先日書いたメタネーションなんかやめとけ!記事中に
なにかにエネルギーを投入してエネルギーを「蓄え」それをまた取り出してもエネルギーは増えたりはしない。むしろ蓄えたり取り出したりする時に損失が出る…エントロピーが増大する…ので、変換効率は1より大きくなることはない。
てなことを書いた。
ここには、熱力学第一法則、熱力学第二法則という重要な物理法則について書かれている。
手元にある大学物理の教科書(理系の教養課程で使うヤツ)を紐解いてみよう。
まず教科書では、熱と仕事は等価であることを解説している。有名なジュールの実験…おもりを落下させることにより水中で羽根車を回転させ、水の温度を上げた…が紹介されている。ここでいう「仕事」というのは物理学でいうところの「仕事」であり、力×移動距離で表されるものだ。日々、我々が労賃をかせぐための、あるいは使用価値を創造するための仕事(労働)ではない。
熱力学第一法則
「任意の過程の前後で、体系の内部エネルギーの変化量は、その過程で体系がなされた仕事と、受け取った熱の和に等しい」
体系がなされた仕事というのは、外部から力学的なエネルギーを受け取っているという事、受け取った熱というのは、熱エネルギーを受け取ったということで、これは一般的なエネルギー保存則ということだ。ある「体系」にエネルギーを加えてそれを「蓄え」ても、当然加えたエネルギーは増加しない。
式で表すと
dU=d’W+d’Q
(U:内部エネルギー W:仕事量 Q:熱量 dは任意の過程における変化量であることを示す記号)
これは外部からエネルギー供給を受けることなく動き続ける「第一種永久機関」の存在を否定する法則である。
熱力学第二法則
ところで先のジュールの実験では、水に「仕事」を加えることで水の温度が上昇した。羽根車を回すおもりは自然に落下していくが、仕事と熱が「等価」であるならばジュールの実験の装置(機関)において、自然に水の温度が下がり、羽根車が逆回転しておもりが上昇する…すなわち水の持っている熱エネルギーが仕事に変化するということが起こらないのは何故か?ということが問題になる。熱力学第一法則はこのことを否定していない。
う~んこまった、どうしよう!というわけだが、そこは開き直ったのである自然とはそうゆうものだ‼と…
ということで、イギリスのトムソンは
「熱の吸収過程のみをもつ循環過程は存在しない」(トムソンの原理)
ドイツのクラウジウスは
「熱機関が、1サイクルの後、低温の熱源から高温の熱源に高温の熱源に熱を移す以外、何の変化も伴わないようにすることはできない」別の言い方をすれば「何らかの他の変化を残さずに熱は低温物体から高温物体に移ることはできない」と表現した。
分かりやすく言えば、熱は何もせずに低温から高温に流れることはない!ということだ。
これが熱力学第二法則である(キリッ!)
ちなみに「熱機関」とは、仕事源として考えた循環過程のことであり、蒸気機関や内燃機関は実用化されている熱機関である。なお工学の世界では蒸気機関や内燃機関(ガソリン機関、ディーゼル機関等)を様々扱い、いろいろこまかな仕組みを考えたりするが、ここで扱う熱機関はそういった細かい内容を省略し、簡易化・仮想化したモデルを示すことになる。
高校の物理の教科書では、このような話で例えられる。寒い冬に部屋の温度は外気温につられて下がってゆくが、ひとりでに寒い外気から熱が入って来て部屋を暖めるということは起こらない。部屋を暖めるにはエアコン(外からの「仕事」)がいるのである。あるいは冷たい物質と熱い物質をくっつけると、熱い物質から冷たい物質に熱が移動し、温度が等しくなって熱の移動は止まるが、冷たい物質から熱い物質に熱が移動し、熱い物質の温度がより上昇し、冷たい物質の温度がより低下するということは起こらない。
ちなみに熱力学第二法則は、そこらへんにある「熱の供給源」から熱エネルギーを仕事に変えて運動を続けることができる「第二種永久機関」の存在を否定するものである。例えば道路や海から無限の熱エネルギーの供給を受けて走り続ける、燃料不要の夢の自動車は船は存在しないということである。
(つづく)
なにかにエネルギーを投入してエネルギーを「蓄え」それをまた取り出してもエネルギーは増えたりはしない。むしろ蓄えたり取り出したりする時に損失が出る…エントロピーが増大する…ので、変換効率は1より大きくなることはない。
てなことを書いた。
ここには、熱力学第一法則、熱力学第二法則という重要な物理法則について書かれている。
手元にある大学物理の教科書(理系の教養課程で使うヤツ)を紐解いてみよう。
まず教科書では、熱と仕事は等価であることを解説している。有名なジュールの実験…おもりを落下させることにより水中で羽根車を回転させ、水の温度を上げた…が紹介されている。ここでいう「仕事」というのは物理学でいうところの「仕事」であり、力×移動距離で表されるものだ。日々、我々が労賃をかせぐための、あるいは使用価値を創造するための仕事(労働)ではない。
熱力学第一法則
「任意の過程の前後で、体系の内部エネルギーの変化量は、その過程で体系がなされた仕事と、受け取った熱の和に等しい」
体系がなされた仕事というのは、外部から力学的なエネルギーを受け取っているという事、受け取った熱というのは、熱エネルギーを受け取ったということで、これは一般的なエネルギー保存則ということだ。ある「体系」にエネルギーを加えてそれを「蓄え」ても、当然加えたエネルギーは増加しない。
式で表すと
dU=d’W+d’Q
(U:内部エネルギー W:仕事量 Q:熱量 dは任意の過程における変化量であることを示す記号)
これは外部からエネルギー供給を受けることなく動き続ける「第一種永久機関」の存在を否定する法則である。
熱力学第二法則
ところで先のジュールの実験では、水に「仕事」を加えることで水の温度が上昇した。羽根車を回すおもりは自然に落下していくが、仕事と熱が「等価」であるならばジュールの実験の装置(機関)において、自然に水の温度が下がり、羽根車が逆回転しておもりが上昇する…すなわち水の持っている熱エネルギーが仕事に変化するということが起こらないのは何故か?ということが問題になる。熱力学第一法則はこのことを否定していない。
う~んこまった、どうしよう!というわけだが、そこは開き直ったのである自然とはそうゆうものだ‼と…
ということで、イギリスのトムソンは
「熱の吸収過程のみをもつ循環過程は存在しない」(トムソンの原理)
ドイツのクラウジウスは
「熱機関が、1サイクルの後、低温の熱源から高温の熱源に高温の熱源に熱を移す以外、何の変化も伴わないようにすることはできない」別の言い方をすれば「何らかの他の変化を残さずに熱は低温物体から高温物体に移ることはできない」と表現した。
分かりやすく言えば、熱は何もせずに低温から高温に流れることはない!ということだ。
これが熱力学第二法則である(キリッ!)
ちなみに「熱機関」とは、仕事源として考えた循環過程のことであり、蒸気機関や内燃機関は実用化されている熱機関である。なお工学の世界では蒸気機関や内燃機関(ガソリン機関、ディーゼル機関等)を様々扱い、いろいろこまかな仕組みを考えたりするが、ここで扱う熱機関はそういった細かい内容を省略し、簡易化・仮想化したモデルを示すことになる。
高校の物理の教科書では、このような話で例えられる。寒い冬に部屋の温度は外気温につられて下がってゆくが、ひとりでに寒い外気から熱が入って来て部屋を暖めるということは起こらない。部屋を暖めるにはエアコン(外からの「仕事」)がいるのである。あるいは冷たい物質と熱い物質をくっつけると、熱い物質から冷たい物質に熱が移動し、温度が等しくなって熱の移動は止まるが、冷たい物質から熱い物質に熱が移動し、熱い物質の温度がより上昇し、冷たい物質の温度がより低下するということは起こらない。
ちなみに熱力学第二法則は、そこらへんにある「熱の供給源」から熱エネルギーを仕事に変えて運動を続けることができる「第二種永久機関」の存在を否定するものである。例えば道路や海から無限の熱エネルギーの供給を受けて走り続ける、燃料不要の夢の自動車は船は存在しないということである。
(つづく)