先日の産業革命前より気温が3.5℃上がってはアカンのかの続きである。
なぜ産業革命以前の気温が「安定」していたとされているのか?地球温暖化について様々な報告をしているIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が2001年の報告で、マイケル・マンによる気候変動図を採用したためである。マンの気候変動図は、これまでの様々な古気候の研究に基づく北半球の様々な気候復元図を統計処理して得られたデータに、近年になって直接観測された気象観測データをくっつけたものなのだが、それまで認知されてきた中世温暖期やその後の小氷期が消し去られ、あたかも産業革命以前は気候が安定しており、産業革命以降、人為的なCO2放出の影響で気温が急上昇した形になっていたのである。気温のグラフの右肩が急に上昇するので「ホッケースティック曲線」と呼ばれている。
参考図書口絵01 「ホッケースティック曲線」
このマンによる気候復元図に対しては、様々な自然科学者から過去の歴史的な記録に対しあまりにもかけ離れていると指摘がなされた。一般的にさまざまな不規則変動を示す複数のデータを平均処理すれば、極値が打ち消し合って変動が小さくなるのがその原因である。またポーランド、ワルシャワ中央放射線防御研究所のヤオロウスキーは、マンが使用したのと同一の複数の気候復元図を使って追試したところ、一つの気候復元図においてプラスとマイナスを逆転して使用していたという初歩的なミスを発見した。ヤオロウスキーによって訂正されたマンの気候変動図は、1400~1500年代のデータがマンのものより大きく上昇し「20世紀はもはや最高気温ではない」と書かれているのである。さすがにIPCC は2007年の報告でマンの気候変動図を取り下げたのであるが、こうした事実についてはほとんど報道もされず、ヤオロウスキーの名前さえ日本語でネット検索してもひっかからない有様である。(ポーランドのグラフィックデザイナー、ピーター・ヤオロウスキーがひっかかる)
参考図書図2.5(p53) ヤオロウスキーによって訂正されたマンの気候復元図
もともと「地球温暖化」問題は、デービット・キーリングらのグループが1958年から行っているCO2濃度の連続精密観測の結果から、大気中CO2濃度の上昇は人為的に放出されたCO2の半量程度であることを1987年に報告し、1988年にNASAのハンセンが米国議会公聴会で「観測されている異常な気象現象の原因は、数値シミュレーションの結果から99%の確率で(人為的なCO2排出による)温暖化に関連している」と証言したことから始まっている。産業革命以降、たしかに人類は大量のCO2を化石燃料から排出してきており、気温も「小氷期」が終了した1850年代から上昇している。しかし気温はCO2排出量に比例して単純に上昇を続けたわけではなく、1940年代ぐらいに一旦下降を始め、70年代には極小期にはいっている。この時代は北極海の海氷面積が増大し、海上交通に支障をきたしていたぐらい寒かった。ちなみに70年代後半に小学生から中学生であった世代であれば、異常気象が続くのは地球が氷河期に向かっているからであり、石油はあと30年で枯渇するから原子力発電が必要だと、様々な子ども向けの科学雑誌や書籍に書いてあったことを懐かしく思うだろう。そして80年代以降、気温は上昇傾向になる。ここで20世紀後半の気温上昇のみ取り出して「地球温暖化が脅威である!」としても、少し考えれば中世温暖期やローマ温暖期に戻るだけの話だということは理解できるだろう。近年の日本では梅雨明け後、連日の猛暑日が続く厳しい気象が観測されているのだが、気温を観測するWMO(世界気象機関)の気温観測ステーション4,495カ所の、補正を行わない生データを使って気温偏差を求めると、20世紀終盤に気温は極大期を迎えた後、21世紀に入ってから気温が低下局面に入っていることが分かる。現代日本の猛暑は、都市化の更なる進展と、熱中症対策で皆がエアコンを使うようになったためである(エアコンとは屋内の熱を屋外に出す装置)。
なぜ産業革命以前の気温が「安定」していたとされているのか?地球温暖化について様々な報告をしているIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が2001年の報告で、マイケル・マンによる気候変動図を採用したためである。マンの気候変動図は、これまでの様々な古気候の研究に基づく北半球の様々な気候復元図を統計処理して得られたデータに、近年になって直接観測された気象観測データをくっつけたものなのだが、それまで認知されてきた中世温暖期やその後の小氷期が消し去られ、あたかも産業革命以前は気候が安定しており、産業革命以降、人為的なCO2放出の影響で気温が急上昇した形になっていたのである。気温のグラフの右肩が急に上昇するので「ホッケースティック曲線」と呼ばれている。

参考図書口絵01 「ホッケースティック曲線」
このマンによる気候復元図に対しては、様々な自然科学者から過去の歴史的な記録に対しあまりにもかけ離れていると指摘がなされた。一般的にさまざまな不規則変動を示す複数のデータを平均処理すれば、極値が打ち消し合って変動が小さくなるのがその原因である。またポーランド、ワルシャワ中央放射線防御研究所のヤオロウスキーは、マンが使用したのと同一の複数の気候復元図を使って追試したところ、一つの気候復元図においてプラスとマイナスを逆転して使用していたという初歩的なミスを発見した。ヤオロウスキーによって訂正されたマンの気候変動図は、1400~1500年代のデータがマンのものより大きく上昇し「20世紀はもはや最高気温ではない」と書かれているのである。さすがにIPCC は2007年の報告でマンの気候変動図を取り下げたのであるが、こうした事実についてはほとんど報道もされず、ヤオロウスキーの名前さえ日本語でネット検索してもひっかからない有様である。(ポーランドのグラフィックデザイナー、ピーター・ヤオロウスキーがひっかかる)

参考図書図2.5(p53) ヤオロウスキーによって訂正されたマンの気候復元図
もともと「地球温暖化」問題は、デービット・キーリングらのグループが1958年から行っているCO2濃度の連続精密観測の結果から、大気中CO2濃度の上昇は人為的に放出されたCO2の半量程度であることを1987年に報告し、1988年にNASAのハンセンが米国議会公聴会で「観測されている異常な気象現象の原因は、数値シミュレーションの結果から99%の確率で(人為的なCO2排出による)温暖化に関連している」と証言したことから始まっている。産業革命以降、たしかに人類は大量のCO2を化石燃料から排出してきており、気温も「小氷期」が終了した1850年代から上昇している。しかし気温はCO2排出量に比例して単純に上昇を続けたわけではなく、1940年代ぐらいに一旦下降を始め、70年代には極小期にはいっている。この時代は北極海の海氷面積が増大し、海上交通に支障をきたしていたぐらい寒かった。ちなみに70年代後半に小学生から中学生であった世代であれば、異常気象が続くのは地球が氷河期に向かっているからであり、石油はあと30年で枯渇するから原子力発電が必要だと、様々な子ども向けの科学雑誌や書籍に書いてあったことを懐かしく思うだろう。そして80年代以降、気温は上昇傾向になる。ここで20世紀後半の気温上昇のみ取り出して「地球温暖化が脅威である!」としても、少し考えれば中世温暖期やローマ温暖期に戻るだけの話だということは理解できるだろう。近年の日本では梅雨明け後、連日の猛暑日が続く厳しい気象が観測されているのだが、気温を観測するWMO(世界気象機関)の気温観測ステーション4,495カ所の、補正を行わない生データを使って気温偏差を求めると、20世紀終盤に気温は極大期を迎えた後、21世紀に入ってから気温が低下局面に入っていることが分かる。現代日本の猛暑は、都市化の更なる進展と、熱中症対策で皆がエアコンを使うようになったためである(エアコンとは屋内の熱を屋外に出す装置)。
「温暖化対策」は待ったなしではない、斎藤氏の心配は杞憂である。また、人為的に放出されたCO2が温暖化の原因でもないので「対策」もしようがないのである。
参考:![検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/1234/9784883451234.jpg?_ex=128x128)
検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]
参考:
![検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/1234/9784883451234.jpg?_ex=128x128)
検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]