10日の講演会の続き…伊勢崎さんは北極海を上から見た地図を掲げ、NATO加盟国とロシアが北極海を隔てて、実に近い位置にあることを示したうえで、温暖化で北極海の氷が溶けると、北極海は原子力潜水艦以外の兵器も通過できるし、いろんな資源も出てくる。北航路も年間通じて通行できるようになるので、中国がいろいろ投資している現状を説明された。そしてロシアを排除して地球の危機が救えるか?と述べられた。
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 その上で、地理的に大国に挟まれた「緩衝国家」は、武力行使を防ぐクッションとなる一方で、最初に戦場になる、軍事侵攻され、実際の被害を蒙る可能性が普通の国より高いと説明されたうえで、緩衝国家であるノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フィンランドのような国が、いかにロシアを刺激しないようにしているかということを述べた。これが「緩衝国家」の生きる道である。NATOに加盟しているアイスランドは、アメリカの不沈空母と呼ばれていたが、米軍の駐留を廃止し、ロシアを刺激しないため「国防軍」も廃止したそうだ(「国防軍」の代わりに何があるのかは説明されなかった)
 そこから学ぶ日本の教訓とは何か?日本がNATOに加盟すればいいという意見もあるが、日本は10年来の準NATOメンバーだ。NATOの地位協定に入るという事だが、地位協定とは「主権」の放棄である。また変化しない地位協定はあり得ない。1国を除き全て地位協定は変えられている。フィリピンやNATOの地位協定は平時の地位協定であり、対等で互恵性を持つ「自由なき駐留」であると述べられた。「自由なき駐留」が世界標準であるのに、日本はそうではない。日本も緩衝国家であるが、意思がないので「緩衝材国家」であるそうな。
 伊勢崎さんはノルウェーのキルケネス市を紹介したキルケネス市はロシアと地続きで国境を接しており、緩衝国のボーダーランドである。だがここにはノルウェー軍は配備されておらず、代わりに赤軍兵士の巨大な像が立っている。
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 赤軍(旧ソ連軍)は第二次大戦時のノルウェーにとっては、解放軍なのだ。
 それを踏まえて伊勢崎さんは、北海道も宮古島も緩衝国家のボーダーランドであり、そこを武装化して相手に槍を向けてはいけない…ノルウェーのような国はそうゆうことをしない…ボーダーランドの非武装化は国防戦略なのであると述べられた。このあたりが、今日の集会のキモだろう。
 また日本はジェノサイド禁止条約も批准していない、これはほとんどすべての国が批准しており、人権後進国である。関東大震災で朝鮮人虐殺が行われたが、今やればジェノサイドである。これを裁く方が日本にはないと述べられた。
 最後に伊勢崎さんは自衛隊を活かす会編「非戦の安全保障論…ウクライナ戦争以後の日本の戦略」や自らの講座などを紹介した上で「(自分は)あなたがたからみたら、あちら側の人間ですが、こんなことをやっています。問題意識はあります」と述べられて、講演を終了した。
 講演会の閉会あいさつで、ミサイル基地いらない宮古島連絡会の仲里成繁さんが、ブルーインパルスを受け入れることは、航空自衛隊を受け入れることだと述べられた。事務局から明日の予定について連絡事項があり、集会は引き続き、全国反戦平和交流会となった。
 交流会では、石垣市議の花谷史郎さん、宮古島市議の下地茜さん、上里樹さんが発言した。下地島空港の農地として利用されている「残地」を、県が来年の3月までに明け渡せと言っている、農業をする権利を守ろうと述べられた。(「農地死守」じゃなイカ!)
 服部良一社民党幹事長と、相模原の爆音訴訟、金子議員のあいさつ…敵基地攻撃能力保有の批判、全国で自衛隊の基地が強化されているとのこと。
 辺野古から島袋文子オバーも参加
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 また、高江で座り込みを始めた「ヘリパッドいらない住民の会」儀保さんもあいさつされた。
 ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会の山城博治さんも発言された。米軍は沖縄から引き上げたがっている、中国に近くぜい弱だからだ。自分たちは居なくなるが、日本と台湾で中国包囲網を作れ…これはウクライナと同じような「代理戦争」への道になる…全県で手を取り合って、島々を戦場にしないようにすると訴えられた。
 沖縄県統一連の中村さん、そして今自衛隊基地建設が進む石垣島の藤井幸子さんがあいさつ。離島で港と空港が軍事利用されれば、生活に支障が出るとのことだ。
 隣接する馬毛島で基地建設が目論まれている種子島から連帯のメッセージが読み上げられる予定であったが、ネットが繋がらなくて断念された。また町民が「避難」するための基金を創設する条例が制定された与那国島の状況説明があった。
 本日の交流集会は、主に沖縄県内の団体の紹介で終了した。明日はいよいよ、現地闘争である。