前回の続き…
講演は「欧州右派ポピュリズムの台頭」と題して、菊池恵介さん(同志社大学グローバルスタディー研究科教授)である。

なかなか若い人だ。
欧州右派ポピュリズムの台頭ということで、2014年EU議会選挙での、イギリス、フランス、デンマークで極右が第一党になったことからはじまって、2016年のイギリス、EU離脱派の勝利、トランプ当選、2017年フランス大統領選挙で「国民戦線」マルーヌ・ルペンの決選投票進出など、同様の動きが欧州で拡大したことが紹介された後、この動きがなぜ広がった理由は、2015年難民危機ではなく、それ以前からのグローバリゼーションによる格差の拡大であるとした。
86年「単一欧州議定書」以降の関税障壁の撤廃および資本移動の自由化は、企業がコスト削減のため生産ラインを税金や労働力の安い国へ移動させ、政府は資本を誘致するため減税競走を実施した。90年代は欧米諸国で社会民主主義政党の回帰がみられ、人びとは福祉国家の再建を目指したものの、「ほかに選択肢はない」として新自由主義改革が継続された。
社会民主主義政党は「リベラル」な政策をとったので、戦後の二大政党の支持層は、右派が富裕層、左派がブルーカラー層・労働組合が支持していたものが、現代は右派が富裕層、左派は医者、弁護士、記者、教員などの「知識層・高学歴労働者」が支持するようになる。ピケティが言うところの「商人エリート(marchant Right)」と「知的エリート(Brahimi Left)」の対立だ。政治の争点も、右派がキリスト教、伝統、家族規範なのに対し、左派は人権・ジェンダー・性的志向の多様性と「富の再分配」からアイデンティティ・ポリティクスへと変わっていった。左派の政策はジェンダーやLGBT問題では進歩的な立場をとり、経済政策では民営化や企業減税、緊縮などの「痛み」を伴う構造改革を断行していった。そこから「置き去りにされた人々(Left Behind)」が増大し、ブルーカラー層は政治に失望し、投票に行かなくなってしまった。欧州でも投票率は年々、低下している。フランス大統領選挙でも、高学歴層は80%の投票率があるが、労働者階級は30%しか投票していない。(低投票率の中で極右が得票しても、それを「ポピュリズム」と呼べるのか疑問であるとのことである)
2008年、リーマンショックでEUの政治指導者の対応は、金融機関の救済と景気刺激策であるが、財政赤字が拡大した。2011年には財政再建路線をとり、医療費・教育費・年金などが削減され、金融危機のツケを一般庶民に転嫁したところ、スペインの15M運動やフランス「黄色いベスト運動」などの反乱がおこる。そういった中、「極右」が「急進右派ポピュリズム」に変貌し、支持を集めていったのである。「急進右派ポピュリズム」は反ユダヤ主義や露骨な移民排斥から、人種主義を封印し政教分離や表現の自由、男女平等なのリベラルな価値の名において反イスラーム干渉を正当化している。また従来は「小さな政府」を支持し、累進課税や相続税廃止を主張していたものが、公共サービスや社会保障の削減に反対する(福祉の恩恵は「国民」に限定)ようになり、自由貿易協定からの離脱を支持するなど、反グローバリズム、反新自由主義を掲げるようになる。「置き去りにされた人々」の支持拡大を目指している…それでも欧州でそういった階層、階級の人がこぞって投票しているわけではないトランプ大統領を生み出したのは「ラストベルト」の白人労働者だと言われているが、彼らはそれほど投票に行ったわけではないのである。
要するに、欧州で「急進右派ポピュリズム」が台頭するのも、維新が躍進するのも、新自由主義・グローバリゼーションによるものであると言えるわけだ。ただ、欧州の「急進右派ポピュリズム」が支持を得るため反グローバリズム、反新自由主義を掲げているのに対し、維新は未だに新自由主義改革を掲げて支持を広げている。この辺は日本社会の特質なのか、周回おくれであるとも言えそうだ。また反新自由主義を掲げる「ポピュリズム」政党は、れいわ新選組ということになるのだろうが、こういった話は菊池さんはされなかった。
菊池さんの講演が終わった後は、スペイン(カタルーニャ)とトルコの市民からのレポート。スペインからは極右政党「VOX(ボックス)」の動向、トルコはエルドアン大統領の圧政、行政私物化についてのものである。

トイレ休憩後は、パネルディスカッションで、冨田宏治さん、菊池恵介さん、大椿ゆうこさんがパネラー、進行は「どないする大阪の未来ネット」運営委委員の寺本勉さんである。冨田さんが維新のコアの支持層は「勝ち組み」中堅サラリーマンであるとの報告をうけ、その中堅サラリーマンも「ロスジェネ」世代である。その世代の非正規労働者である大椿ゆうこさんから、ロスジェネ層の非正規労働者に支持される政治をという意見、そして菊池さんの報告にあったように、労働者階級、今苦しい人は選挙や投票に行くどころではない…ということが問題であるということが浮かび上がってきた。
そうすると、維新や維新的なものに勝つためには、自ずからどうすればよいか、どんな政策をかかげればいいか、もはや自明であろう…それこそ「れいわ新選組」が今回、3議席を獲得した理由でもあるわけだ…と私は思った次第である。
講演は「欧州右派ポピュリズムの台頭」と題して、菊池恵介さん(同志社大学グローバルスタディー研究科教授)である。

なかなか若い人だ。
欧州右派ポピュリズムの台頭ということで、2014年EU議会選挙での、イギリス、フランス、デンマークで極右が第一党になったことからはじまって、2016年のイギリス、EU離脱派の勝利、トランプ当選、2017年フランス大統領選挙で「国民戦線」マルーヌ・ルペンの決選投票進出など、同様の動きが欧州で拡大したことが紹介された後、この動きがなぜ広がった理由は、2015年難民危機ではなく、それ以前からのグローバリゼーションによる格差の拡大であるとした。
86年「単一欧州議定書」以降の関税障壁の撤廃および資本移動の自由化は、企業がコスト削減のため生産ラインを税金や労働力の安い国へ移動させ、政府は資本を誘致するため減税競走を実施した。90年代は欧米諸国で社会民主主義政党の回帰がみられ、人びとは福祉国家の再建を目指したものの、「ほかに選択肢はない」として新自由主義改革が継続された。
社会民主主義政党は「リベラル」な政策をとったので、戦後の二大政党の支持層は、右派が富裕層、左派がブルーカラー層・労働組合が支持していたものが、現代は右派が富裕層、左派は医者、弁護士、記者、教員などの「知識層・高学歴労働者」が支持するようになる。ピケティが言うところの「商人エリート(marchant Right)」と「知的エリート(Brahimi Left)」の対立だ。政治の争点も、右派がキリスト教、伝統、家族規範なのに対し、左派は人権・ジェンダー・性的志向の多様性と「富の再分配」からアイデンティティ・ポリティクスへと変わっていった。左派の政策はジェンダーやLGBT問題では進歩的な立場をとり、経済政策では民営化や企業減税、緊縮などの「痛み」を伴う構造改革を断行していった。そこから「置き去りにされた人々(Left Behind)」が増大し、ブルーカラー層は政治に失望し、投票に行かなくなってしまった。欧州でも投票率は年々、低下している。フランス大統領選挙でも、高学歴層は80%の投票率があるが、労働者階級は30%しか投票していない。(低投票率の中で極右が得票しても、それを「ポピュリズム」と呼べるのか疑問であるとのことである)
2008年、リーマンショックでEUの政治指導者の対応は、金融機関の救済と景気刺激策であるが、財政赤字が拡大した。2011年には財政再建路線をとり、医療費・教育費・年金などが削減され、金融危機のツケを一般庶民に転嫁したところ、スペインの15M運動やフランス「黄色いベスト運動」などの反乱がおこる。そういった中、「極右」が「急進右派ポピュリズム」に変貌し、支持を集めていったのである。「急進右派ポピュリズム」は反ユダヤ主義や露骨な移民排斥から、人種主義を封印し政教分離や表現の自由、男女平等なのリベラルな価値の名において反イスラーム干渉を正当化している。また従来は「小さな政府」を支持し、累進課税や相続税廃止を主張していたものが、公共サービスや社会保障の削減に反対する(福祉の恩恵は「国民」に限定)ようになり、自由貿易協定からの離脱を支持するなど、反グローバリズム、反新自由主義を掲げるようになる。「置き去りにされた人々」の支持拡大を目指している…それでも欧州でそういった階層、階級の人がこぞって投票しているわけではないトランプ大統領を生み出したのは「ラストベルト」の白人労働者だと言われているが、彼らはそれほど投票に行ったわけではないのである。
要するに、欧州で「急進右派ポピュリズム」が台頭するのも、維新が躍進するのも、新自由主義・グローバリゼーションによるものであると言えるわけだ。ただ、欧州の「急進右派ポピュリズム」が支持を得るため反グローバリズム、反新自由主義を掲げているのに対し、維新は未だに新自由主義改革を掲げて支持を広げている。この辺は日本社会の特質なのか、周回おくれであるとも言えそうだ。また反新自由主義を掲げる「ポピュリズム」政党は、れいわ新選組ということになるのだろうが、こういった話は菊池さんはされなかった。
菊池さんの講演が終わった後は、スペイン(カタルーニャ)とトルコの市民からのレポート。スペインからは極右政党「VOX(ボックス)」の動向、トルコはエルドアン大統領の圧政、行政私物化についてのものである。

トイレ休憩後は、パネルディスカッションで、冨田宏治さん、菊池恵介さん、大椿ゆうこさんがパネラー、進行は「どないする大阪の未来ネット」運営委委員の寺本勉さんである。冨田さんが維新のコアの支持層は「勝ち組み」中堅サラリーマンであるとの報告をうけ、その中堅サラリーマンも「ロスジェネ」世代である。その世代の非正規労働者である大椿ゆうこさんから、ロスジェネ層の非正規労働者に支持される政治をという意見、そして菊池さんの報告にあったように、労働者階級、今苦しい人は選挙や投票に行くどころではない…ということが問題であるということが浮かび上がってきた。
そうすると、維新や維新的なものに勝つためには、自ずからどうすればよいか、どんな政策をかかげればいいか、もはや自明であろう…それこそ「れいわ新選組」が今回、3議席を獲得した理由でもあるわけだ…と私は思った次第である。
