「新選組」から昨年の参議院選挙に出馬した、元J.P.モルガン為替ディーラー、フェア党代表であった大西つねき氏が、自らの動画でとんでもない発言をした。有田芳生氏のツイートより。  高齢者を引き合いに出し「命の選別」をしないといけない、「その選択が、政治なんですよ」と言っている。有田氏が指摘するまでもなく、「優生思想」そのものであり、人間を「生産性があるか」どうかで人の生き死にを決める、許しがたい発言だ。「新選組」は昨年の参議院選挙で、重度障害を持つ二名の方を当選させ、「生きててくれよ!死にたくなるような世の中やめたいんですよ!」という、誰もがそのまま肯定される社会を作ろうという理念を実現させようとしていたものであるが、その理念も、そして当選した二人の重度障害者、舩後靖彦氏、木村英子氏をも殺す発言である。
 問題なのは、そういった人物を「党公認候補」としていたことである。
 もちろん「党の候補」とした段階で、大西氏の「優生思想」的な考えを持っているとは分からなかったこともあるだろう。この人は経済政策、お金の出し方を変えて世の中を変えよう!ということが主題の人だから、人権とか、障害者差別とかについてどれだけ深く考えているのか分からないところもあった。だが、上記のような問題発言がさらっと出てくるのであれば、やはり人権や差別といった問題についての認識が非常にまずいということが分かる。
 で、「新選組」は大西つねき氏の動画内での発言について2020年7月7日というものを出した。そこには

大西つねき氏の動画内での発信は、
れいわ新選組の立党の精神と反するもので看過することはできない。
一方そのことによって
大西氏を除名するという判断はこちらにとっても簡単なことではあるが、
それでは根本的な解決にはならない。

「看過することはできない」ぐらいで済ませるとは、事の重大性を全然理解していないようだ。さらに問題なのは、肝心の党が大西氏を公認していたことについての反省や謝罪がみられないということだ。

 「新選組」の綱領や規約を見てみると、たしかに大雑把すぎるし、人事や党員(そもそも大西氏は「党員」なのか?という話もある…規約上は「構成員」ということになるのであろう)あるいは除名などの懲戒についての規定がない。だから簡単に「除名」ということにはならないし、そもそも「除名」が妥当な処分なのか?ということも分からない…だが党の声明という形でいくらでも大西氏を批判し、党もまた反省や謝罪を表明することは出来るだろう。
 ただし救いがないわけではない
 大西氏には、命の選別の問題に生命尊重の立場から、
 取り組んでいらっしゃる方々にレクチャーを受けて頂き、
 命について真摯に向き合うチャンスを与えたいと思う。
 「チャンスを与えたい」というのは上から目線ですごく嫌なのだが、これを好意的にとるならば、「自己批判せよ!」という事だ。もちろん、手前勝手でとおり一片の「反省」の言葉ではなく(一応ことわっとくと、大西氏は謝罪のツイートを行い、問題の動画は削除している)なんでそのような発言をしたか、その原因を自ら切開し、血のにじむような言葉でもって反省と謝罪をしてほしい。そのためには「新選組」組織もまた、いっしょに「レクチャーを受けて頂き」やってもらわないとイケナイのだと思う。
 そして願わくばその過程で、党名に天皇をたたえるための「元号」を使うこともやめてもらえばとも思う。天皇制こそ、日本における差別や障害者抹殺の元凶なのだから…