「レイシズムとは何か」(梁英聖 2020年11月 ちくま新書)を読んだ。
![レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/3532/9784480073532.jpg?_ex=128x128)
レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]
「日本には差別とたたかう社会規範がないのだ」(p12)という、著者の厳しい指摘の下、レイシズムとは何か?日本でなぜレイシズム、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムがはびこっているのか>?ということが、余すとこなく書かれた本である。
およそ左翼だとか、反差別に関わる全ての人が読まなければならない本だ!絶対に読もう!(レビューもするからね!)
「差別とたたかう社会規範がない」それは、これまで日本における反差別運動に、決定的な誤りがあったわけだ、それは
①反差別とは被害者の権利を守ることだ。当事者に寄り添うのが反差別だ。
②反差別とは加害者の差別を止めることだ。差別行為を禁止するのが反差別だ。(p12)
日本では多くの人が①は認めるまでも、②を認めようとする人は少ない…しかし欧米における反差別は、①と②が車の両輪なのだが、
日本の反差別は②の差別行為の禁止がないまま①被害者に寄り添おうとする、加害者の差別する自由を守る限りでしか、差別される被害者の人権を守ろうとしない日本の案反差別こそ、日本で反レイシズム規範形成を妨げ、日本人=日系日本人という人種の癒着を切り離せない現況である。これを日本型反差別と呼んでおこう。(p13)
ということである。このあたりが欧米と決定的に違っており、また現在における欧米の反差別についての議論、理論をそうした背景ぬきに日本に持ち込んでも、あやまった解釈で理解・拡散されてしまうのである。
「レイシズム」は「人種主義」あるいは直接「人種差別」と訳されるが、ヒト=ホモ・サピエンスは1種類しかなく、白人や黒人といった「人種」は後から差別するためにつくられた概念である。したがって日本における在日韓国・朝鮮人に対する差別を、これは同じ「黄色人種」の中で起こっている「民族差別」であって「人種差別」ではない…だから日本に「レイシズム」なない…とするのも誤りだ!この「人種差別」の歴史も本書の中では展開されている。筆者は、
本書はレイシズムを、人種差別を引き起こすチカラのこととしておく、人種差別という行為を可能にする権力関係として本書はレイシズムを定義する(人種主義としてのレイシズム、あるいは広義のレイシズムとする)。レイシズムはありもしない人種をつくりあげ人間を分断する人種化を行う。人口にとっての生物学的危険として劣等人種をつくりあげ、社会防衛を掲げてその人種を排除し、最終的には殺そうとする。短くいえばこうなる。
レイシズムとは、人種化して殺す(殺させる)権力である。(p15)
世界中で「レイシズム」による”殺人”あるいはそれに近い犯罪行為が行われている(足元の話をすれば、「表現の不自由展」会場使用許可取り消し問題とは、「レイシズム」によって生じた脅迫という犯罪行為に、会場管理者が屈服したという問題でもある…だからこれに対する闘いは、「表現の自由」「言論の自由」という範疇でのみ闘うのではなく、「反差別」」「反レイシズム」を掲げて闘うことも求められるのだ!)一方、2020年にはB.L.M運動が燃え広がり、あらためてレイシズムと闘う動きか広がっている。こうした中、本書は
・レイシズムが偏見や差別にとどまらず、最悪の暴力に結びつくメカニズムを分析するという課題に正面から取り組む
・ナショナリズムとレイシズムの接合を分析する
・日本型反差別から脱却し、差別する権利・自由を否定する反レイシズム規範を日本社会でどのように打ち立てたらよいかという課題と向き合うための基礎となるレイシズムの入門書を目指す…反レイシズムによってナショナリズムとレイシズムとを切り離す
この三つを目的としている。

何度でも書くよ…左翼や反差別に関心かある人は、絶対に読め!
![レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/3532/9784480073532.jpg?_ex=128x128)
レイシズムとは何か (ちくま新書 1528) [ 梁 英聖 ]
「日本には差別とたたかう社会規範がないのだ」(p12)という、著者の厳しい指摘の下、レイシズムとは何か?日本でなぜレイシズム、ヘイトスピーチ、ヘイトクライムがはびこっているのか>?ということが、余すとこなく書かれた本である。
およそ左翼だとか、反差別に関わる全ての人が読まなければならない本だ!絶対に読もう!(レビューもするからね!)
「差別とたたかう社会規範がない」それは、これまで日本における反差別運動に、決定的な誤りがあったわけだ、それは
①反差別とは被害者の権利を守ることだ。当事者に寄り添うのが反差別だ。
②反差別とは加害者の差別を止めることだ。差別行為を禁止するのが反差別だ。(p12)
日本では多くの人が①は認めるまでも、②を認めようとする人は少ない…しかし欧米における反差別は、①と②が車の両輪なのだが、
日本の反差別は②の差別行為の禁止がないまま①被害者に寄り添おうとする、加害者の差別する自由を守る限りでしか、差別される被害者の人権を守ろうとしない日本の案反差別こそ、日本で反レイシズム規範形成を妨げ、日本人=日系日本人という人種の癒着を切り離せない現況である。これを日本型反差別と呼んでおこう。(p13)
ということである。このあたりが欧米と決定的に違っており、また現在における欧米の反差別についての議論、理論をそうした背景ぬきに日本に持ち込んでも、あやまった解釈で理解・拡散されてしまうのである。
「レイシズム」は「人種主義」あるいは直接「人種差別」と訳されるが、ヒト=ホモ・サピエンスは1種類しかなく、白人や黒人といった「人種」は後から差別するためにつくられた概念である。したがって日本における在日韓国・朝鮮人に対する差別を、これは同じ「黄色人種」の中で起こっている「民族差別」であって「人種差別」ではない…だから日本に「レイシズム」なない…とするのも誤りだ!この「人種差別」の歴史も本書の中では展開されている。筆者は、
本書はレイシズムを、人種差別を引き起こすチカラのこととしておく、人種差別という行為を可能にする権力関係として本書はレイシズムを定義する(人種主義としてのレイシズム、あるいは広義のレイシズムとする)。レイシズムはありもしない人種をつくりあげ人間を分断する人種化を行う。人口にとっての生物学的危険として劣等人種をつくりあげ、社会防衛を掲げてその人種を排除し、最終的には殺そうとする。短くいえばこうなる。
レイシズムとは、人種化して殺す(殺させる)権力である。(p15)
世界中で「レイシズム」による”殺人”あるいはそれに近い犯罪行為が行われている(足元の話をすれば、「表現の不自由展」会場使用許可取り消し問題とは、「レイシズム」によって生じた脅迫という犯罪行為に、会場管理者が屈服したという問題でもある…だからこれに対する闘いは、「表現の自由」「言論の自由」という範疇でのみ闘うのではなく、「反差別」」「反レイシズム」を掲げて闘うことも求められるのだ!)一方、2020年にはB.L.M運動が燃え広がり、あらためてレイシズムと闘う動きか広がっている。こうした中、本書は
・レイシズムが偏見や差別にとどまらず、最悪の暴力に結びつくメカニズムを分析するという課題に正面から取り組む
・ナショナリズムとレイシズムの接合を分析する
・日本型反差別から脱却し、差別する権利・自由を否定する反レイシズム規範を日本社会でどのように打ち立てたらよいかという課題と向き合うための基礎となるレイシズムの入門書を目指す…反レイシズムによってナショナリズムとレイシズムとを切り離す
この三つを目的としている。

何度でも書くよ…左翼や反差別に関心かある人は、絶対に読め!