昨日8日は人民新聞社裁判学習会に、トークセッションでしゃべらないとイケナイこともあり参加skてきた。会場の茨木市、男女共生センターローズWANは、JR茨木駅と阪急茨木駅の中間にあって、周りに高い建物はないから5階会議室、501-502に上ると見晴らしがよい。
 トークセッションの打ち合わせを行ってから、集会開始…まずはサポートユニオンwithYOUの島野さんから司会挨拶。私たちのような労働組合にも、男性中心社会が残っている。また自分の組合で働いてもらっている人に対しても、今回のことで改めて雇用契約を結ぶことにしたが「個人請負」みたいな形になっているところも多い。ナイトワークについても、コロナ対策の持続化給付金を受け取れなかった風俗業が裁判を起こしたら「本質的に不健全」だから受け取れなくて当然だという判決が出た…こういった内なる意識にどのように向かうのかが問われていると述べられた。
 続いて担当する高岸桂子弁護士から裁判の経過報告である。請求の趣旨は、雇用契約上の地位確認、2022年1月からの未払い賃料の支払い、損害賠償の請求であるが、まず人民新聞社が今年の3月に事業を清算して「無くなる」可能性があったので(事業清算→新体制移行は本裁判が起こる前から既定路線であった)そのため地位確認や賃料の支払いについては急ぐ必要があったので、まずは仮処分、続いて翌日に本訴を行った。会社は清算法人として残ることになったので、仮処分は取り下げて本訴1本で今は動いている。
 地位確認と賃料請求について、村上さんは一旦、人民新聞社に「退職届」を出しているが、後に撤回した。しかし人民新聞社側は「退職届は撤回されていない」として争っている。ただ、なぜか社会保険が継続したりと不自然な点が残っている。もっとも村上さんと人民新聞社の間に雇用契約が交わされておらず、労働契約上の縛りや規則が何もない、証拠がないことがネックになっており、後で「雇用契約がないのになぜ人民新聞社は退職届を受け取ったのか?」という質問も会場から出てきた。
 損害賠償の請求について、副業(メンズエステで働くこと)の退職強要、副業に対する差別的な発言が「パワハラ。セクハラ行為である」と主張しているが、人民新聞社側は、社内の個人がプライベートでしゃべった事であり、会社は無関係であるとして、裁判では全面的に否認している(裁判前の「団体交渉」ではパワハラについて認め、謝罪文を出したりもしている)。争点としては、それが会社としての行為なのか、また「パワハラ・セクハラ」だといっても不法行為に該当する行為と言えるかということだそうな。また、現在清算中の旧の人民新聞社が相手ということだが、新体制の人民新聞も、人も、新聞の内容も、振込口座も旧人民新聞と同じままであり、同一であるといえそうなのだが、法的には必ずしもそうではないこともネックになっている。
 つづいて村上薫さんからの発言である。
 まず初めに、これは裁判闘争が目的なのではなく、運動体の中でどうやって相互批判をやっていくかという問題であると述べられた。反差別などを掲げ、権力と闘う運動体の中で、たくさんのパワハラ・セクハラが起こって来たが、被害者が潰されてきた。「穏便な解決」として被害者の方が引き下がる例が多いが、それでは私たちは前に進めない。相互批判に対する恐れをなくしていこうと述べられると、会場から拍手が起こった。
 その後セックスワーカー・夜職で働く人への差別、偏見についての話が続く…皆さんの身近にセックスワーカーは居ますか?セックスワーカーの多くは隠しています、例えば親には秘密ですという人が大勢いること、ドストエフスキー「罪と罰」の父親と娘の話などから、セックスワーカーは悲しいばかりでもなく、キラキラしたものでもないということ、それなりに綺麗な恰好をするので、反発する人も多いが、見えない貧困の中にいること、「普通の人」が例えば定年が65歳であるのに対し、生涯賃金は年齢を重ねるごとに低下し、30歳になるとゼロになるから、稼げるときに稼ぐしかないこと、実はありふれていて、めずらしい存在ではないから、見えにくいものに目を向けて欲しいというようなことを話された。
 なぜ今の職業についたか、もともと大学の学費を稼ぐため、ラウンジで働きだしたのがきっかけである。親が学費を出さず、二十歳過ぎたら全部自分持ちとなった。反原発・反差別の運動で東京や大阪に行くことも多いので交通費もかかる。そこから「若狭の原発を考える会」で一緒に活動するようになり、報告を人民新聞社に持って行ったことから繋がりが出来て、人民新聞社で仕事をするようになって、ある時「社員にする」と言われたのだそうな。会社の環境とか、他を知らなかったので「まあこんなもんか」と納得してがんばっていこうとしたが、お金はない。20万円ほど借金もあったが、アレルギーがあるので倉庫内軽作業や介護職、農業の仕事は出来ない。昼は人民新聞の仕事もあるし、急に集会、デモが入ってくることもあって、シフトが完全に組まれている仕事は無理だが、キャバクラのような夜職であれば、そういった急な休みも織り込み済みなので、最初は茨木の、そしてミナミのラウンジで働くことにした。(なお大学は中退ということになり、最終学歴は高卒のままである)
 そうした中、コロナ禍で吉村知事がいきなり、ミナミの街の囲まれた街区一帯に「休業要請」を出した。仕事がなくなって抗議の記者会見を開いたら、お店のママから「もう雇えない」と通告された。ママの気持ちも理解できるので、辞めて荷物を持って街を歩いていると、メンズエステのスカウトから声をかけられた…当時、ラウンジやクラブを辞めさせられて荷物を持って困っている女性を、風俗のスカウトが声をかけていたそうだ…そこでメンズエステ(風俗であって風俗でない?)で働くことにした。
 1年くらいたって、メンズエステ店への摘発が全国で増えてくる中、人民新聞社から弾圧を避けるため「メンズエステを辞めるように」言われるようになった。当時「宝島社裁判」を抱えていて、裁判費用がどれだけかかるか、ナイトワークしていなかったら、払えない!
 今回の裁判で、人民新聞をつぶそうというのではない。ハラスメントを自覚して欲しい。人民新聞社に女性が少ないのは、入ってはやめ、入ってはやめしているからだ。このことについて相談した元社員?ボランティア?の方は「当時、声を上げれなくて、ごめんね」と言ってくれたそうだ。これで終わりにしなければということなのである。
 続いて、トークセッションである。まずは私からこちらのブログ記事にも書いている通り、キュア相談所の会議において、彼女にメンズエステの仕事を辞めるよう説得した一人であり、当時は弾圧対策としてやむを得ないと考えていたが、年明けに別のメンバーから「それは差別である」との指摘を受けたことなどを述べた。また人民新聞社側からメンズエステを辞める説得するように依頼を受けた際に、特にあからさまな夜職差別、セックスワーカー差別の言動はなかったが、村上さんが”お金に執着している”というようなことは言われたこと、人民新聞社側が辞めさせたことはハラスメントでないと言うのであれば、裁判で堂々と「弾圧対策として正しかった」と主張すればよいのに、そういった主張をしているわけではないこと、個人がやったこととしているのであれば、その個人が責任を引き受けようとしているのか疑問であるとも述べておいた。
 Swing Masaさんは女性Sax奏者として、音楽の世界ももろに男社会だ。リブの女性たちに助けられ、シスターフッドを信用してこれまで生きてこられた。組織を守るために辞めさせるのであれば、生活を保障すべき、村上さんが何も納得していないのに辞めさせるのはあり得ないと述べられた。また「村上さんは嘘つきである」などとSNSで拡散する人がいるが、相手が見えないから言い切れてしまう。相手の感情を逆なですることになるから、相互批判は直接面談して、何回も会ってすりあわせていかないとうまくいかないのではないか?それにしても村上さんが気丈夫なのが救いで、私もハラスメントを受けてメチャメチャしんどいということを述べられた。
 大学で差別やマイノリティについて研究されている北口さんは、支配的な道徳観、価値観は時の権力者にとって都合の良い価値観であり、被害者ががまんしてがまんして、最後に発せられる声に真実があるのではないだろうか?風俗業はなくならないが、雇用関係は圧倒的に女性に不利だ。また風俗で働いている人の「更生施設」が全国に96カ所あるが、入所者は8名である、時代に合っていない。釜ヶ崎の炊き出しに女性が並ぶようになったが、これも雇用関係の問題だ。今回の「職業差別」で突きつけられたものは、単なるメディアの会社がセクハラ・パワハラをしたということ以上に多様な見方が出来る。変わらなければならないのは、男性ではないかと述べられた。
 会場からの意見として、異論はたくさんあるけれど、セックスワークを労働として向き合い、権利が守られなければならないこと、人民新聞社はセックスワーカーといっしょに闘ってくれるものだと思っているが、ワーカーの職業としての自立的選択を軽視している、そのことを問うていかなければいけない。
 相互批判をしていくうえで、何を大切にするか?被害者が「元気」な状況にあるのは特別なことで、立ち上がれない被害者も沢山いる。被害者がつぶれないよう、被害者を守りながら闘うことが大事だ。
 あと、いいわけをしない。たかがセクハラということではないし、運動体をつぶさないために声をあげないというのは間違っている。人民新聞を、相手をつぶすのではない、自分のやっていることは、分かっている?と声をかけている。
 加害者と被害者が直接会って話し合うかどうかは、村上さんが判断することで、村上さんがいやがることはしない。直接の加害・被害がない部分でどうしていくかということだ。
 人民新聞社はハラスメントを認めており、新体制で世間的に認められている人を呼んで、勉強会を行っている。それならばしなければならないことは、直接村上さんに合って謝罪することではないか?裁判で訴えられていることを丸ごと認めてもいいはずだ…などという意見が出された。
 最後に島野さんから、きょうとユニオンで現在行われている交渉についての説明や、フェミニズムに引き付けてもう少し考えていく場が必要ということで、「人民新聞ハラスメント裁判を支援する会(準)」の説明が行われた。資料にはさみこまれたアンケート用紙に感想を書くことになっているが、よろしければ「支援する会」への参加希望者は名前と連絡先を書いて提出ということである。また本日、カンパ封筒も挟み込んでおり、カンパは全て村上さんに贈るということで、集会の幕を閉じた。
 なお、次回の人民新聞裁判は10月20日(木)13:15~である。後の報告会で「支援する会」を立ち上げるとのことだ。