで相手の宗教にも理解を示し、違いを超えて結婚もする。日本には考えの違う相手を尊重する美徳がある」
 このあからさまな「日本スゴイ」演説を聞いて筆者が感じたのは、『VIVANT』というドラマは実は日本人の愛国心を刺激して、自衛隊入隊者を増やすことを目的としたプロパガンダ・ドラマなのではないか、という疑念である。


 問題のセリフ、たしかに「八百万の神」を拝むニッポンは、昔から多様性を尊重し…云々というのはX(旧ツイッター)にもあふれている「日本スゴイ」系の言説で(それではなぜニッポンは入管問題や在日韓国・朝鮮人差別、LGBT差別などにまみれているのかさっぱりわからない)こんなものをなぜドラマ制作者がのほほんと重要なシーンのセリフにいれたのか、あきれてしまうものなのであるが…なるほど、「自衛隊(入退社を増やす)」プロパガンダ・ドラマだったということであれば、話は早い。
 そして、2ページ目でこう展開する
 そんなナチュラルなプロパガンダ臭は『VIVANT』からも漂ってくる。主人公が自衛隊の秘密組織「別班」というこれまでの日曜劇場にない設定だが、あからさまな「自衛隊のPR」という雰囲気はない。むしろ、規格外の予算、豪華キャストで「超娯楽作品」として仕上がっている。
 だが、『VIVANT』にハマれば確実に愛国心は刺激される。「日本を守る」ことに命をかける堺雅人さんや松坂桃李さんの演じる「別班たち」の活躍を見れば、「自衛隊かっこいいな」と感じる少年少女もいるはずだ。一般人の自衛隊への理解も深まる。

 もっとも、存在するのか否か明らかにされていない(一応公式には「存在しない」ことになっている)自衛隊の謎の組織、軍服も着ていない、戦車にも乗らず(ガルパンじゃねぇ!)災害救援で大活躍もしないドラマで「自衛隊かっこいいな」になるかは怪しいと思うのだが、自衛隊はともかく「公安かっこいい」「資源確保のため活躍するのはかっこいい」ぐらいにはなるだろう。

 本リンクはエンタメとプロパガンダについてもちょっと書かれていて、お勉強になります。

 おまけ(ネタばれつき?)
 最終回の一番最後、”テロ組織”の首領、ノゴーン・ベキ(役所広司)は自分を見捨てた公安警察の元上司に対する復讐を試みるのであるが、「別版」乃木憂助らに阻まれ、命を落とす…いやぁ~最後の復讐ぐらい貫徹させてやれよ!悪は滅びよ!でいいんじゃね⁉
 もっとも、このドラマは続編も期待されているので、ひょっとしたら「ノゴーン・ベキは生きていた⁉」で続編は彼の復讐もテーマに語られるのでは?おそるべきTBS日曜ドラマ…

バスも運行できなくなってきたニッポン!

 先月、赤字ローカル線の代替にはならないバス転換という記事をあげて、
 記事の最後には「バスドライバー不足の問題からも地域の交通崩壊を招きかねない」としている。最近は路線バス事業者でも人口減少、働き手不足による運転手不足が深刻化しており、バスを減便せざるを得ないという問題も起こっている。地方では赤字ローカル線の「代替バス」として手を挙げるであろう地域の事業者でも、人出不足でしり込みしているようなところもあるらしい
 てなことを書いたが、赤字ローカル線が走っているところではなく、大阪で人で不足によりバス路線を廃する!というニュースが流れてきた。Y!ニュース産経新聞
もう限界…金剛バス全線路線廃止の衝撃、地域の足引っ張る2024年問題
 燃料費の高騰や深刻な人手不足が、地域の「足」に影響を及ぼし始めている。大阪府富田林市など4市町村を中心に路線バスを運行する金剛自動車(同市)は、12月でバス事業を廃止すると発表。都市部から比較的近い地域での全15路線の廃止は、地元住民や関係者に衝撃を与えた。国は自動運転の実証実験を進めるなどしているが、運転手の残業規制が強化される「2024年問題」が迫る中、公共交通の在り方が改めて問われている。(以下略)
 金剛バスの全路線廃止、廃業は地元にとっても突然だったようで、記事にも「地元住民や関係者に衝撃を与えた」とある。モータリゼーションや人口減少で採算がとれない、赤字が累積している…というだけでなく「運転士がいない」というのは致命的だ。記事には
 月の平日利用者数は全路線で約2600人だが、平成25年度の乗客が約172万人だったのに対し、令和3年度は約106万人と約4割も減少。安全運行には約30人の運転手が必要だが、現在は20人(うち3人は他社からの派遣)で、過去3年間は赤字だったという。
 運行する4自治体からは補助金交付も打診されたが、最終的には断ったという。白江社長は「今後の運転手確保の見通しも立たず、補助金だけでは根本的な問題解決にならない」と述べ、バス事業が直面している厳しさを強調した。
 とある。矢折れ力尽き…というより、矢(運転士)がない!状況だ。
 廃止後もバス路線が維持できるよう、近鉄バスや南海バスも巻き込んで地元で協議中であるようなのだが、大手私鉄参加のバス事業者でもやはり運転士不足をはじめ、新規にバス路線を受け持つのはしんどいだろう。次は福岡の例Y!ニュースRKB毎日放送
路線バス廃止と減便の理由は「深刻な乗務員不足」 西日本鉄道の社長が説明
 西鉄は路線バスのダイヤを改正し、10月から福岡県内の32路線で減便・廃止すると発表しました。西鉄は乗務員が130人ほど不足していることを明らかにしました。
 西鉄 林田浩一社長
「2024年問題を含めて足元でも乗務員の不足が深刻化している。やむを得ず減便をやらせていただいた」
 減便されるのは福岡地区の17路線、北九州地区の11路線、久留米地区の3路線です。福岡地区では、利用者数が落ちている便を中心に平日で全体の1.6%にあたる186便を減便する一方、インバウンドの増加を受けて博多駅~福岡空港を結ぶ直行便を1日14便増便します。一方、筑豊地区の田川市などを走る「金田・方城」路線は、利用者の減少を受けて数年前から自治体と協議を重ね、廃止を決めたということです。
 乗務員37人分の業務量を削減
 西鉄によりますと、現在、乗務員が130人ほど不足していて、今回のダイヤ改正で37人分の業務量の削減になるということです。

 西鉄バスは福岡・北九州を中心に路線網を広げる大手民鉄傘下のバス会社であるが、そこでも運転士不足から減便や路線廃止をしているという。
 大都市近郊であっても、人手不足、労働者不足により、ついに公共交通機関が維持できなくなるところまでニッポン社会が追い詰められているのだ。

 少子化や「働き方改革」で、とくに建設業や運輸・物流関係、介護職などで労働者が不足しているというのは昨日今日始まったことではない。なりふり構わず外国人労働者を導入する!という方法をとらざるを得ないだろうが、入管体制に見られる外国人への差別や、そもそも日本の賃金水準が韓国、中国、台湾ほかアジアの国々と比べて低くなってきていることで「外国人労働者から日本が選ばれない」という問題も出てきている。またバスの運転手では、大型2種免許が必要になるから、外国人をただ読んでくればいいというわけにもいかない。

 もちろん、こういった少子化や労働者不足の原因は、日本の資本主義が新自由主義体制を極端に推し進め、労働者を蔑ろにする政策をとり続けてきたためであり、その責任は政権与党の自民党にある。

 いずれにせよ、数年、いや万博をやるまでもない間に、あちこちで労働者不足による社会の麻痺や縮小が起こってくるのではないか?
 スーパーやコンビニには商品が並ばず、夕方の5時には棚が空っぽになってしまう。電車もバスも、昼間はほとんど動いていない、マイナンバーカードで役所の手続きを早く済ませても、肝心のモノが郵便事情で届かない、マンションでエレベータがぶっ壊れても、なかなか直らず、階段での上り下りを余儀なくされる…

 便利な日常生活も、もはやあと数年で送れなくなるのではないか?

 

ゼロからの「資本論」を読む(その3)

 斎藤幸平のゼロからの「資本論」(NHK出版新書2023年1月)を読んであちこち飛びながらのんびり解説するコーナー(その2
 資本主義社会をそのままにして、BIや税制改革による格差是正、MMTによる財政出動「雇用保障プログラム」を「法学幻想」としてぶった切った斎藤幸平氏であるが、欧州の資本主義社会はそのままの「福祉国家」については一定の評価を与えている。なお、彼が留学していたドイツは、大学の学費は無料!1学期2万円ほどで電車バス乗り放題の定期券がついた学生証がもらええる。それがあれば学食も集約円と安く…云々と続き、医療も原則無料、介護サービスも手厚く、失業者手当、職業訓練も充実している…のだそうで、これを
 これこそが、福祉国家の研究者であるイエスタ・エスピン=アンデルセンが「脱商品化」と呼んだ事態です。つまり、生活に必要な財(住居・公園)やサービス(教育、医療、公共交通機関)が無償でアクセスできるようになればなるほど、脱商品化は進んでいきます。これらの財やサービスは、必要とする人に対して、市場で貨幣を使うことなく、直接に医療や教育といった形で現物給付されるわけです。
 現物給付の結果、私たちは、貨幣を手に入れるために働く必要が弱まります。福祉国家は、もちろん資本主義国家です。けれども、脱商品化によって、物象化の力にブレーキをかけているのがわかるでしょう。(p170)

 と称賛しているのだ。
 手厚い福祉…とは、あまり対価を払わないで財やサービスを受け取れるので、ほとんど現物支給に近い…そうすると「生きるために」あるいは「老後に備えて」必死に働く必要はなくなるだろう。提供される財やサービスが、市場を通さないで、利用者からカネをもらわないで、提供されるならば、財やサービスを提供するための資金、労働者の賃金などはどうするのか?という疑問はのこる。
 斎藤氏によれば、これは物象化の力をおさえる社会運動の力、これをマルクスは「アソシエーション(自発的な結社)」と呼ぶが、それが先にあって、そこから提供されているのだそうな。
 実はマルクス自身は「社会主義」や「コミュニズム」といった表現はほとんど使っていません。浸るべき社会のあり方を語るときに彼が繰り返し使っていたのは「アソシエーション」という言葉なのです。(p171)
 労働組合、協同組合、労働者政党、NGO,NPO、み~んな「アソシエーション」なんだそうな。
 マルクスが目指していたのは、ソ連のような官僚支配の社会ではなく、人々の自発的な連帯を基礎とした民主的社会なのです。(p171)
 ふえぇ~ん、そうなのだ‼
 失業保険をはじめとする社会保険や年金、公共図書館から公共医療まで、その発端は労働組合、協同組合、互助組織の実践による、自発的な相互扶助システムなのだそうな。
 現代社会ではこういった社会福祉制度も、国家の行政機構にしっかり組み込まれているから、ついつい税金の分配や「財源論」でものごとを考えてしまう。日本の「公共交通」なんかも「受益者負担原則」でサービスに対してそこそこのカネ払って利用せざるを得ないから、そうすると税制改革やMTTででてきたカネを国家がつぎ込むとかの「法学幻想」に陥ってしまうのだろう。
 
 ただ斎藤氏も当然、福祉国家を手放しで礼賛しているわけではない。本書では福祉国家の限界を4点
1.官僚制の肥大化の問題…アソシエーションに端を発したとはいえ、国家や行政権力の力、官僚制が大きくなること、また労働者民衆の自発的な参加から、大きな組合・組織にまかせっきりの受動的な状態に変わっていく、そのことで労働者もまた資本主義的な価値観を内面化するようになること。
2.南北問題…福祉国家の「再分配政策」が高度経済成長を前提とするものであるから、経済成長のためより弱い立場の者から搾取・収奪することになること。福祉国家があくまでも先進諸国の一国内で「脱商品化」を進めても、外部としての途上国や旧植民地国からの膨大な搾取に依拠してしまうこと。
3.自然環境の収奪…より弱い立場のののからの搾取を批判しないで、資本主義の恩恵を享受して満足する、「帝国的生活様式」を維持するための収奪と外部化は、大量生産、大量消費のライフスタイルが普及することで、自然環境がその犠牲になること。
4.福祉国家の家父長的性格、ジェンダー不平等を再生産してしまった問題…マジョリティ男性が労働者として毎日働けるための、ケアの労働は女性のものとされ、料理・洗濯・子育ては再生産に必要なものであるにもかかわらず、賃金もいっさい払われないまま放置されてきたこと。
 斎藤氏は、こうした福祉国家の限界にしっかり向き合わなければならないし、福祉国家を可能にしていた高度経済成長はもはや達成可能ではないし、気候変動のような地球の限界を前にしてさらなる外部化、収奪もできない、先進国中心で官僚的、男性中心主義的な運動は、社会を変えるために必要な広がりを欠くだろうとして。こうまとめている。
 つまり、階級だけでなく、ジェンダーや環境、人種の問題に取り組む、新しいアソシエーションと脱商品化の道を改めて考えなければなりません。そしてそれが<コモン>の再生であり、最晩年のマルクスが考えていた「脱成長コミュニズム」なのです。(p184)
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あるみさんとは

あるみさん

左翼、時々テツ!ちょっぴり萌え系…白系共産趣味ブログであったが、どうも本人のスピリットは赤か黒らしい。闘争・集会ネタが主。主戦場は沖縄・辺野古。
 もとネタは、鉄道むすめのメットキャラ「金沢あるみ」さん。フィギュアを手に入れ、メットを白く塗ったりして遊んでいた。「あるみさん」つながりで「すのこタン。」も要チェック!
 「侵略!イカ娘」からはまったのは「ガールズ&パンツァー」…梅田解放区の隠れ「ガルパンおじさん」でもあるが、今は「はたらく細胞」の「血小板ちゃん」にハマり(おいおい)人間が朝の6時に起きれるか!という謎のコンセプトで生きている。

メールは、nishihansenあっとyahoo.co.jpまで(あっとを@に変更して下さい)
ではでは(^^)

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