たたかうあるみさんのブログMKⅡ

み~んなそろって、闘争勝利!でもやっぱりメットは、白でしょ⁉ということにしておこう。

容量がいっぱいになった「たたかうあるみさんのブログ」を移動して、2020年7月に新たに開設した、共産趣味鉄道ヲタブログ⁉…旅行、萌え系ネタ⁉もあります。

土木屋さんのお話

トンネルばっかりが、リニア中央新幹線の弱点(後編)

 前編からの続き
 前延長の86%がトンネル区間…これは土木工事を進捗させるうえでネックになるということを書いたが、トンネルばっかりというのは災害、特に地震災害でも問題である。もっとも地震そのものでトンネルがぶっ壊れる…ということはまずない…地下構造は地震の時は安全…という話もある。だが、リニア中央新幹線の場合は違ってくる。
 「リニア新幹線と南海トラフ巨大地震(石橋克彦 集英社新書 2021年6月)」によれば、リニア中央新幹線は最大クラスの南海トラフ大地震が起こった時、震度6以上が起こるであろう区域を通過する。1854年の「安政東海地震」および1923年「大正関東地震」で、甲府盆地南西部では震度6~7の震度分布があったとされる。こうしたところをリニア新幹線は通過する。しかもそのあたりは、曽根丘陵断層帯と、糸静線断層帯南部区間という活断層帯があるのだ。
リニア新幹線と南海トラフ巨大地震 「超広域大震災」にどう備えるか (集英社新書) [ 石橋 克彦 ]
リニア新幹線と南海トラフ巨大地震 「超広域大震災」にどう備えるか (集英社新書) [ 石橋 克彦 ]
 リニア中央新幹線は、南海トラフ地震が起こった際の東海道新幹線のバックアップとしても”期待”されているらしいのだが、この事実を鑑みるとそんな機能は期待できない。(北陸新幹線ならなんとかバックアップの機能は持てそうだ)それどころか、巨大地震で同時にうごくであろう活断層を、何本もリニア中央新幹線は横断するルートになっている。
 地震のゆれそのものでトンネルは破壊されなくても、トンネルを通る活断層が動けばトンネルは破壊される。また活断層でなくても、巨大地震に伴う地殻変動…特に沈降が予測されている…が起こっても、線路は甚大な被害を受ける。
 問題は、長大トンネルが破壊された場合の”復旧”である…また片側の坑口から入って「掘り直し」をしなければならない。トンネルの内部だけでなく、坑口部での土砂崩落で、坑口から埋まっている…という被害も考えられる。また、営業運転時間内に地震が起これば、リニア新幹線車両が巻き添えをくらって埋まっている…ことも想定される。そして、周辺の地域も震度6~7で被災しているので、高速道路や一般の道路、在来線鉄道にも甚大な被害が出ているだろう。そうした中、東京ー名古屋(大阪)菅輸送にほとんど特価しているリニア中央新幹線の復旧にまでリソースが回るだろうか?
 著者、石橋氏は、「最悪の場合には、何ケ所かの大深度地下トンネルや山岳トンネルに閉じ込められた乗客を何日も救出できず、山岳トンネル内の被害や坑口付近の山体崩壊などでトンネル内の列車を引き出せないといった事態になるだろう。リニアの救助・復旧が重大な問題になるが、超広域が第六章で述べるような大震災に見舞われていて、東海道・山陽新幹線をはじめとするJR各社(東日本、東海、西日本、四国、九州)の在来型新幹線や在来線でも多数の被害が生じる。鉄道以外のインフラや都市・国土にも莫大な被害が出ていて、資金・労働力・機材・資材が不足するなかで、鉄道の復旧工事は在来型新幹線や在来ローカル線が優先されるだろう。したがってリニア新幹線の復旧は後回しになり、被害の程度よっては廃線もやむなしという判断を迫られるのではないだろうか。」(p119~120)と記述している。また「私は、南海トラフ巨大地震に対する東海道新幹線のバックアップとしては、次章でみるようにそもそも甲府盆地と名古屋は非常に危険だと思うが、どうしても両地をとおるのであれば、諏訪と伊那谷を経由して明かり区間をできるだけ多くした在来型新幹線方式がよいと考えていた。それでも活断層を回避することはむずかしいだろうが、地震被害を低減でき、被災した場合の救助・復旧の困難さが著しく減るはずである。」(p75)と述べている。
 南海トラフ巨大地震で全体的に被災した場合の復旧も、明かり部が多いほどとっかかりやすく、多方向・多方面から進めていけるので、トンネルばっかりということはリニア中央新幹線の弱点であるといえよう。
 なお、震災時の乗客避難については、こんな話もある…大深度地下トンネルで被災した場合、ガイドウェイ下に避難通路があるのだが、そこを何キロメートルも歩かなければならない、そして避難用の立坑(シールドマシンを入れるために掘った立坑で、およそ5㎞おきにある)は深さ40m以上!地震・停電でエレベーターが故障していれば階段を昇ることになる。長大山岳トンネルの場合、これも速報通路を何キロメートルも歩いて”斜坑”までたどりつき、そこから外に出る。「例えばトンネル中央の、品川から一五〇㎞地点付近だった場合、最寄りは西俣斜坑だが、トンネルから地表までの標高差は約三二〇mで長さは約三・五㎞もある。しかも何本もの断層やもろい地層と交差しているから、強振動や地殻変動で損傷して通れないおそれがある。(中略)何とか地上に出られたとしても、そこは日本第六位の高峰・悪沢岳(三一四一m)の北方の尾根が大井川の支流・西俣川に落ちる標高一五三五mの高所である。夏でもたいへんだが、冬季であれば南アルプスの真っ只中の雪山の世界だ。トンネル工事の施工ヤードが整備されたり、作業員宿舎が避難所に改装されたりするのかもしれないが、薄着でリニア新幹線から脱出した乗客が長く居られるところではない。しかし、西俣二条口から登山基地の二間小屋(冬季は無人)まで一時間歩かねばならず、そこから大井川鉄道井川線の終点・井川駅の北方の最奥集落・小河内および田代までは徒歩で実に八時間くらいかかる。」(p115~116)

 おお、おそろしい!…新幹線からの避難だから、避難した乗客数は数百人!それもヘリが使えない山岳地帯で孤立するというのである。

 トンネルばっかりのリニア中央新幹線は、弱点だらけ…あと人口縮小時代に、東京―大阪間を飛行機より遅い時間で大量の人員を運ぶ需要がどれだけ出てくるのか?JRおよび国は、とっととリニア中央新幹線から撤退して、今使われている資金、資材、労働力、機械を真の防災対策に振り向けるべきであろう。

トンネルばっかりが、リニア中央新幹線の弱点!(前編)

先日、静岡県知事がやめてもリニア新幹線の工事は遅れるという記事を書いた。静岡県のわずかな区間の工事着工ができないから、リニア中央新幹線の開通が遅れるのではなく、そもそも全体として工事が大幅に遅れている…という内容であるが、工期の遅れを取り戻すのが難しい条件がある…それは、路線がトンネルばっかりということだ。
 リニア中央新幹線品川ー名古屋間の線路延長は、285.685㎞、うちトンネル延長は約86%の246.6㎞である。のこりの14%程度が、高架橋、橋梁、切盛土工事の”明り部”の工事となる。そして現場の条件にもよるが、明り部の工事は人手、作業パーティー数さえ増やせば、工期を短縮することが可能である。例えば1パーティーで1か月1本の橋脚を完成させるとして、24本の橋脚を完成させなければならない場合、1パーティーだけの投入だと24か月、2年かかるが、2パーティ―だと12ヶ月1年、4パーティ―だと6か月半年で完成する…という感じである。もっとも昨今の人手・労働力不足だとおアーティー数を増やすことは難しいであろうが、そこそこのゼネコンであれば工期が遅れるとなった場合、赤字覚悟で人とカネをぶち込んで工事を進めるということはやるだろう。ところがトンネル工事でははそうはいかない。
 入れる場所が限られてくるからだ。トンネル工事は、坑口、あるいは斜坑・立坑からはいって一方向に進むしかない。例えば1パーティ、昼夜兼行でトンネル掘って(山の中のトンネル工事は2交代制で昼夜兼行で掘削する)月進50m進むとして、10000m(10㎞)のトンネルを両方から掘り進めると、100か月後に「貫通」する…これを短くすることは出来ない。パーティー数を増やそうとすると、トンネルの途中から掘る、すなわち斜坑・立坑をあらためて掘削せねばならず、時間もお金もかかるからだ。大深度地下をシールド工法で掘る場合も、シールドが発進する立坑の数によって入れるパーティー数は規定されるから、工事が遅れたからと言って人や機材をふやしてもどうにもならないのである。
 3年ほど前に、noteにトンネルは掘ってみないと分からないという記事を上げた…記事のなかのほうに
 トンネル掘削前の地質調査は、直接穴を掘ってコアを採取し、土砂や岩盤の状況を確認するボーリング調査と、電流や弾性波(火薬で振動を起こす)探査、地盤内部で常時発生している振動をキャッチする方法等で面的に調査する物理探査を組み合わせて行う。だがボーリング調査で深い位置を調べるためには、同じ深さまで掘らなければならないし、何本も調査するわけにもいかない。トンネルと平行に掘る水平ボーリングというのもあるが、これも何百メートルも掘るわけにはいかない。よって地質調査によってトンネル掘削する全線の地質をあらかじめ正確に認知することは出来ず、トンネル工事は「掘ってみないと分からない!?」のが現状である
 と書き、続けて
 東海北陸自動車道の飛騨トンネルは、飛騨の山奥にある籾糠山を貫く10,712mのトンネルである。先進坑(避難用トンネル)を掘削するにあたり、固い岩石の山が続くことからTBM(トンネルボーリングマシン、シールド掘削機のようなもの)で掘り進める予定であったのだが、数多くの破砕帯(断層等で岩が砕かれたりしているところ)に阻まれ、大量の湧水もあってTBMは何度も停止した。工事計画では最後までTBMで掘り進める予定であったが、貫通まで残り310mの地点でTBMがぶっ壊れて埋もれてしまう。
 てなことを書いた。TBM工法はそこそこ優秀で、新東名高速道路のトンネル工事で大活躍し、トンネル工事の工期短縮に一役かっているのだが、そのテストケースであった飛騨トンネル工事では大変な苦労をしているのだ。そして、
 なお飛騨トンネルが難工事であった事例をあげたが、中央リニア新幹線工事ではより地質が複雑そうな南アルプスをぶち抜く長大トトンネルが計画されており、そちらの工事のほうがいっそう難工事になることが予測される。また東京都内や名古屋市近郊で、大深度地下を活用したトンネル工事が行われる。これまでシールドトンネルを掘った経験がない地層を延々と掘り進むことから、今回の外環道で起こったような陥没事故や、別の事故、不具合が起こることも予想される。にっちもさっちもいかなくなる前に、事業主体であるJR東海はさっさと計画、工事を止めておくべきだろう。
 とまとめている。

 だが、工事が難しく、進捗がはかどらないばかりが、トンネルだらけのリニア中央新幹線の問題ではない。それは後編につづく…

鉄筋がないから耐久性があるの!

 似たような話は過去に何回か書いたことがあるのだが、SNSで流れてきた記事にイチャモンをつけるコーナー…GIGAZINEより
「なぜ古代ローマ時代のコンクリートは2000年もの耐久性を誇るのか?」の謎が明らかに
 古代ローマの人々は非常に高い建築技術を持っており、約2000年前に作られた道路や水道橋、港、建造物などが現代に至るまで残されています。「一体なぜ、古代ローマのコンクリートは2000年が経過しても大丈夫なほどの耐久性を誇るのか?」という謎について、マサチューセッツ工科大学(MIT)が率いる国際的な研究チームが調査したところ、「コンクリートの製造プロセス」にヒントがあることが明らかになりました。(以下略)
 でもって、「高度な建築技術を持つ古代ローマ人が使ったコンクリートはローマン・コンクリートと呼ばれており、現代で広く使われている鉄筋コンクリートの寿命が約50~100年ほどなのに対し、2000年が経過しても構造を維持できる耐久力があります。」と続いている。
 記事は、ローマのコンクリートの成分や製法などの研究成果、現代のセメントコンクリートとの違いを解説しているわけだが、現代で広く使われている鉄筋コンクリートの寿命が約50~100年ほどについての理由が書かれていない(書く必要はないから)…ここに突っ込んでみよう!

Q:なぜ鉄筋コンクリートの寿命が約50~100年ほどなのか?
A:それは鉄筋が入ってるから。


 普通の鉄筋コンクリート構造物は、表面から深さ3~4センチぐらいのところに鉄筋が入っている。鉄筋は空気中に置いておくとすぐに錆びてボロボロになってしまうが、コンクリート中ではアルカリ性の環境に守られているので、錆びない。ところがコンクリートが大気中の二酸化炭素を吸収すると、アルカリ性の性質がぬけてしまう。これをコンクリートの中性化(正確には炭酸化)と呼ぶ。コンクリートが中性化すると中の鉄筋が錆びだし、ボロボロになる。また鉄は錆びると体積が増え、膨張するのでその力でコンクリートにひびが入ったり、剥落したりする。かくしてコンクリートが劣化していくのだが、その速度がおおむね50~100年とされているわけだ。
 もちろんコンクリートが中性化しても、構造が緻密で水分や酸素をあまり通さない良質のコンクリートであれば中の鉄筋は錆びることはない。また表面にいちばん近い鉄筋が錆びたからといって、内部にもある鉄筋全体で構造物を持たせているから、それで使い物にならなくなるわけでもない。一方、施工不良等により鉄筋が表面近くにあったり、コンクリート中に塩分が含まれている、あるいは海の近くで外から塩分が供給されるような場合、鉄筋はもっと早くから錆びだし、ボロボロになっていく。(塩分で鉄筋が錆びるのは「塩害」と呼ばれる)
 
 だからローマ時代の構造物のように、鉄筋がなくコンクリートの塊を置いただけ、あるいはアーチ、ドーム状に積みあげただけの構造物であれば、風化にのみ耐えればエエので、それなりに長持ちする。現代のコンクリートであっても、数百年から千年は持つだろう。
 あるいは鉄筋が錆びないようにする…炭素繊維で鉄筋代替品をつくれば錆びないのだが、コストがべらぼうに高くなる(炭素繊維鉄筋そのものはあるし、炭素繊維で既存のコンクリートを補強する技術もある)よく使われるのが、エポキシ樹脂で塗装した鉄筋であり、高速道路などの重要な構造物や塩害を受ける環境下の構造物の、いちばん表面に近い部分に使われる。青い色をしているので現場で使っていればすぐに分かる。また塩害の多い沖縄では、過去に亜鉛めっきをした鉄筋が使われたりもしたが、コストやコンクリートとの付着強度の問題から今は使われていない。

 現代の技術でセメント、コンクリートが大量製造されてたかだか200年ぐらい…200年前のコンクリート構造物が残っていないのは、耐久性の面というよりは、使われなくなったので解体された…というのが理由である。経済成長その他の理由で、建物などの構造物が陳腐化し、使えなくなったり使い勝手が悪くなったり、新しくよりおおきなものが作られたりするからだ。実際、ローマ時代のコンクリートや石材でつくった建物、構造物も、ローマ文明が衰退して使われなくなると取り壊され、別の石材や道路の舗装に使われたりもしている。

 ということで、鉄筋のない(錆びない)構造物をつくれば、コンクリートの耐久性は上がるわけだ。もっとも記事には、ローマのコンクリートにはひび割れの自己修復機能があると紹介されている。コンクリートは固まる時に収縮するし、内部の水分が徐々になくなっていく過程でも収縮する(乾燥収縮)また温度によって伸び縮みもするので、ひび割れが発生するのはある意味宿命でもあるのだが、ひび割れが入ればそこから空気や水が浸入して風化も進むし、中性化の速度も速くなる。だから「ひび割れの自己修機能」については現代のコンクリートでも盛んに研究されており、中には微生物の力をつかってひび割れを修復するというアイデアもあるのだ。

 以上、記事内容に関係のないイチャモンつけは終了!ではでは…

これは点検の不備である!

 10月3日、和歌山市の紀ノ川にかかる六十谷水管橋が崩落し、川の北側、約6万世帯で断水が続いている。本日の報道で、崩落の原因とみられる事実が明らかになった。読売新聞オンラインより
崩落の水道橋と水道管つなぐ「つり材」、4本が腐食し破断…5月の点検では確認できず
 和歌山市を流れる紀の川にかかる水道橋「 六十谷むそた 水管橋」(全長約550メートル)の一部が崩落し、市北部の約6万世帯(約13万8000人)が断水している問題で、尾花正啓市長は6日、橋のアーチと水道管をつなぐ「つり材」4本が腐食、破断しているのを確認したと明らかにした。市は、つり材の腐食が崩落につながった可能性が高いとみている。
 水道橋は1975年3月に完成。直径約90センチの水道管が2本通り、それぞれの水道管と橋のアーチ部分を多数の鉄製つり材がつなぐ構造になっている。
 市が6日、橋をドローンで撮影して調べたところ、中央付近の崩落部分(約60メートル)の北側にあるつり材4本で、水道管から約3・5メートル上部に腐食と破断が見つかった。いずれも鳥のフンや雨水などがたまりやすい部分だという。市は崩落部分のつり材でも破断が生じ、水道管を支えきれなくなった可能性が高いとみている。
 市は年に1度、水道管の目視点検を実施している。今年5月の点検では全体的に腐食が進んでいることを確認したが、緊急性はないと判断し、来年度に修繕に向けた予算を計上する予定だった。点検で破断は確認されなかったという。
 2015年度に行った耐震化工事では、金具やワイヤで水道管を補強。つり材を補強する部品の一部も交換したが、つり材そのものは交換しなかった。
 尾花市長は「腐食の原因が何であれ、老朽化だと思う。人の通る橋に比べて点検が甘かった」と説明した。今後も専門家を交えた調査を継続し、原因究明にあたる。
 各地の水道橋を手がける水島鉄工(新潟県)の水島等・専務取締役は「強い雨風などで受けた小さな傷を見つけきれず腐食が進み、破断した可能性が考えられる。点検では漏水がないよう水道管ばかりに目がいきがちだが、橋全体に目を配ることが必要だ」と指摘する。

 リンクには「つり材」の腐食、破断状況が確認できる写真もある。また和歌山市から提供されている、ドローンで撮影した動画でもそれは確認できる。5月の点検はどのようにしたのかということは書かれていないが、別の報道では平行する道路橋から目視点検をしたとある。しかし双眼鏡とかを使っても、錆が酷いことまでは分かるものの「破断」まで確認できたかどうかは不明だ。仮に水道管のあるところから点検しても、空中の高い位置にある部材をきちんと目視で点検することは難しい。

 さて、国土交通省では2014年に道路法施行規則を改正し、次のように運用している(道路の維持修繕に関する省令・告示の制定について(道路法施行規則の一部改正等)pdf
  トンネル、橋その他道路を構成する施設若しくは工作物又は道路の附属物のうち、損傷、腐食その他の劣化その他の異状が生じた場合に道路の構造又は交通に大きな支障を及ぼすおそれがあるもの(以下この条において「トンネル等」という。)の点検は、トンネル等の点検を適正に行うために必要な知識及び技能を有する者が行うこととし、近接目視により、五年に一回の頻度で行うことを基本とすること。
 これは2012年12月の中央自動車道、笹子トンネル天井版落下事故なんかを契機に定められたもので、すべての道路橋やトンネルは5年に1度の割合で「近接目視」すなわち技術者が近づいて目視、場合によっては触ったり叩いたりしてきちんと点検しましょう、記録して評価し、悪い箇所は補修しましょうということを法的に決め、そして国道や高速道路会社が管理する道路のみならず、都道府県市町村の自治体が管理する道路も同様に取り扱うようにしたのだ。
 各自治体も、それこそ財政基盤がどのような状態であれ、予算を確保して5年に1回の頻度の目視点検を行わなければならなくなった。仮に自治体が1000橋の道路橋を管理しているのであれば、1年間に200橋ずつ順番に点検を行い、5年で1周、すなわち全橋点検を終了しておく必要がある。2019年にはすべての橋やトンネルの点検が終わっているハズであり、逆に未点検のものがあれば法令違反となるわけだ。(ちなみに私はこういった業務とかでメシを食っている)
 一口に「近接目視」点検といっても、長い橋、高い橋、水上にある橋は大変で、足場をかけたり通行止めにして橋梁点検車を使ったりと手間とカネがかかる。最近はロープワークと言って、ロッククライミングのように人がロープにつかまって橋梁を点検したり、ドローンを使ったりする点検も行われている(ドローンで写真や動画を撮影することが「近接目視」になるのか?という問題もある)
 今回は市の企業局が所有する水道管橋ということで、道路法の規制からははずれる。水道の職員さんだと、どうしても漏水等の問題に目を奪われがちで、橋の構造まで目が行き届かなかったのではということも言える。ただ2015年に耐震化工事を行っているということだから、この時にきちんと橋梁のことが分かる技術者が現場を見ていれば、破断箇所の腐食状況は判断できたはずだ。おそらく塗膜の下の鉄がボロボロに錆び、膨れ、層状にめくれ上がっていたのではないだろうか。「腐食が急激に進んだ」という証言もあるが、破断につながる腐食が1,2年で進行することは考えずらい。おそらくかなり前から鉄が膨張する腐食が進んでいたのだと思う。

 ちなみに2007年には、三重県の国道23号線、木津川橋のトラス橋の部材は破断するという事故が起こっている。(土木学会誌の関連記事pdf)リンクの記事中にも、「5年に一度の定期点検が、1年半ほど前に行われた」とある。主要な国道や高速道路などは、以前から定期点検は行われていたのであるが、それでも盲点となった部分で破断・破損を見つけることが出来なかった。2007年にはアメリカでトラス橋が崩落し、秋田の本庄大橋の斜材も破損が発見されている。点検の重要性が認識されたにもかかわらず、2012年には笹子トンネルの事故も起こっている。にもかかわらず、点検の不備で同じような事故が起こっている…今回の崩落では直接、人命の犠牲は起こらなかったが、大勢の人が長期間の断水に苦しむということになっている。
 点検などのインフラ維持管理をケチっては絶対にイカんのだ!ましてや営利に委ねる水道の民営化などとんでもない!ということも、今回の事故の教訓なのである!

コンクリートに関わる二酸化炭素削減技術について

 お仕事の関係で日本コンクリート工学会なるものに所属し、会費を払っているので会誌「コンクリート工学」が毎月送られてくるのだが、2021年9月号の特集は、カーボンニュートラルに貢献するコンクリート技術というものだった。
 コンクリートを使う土木のお仕事なんか、化石燃料使いまくって山を削ったり海を埋めたりと、二酸化炭素出しまくり産業の典型みたいなものなのだが、それゆえに「二酸化炭素削減」のお題目は重要となる。特にコンクリートの分野では、主材料のセメントを作るのに石灰石(炭酸カルシウム)を粘土なんかと混ぜて焼成するので、燃料から出る二酸化炭素の他、石灰石由来の二酸化炭素が大量に発生するのである。ちなみに焼成においては燃料は石炭、石油の外、廃タイヤや廃パチンコ台(プラスチックの塊!)など様々な可燃性廃棄物も大量に使われており、ある意味セメント産業は廃棄物処理の”優等生”でもあるのだが、それはおいておこう。
 よってコンクリート工事から排出される二酸化炭素を減らすに手っ取り速い方法は、セメントの量を減らすことであり、セメントの代替品として製造時に二酸化炭素を出さないものが求められているのだが、それは昔から既に存在し実用化されている。高炉で製鉄をしたときに副産物として生産される高炉スラグを粉末化したものや、石炭火力発電で燃やされた石炭灰の良質なもの、フライアッシュがそれである。高炉スラグは「潜在水硬性」といって、セメントと同じように水和反応して固まるし、フライアッシュは「ポゾラン反応」といってセメントの水和反応を促進させる働きがある。例えばセメントを400㎏使ってコンクリートを作るのに、セメントを200㎏、そして残りを高炉スラグたフライアッシュに置き換えて使っても(配合の比率は”例え”であって、実際はいろいろある。高炉スラグとフライアッシュとでも違う)養生の工夫やや強度発言の日数が伸びる(その分、コストアップになる)他は、出来上がったコンクリートの性能はそんなに変わらないのだ。そして”副産物”であることから、高炉スラグ製造時に発生する二酸化炭素は製鉄に、フライアッシュのは発電にそれぞれカウントされるので、高炉スラグやフライアッシュ製造時には二酸化炭素は発生しない!(精製や運搬、貯蔵時には発生する)ということになっているので、例のようにセメント使用を高炉スラグやフライアッシュに”置き換える”だけで、その置き換え分のセメントから発生する二酸化炭素を削減することが出来るわけだ。
 もともと高炉スラグやフライアッシュでセメントを置き換えてコンクリートを作る技術は、フレッシュコンクリートの流動性を良くしたり、硬化時の水和熱の発生を抑制したり、硬化コンクリートの収縮を抑制したり、組織を緻密化させて耐久性を良くするなど、コンクリートの性能を向上させるために開発されたもので、今日のように二酸化炭素削減が強く叫ばれる以前から実用化されている。したがって多少のコストアップになっても市場で充分に通用するし、かつ高度スラグやフライアッシュを運搬、貯蔵、使用するインフラは既存の工場や車両を増やせば行えるので、新たな設備を大々的に作る必要はない(ただし町の生コンプラントでは難しいだろう、せいぜいセメントメーカー)だからこの”二酸化炭素削減”技術は非常に有効である。ただし製鉄や石炭火力発電で大量の製品および二酸化炭素を発生させる産業構造が前提であり、またこの技術があるからといってセメント、コンクリートをバンバン使用するような社会においては(このような社会のまま「脱炭素」に進めるわけがないと、斎藤幸平氏は批判しているわけだが)結局トータルで二酸化炭素が減るわけはない。

 さてセメントは石灰石(炭酸カルシウム)を焼成してつくった安定した物質であるのだが、少しずつ大気中の二酸化炭素と結びついて、ざっくり言うともとの炭酸カルシウムに戻ろうとする。コンクリートで硬化したセメント成分が二酸化炭素と結びつくことを「炭酸化」と呼ぶ。もっとも土木や建築のコンクリートの炭酸化で問題になるのは、コンクリート中にある間隙水に含まれる水酸化カルシウムが炭酸カルシウムに代わる反応で、これを普通「中性化」と呼んでいる。コンクリート中にある鉄筋がさびないのは、コンクリート間隙水がアルカリ性を保っているからであり、中性化すると鉄筋がさび出すからである。従って鉄筋のないコンクリートの中性化は問題にはならない。そしてこれでコンクリートの表面から固定される二酸化炭素量は、そのコンクリートを作るために排出された二酸化炭素に比べればわずかなものである。
 ところが硬化コンクリートを炭酸化させると、組織が緻密化するなどの良いことも起こるので、ここに二酸化炭素を回収して有効活用するCCUS(二酸化炭素分離回収・有効利用・貯留 Curbon dioxide Capture, Utilization and Storage)カーボンリサイクルというクソ技術にコンクリートを使おうという構想が出てきた。具体的には廃コンクリートを細かく砕いたものに含まれるセメントペースト分に、二酸化炭素を強制的に反応させて、強化した骨材やセメント系の材料を作成し、それをリサイクル材として使おうというもの…細かく砕いたものを、例えばセメント工場から発生する二酸化炭素たっぷりの排気ガス中に放り込み、改質した骨材を売り出そう!ということだ。
 このクソ技術は、あらかじめ二酸化炭素を吸収するためのカルシウム分を廃棄物由来にすることで、そんなにエネルギーをかけないで生産できるというのが”強み”なのだが、そもそも再生骨材自体、ふつうに採石山から切り出してくる骨材と比較してコストが高くつき、道路の路盤材他で大量に使用されることはない(天然の採石を採取することを法律で禁止すればなんとかなるだろうが)また単純に細かな採石状のコンクリート塊を高温の排気ガス内に放り込むだけで、吸収される二酸化炭素の量はやはり知れているだろう。大量の二酸化炭素を吸収しようとすれば、圧力をかける、なんか触媒を使うなどやっぱり余計なエネルギーを消費する…よってこの構想もまた”クソ技術”として歴史のくずかごに放り込まれるに違いない!

以上、コンクリートと二酸化炭素削減、脱炭素の話題である。
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あるみさんとは

あるみさん

左翼、時々テツ!ちょっぴり萌え系…白系共産趣味ブログであったが、どうも本人のスピリットは赤か黒らしい。闘争・集会ネタが主。主戦場は沖縄・辺野古。
 もとネタは、鉄道むすめのメットキャラ「金沢あるみ」さん。フィギュアを手に入れ、メットを白く塗ったりして遊んでいた。「あるみさん」つながりで「すのこタン。」も要チェック!
 「侵略!イカ娘」からはまったのは「ガールズ&パンツァー」…梅田解放区の隠れ「ガルパンおじさん」でもあるが、今は「はたらく細胞」の「血小板ちゃん」にハマり(おいおい)人間が朝の6時に起きれるか!という謎のコンセプトで生きている。

メールは、nishihansenあっとyahoo.co.jpまで(あっとを@に変更して下さい)
ではでは(^^)

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