しばらくあけたが、(その2)(その3)で「法学幻想」批判とアソシエーションに支えられた「福祉国家」論について紹介した。なぜ「アソシエーション」を重要視するか?というと
マルクスによれば、法や制度よりも根幹にあるのが、商品や貨幣が人間を支配するような力をふるっているという現実そのものです。人間とモノの関係性の転換をマルクスは「物象化」と呼び、批判したのを思い出してください(本書第一章参照)
ここでまず確認しておきたいのは、マルクスにとって資本主義に抵抗するうえで重要なのは国家権力の奪取や政治体制の変革ではなく、経済の領域でこの物象化の力を抑えていくことなのです。そう言うと難しく感じるかもしれませんが、要するに、商品や貨幣に依存せずとも生きていけるように、日々の選択の余地を広げていくということです。(p168~169)
引用の後半は、のちに問題として別途とりあげるが「物象化」を打ち砕こう!ということに他ならない。そして
けれども、ソ連ではまず先行したのは国有化の力です。それとは反対に、福祉国家の場合、先にあるのは、物象化の力を抑えるための社会運動です。これをマルクスは「アソシエーション(自発的な結社)」と呼びます。(p171)
と続いている。
では「物象化」について第一章に戻ってみてみよう…
第一章「商品」に振り回される私たち では、商品とは、価値とは何か?という、資本論の一番最初の部分が展開されているのだが…ま、要するに
・商品であれ何であれ、労働によってモノを作る(生産する)
・つくられたモノ、商品は「使用価値」と「価値」を持つ
・資本主義社会は、「使用価値」をつくるためにモノをつくる(労働する)のではなく、「価値」をつくって売る(おカネを得る)ために商品をつくる(労働する)
そして斎藤氏は次のように説明する。
資本主義のもとでは、いくらで売れそうか、どれくらい儲かりそうかが大事です。つまり、価格という形で現れる「価値」の側面ばかりが優先され、肝心の「使用価値」は二の次になる。例えば、地球やお財布のことを考えれば、環境に配慮した素材を使って、長く使える商品を作るべきです。ところが、実際には、ファストファッションのように、環境負荷を無視して、安さを追求した洋服で、私たちのクローゼットはあふれかえっています。「儲かるモノ」(価値の側面)と「必要なモノ」(使用価値の側面)がここでは乖離しているのです。(p41)
この乖離、そして「価値」に振り回される消費者、資本家も含めてこう展開する。
「使用価値」のために物を作っていた時代は、文字通り、人間が「物を使っていた」わけですが、「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる。この現象をマルクスは「物象化」と呼びます。人間が労働して作った物が「商品」となるや否や、不思議な力で、人間の暮らしや行動を支配するようになるというわけです。(p42)
こう「物象化」について説明をした。
だから「商品」生産でない労働、必要な物やサービスを「商品」として「消費」せず、別の原理で手に入れることを、「アソシエーション」の力で行うことを訴えるということなのだ。
マルクスによれば、法や制度よりも根幹にあるのが、商品や貨幣が人間を支配するような力をふるっているという現実そのものです。人間とモノの関係性の転換をマルクスは「物象化」と呼び、批判したのを思い出してください(本書第一章参照)
ここでまず確認しておきたいのは、マルクスにとって資本主義に抵抗するうえで重要なのは国家権力の奪取や政治体制の変革ではなく、経済の領域でこの物象化の力を抑えていくことなのです。そう言うと難しく感じるかもしれませんが、要するに、商品や貨幣に依存せずとも生きていけるように、日々の選択の余地を広げていくということです。(p168~169)
引用の後半は、のちに問題として別途とりあげるが「物象化」を打ち砕こう!ということに他ならない。そして
けれども、ソ連ではまず先行したのは国有化の力です。それとは反対に、福祉国家の場合、先にあるのは、物象化の力を抑えるための社会運動です。これをマルクスは「アソシエーション(自発的な結社)」と呼びます。(p171)
と続いている。
では「物象化」について第一章に戻ってみてみよう…
第一章「商品」に振り回される私たち では、商品とは、価値とは何か?という、資本論の一番最初の部分が展開されているのだが…ま、要するに
・商品であれ何であれ、労働によってモノを作る(生産する)
・つくられたモノ、商品は「使用価値」と「価値」を持つ
・資本主義社会は、「使用価値」をつくるためにモノをつくる(労働する)のではなく、「価値」をつくって売る(おカネを得る)ために商品をつくる(労働する)
そして斎藤氏は次のように説明する。
資本主義のもとでは、いくらで売れそうか、どれくらい儲かりそうかが大事です。つまり、価格という形で現れる「価値」の側面ばかりが優先され、肝心の「使用価値」は二の次になる。例えば、地球やお財布のことを考えれば、環境に配慮した素材を使って、長く使える商品を作るべきです。ところが、実際には、ファストファッションのように、環境負荷を無視して、安さを追求した洋服で、私たちのクローゼットはあふれかえっています。「儲かるモノ」(価値の側面)と「必要なモノ」(使用価値の側面)がここでは乖離しているのです。(p41)
この乖離、そして「価値」に振り回される消費者、資本家も含めてこう展開する。
「使用価値」のために物を作っていた時代は、文字通り、人間が「物を使っていた」わけですが、「価値」のためにモノを作る資本主義のもとでは立場が逆転し、人間がモノに振り回され、支配されるようになる。この現象をマルクスは「物象化」と呼びます。人間が労働して作った物が「商品」となるや否や、不思議な力で、人間の暮らしや行動を支配するようになるというわけです。(p42)
こう「物象化」について説明をした。
だから「商品」生産でない労働、必要な物やサービスを「商品」として「消費」せず、別の原理で手に入れることを、「アソシエーション」の力で行うことを訴えるということなのだ。