新沖縄フォーラムが発行するミニコミ誌「けーし風」第106号(2020年4月28日発行)にこんな記事があった…環境ネットワークだより*79「地域貨幣によるベーシック・インカムでコロナ災害を克服」内海正三(沖縄環境ネットワーク会員)p64~65
 新型コロナウィルスの猛威が日本中に広がっている。このウィルスは変異を起こしやすく一度感染しても再感染の患者が韓国で百人以上確認されている。
 という書き出しで始まる短い論考は、グローバル経済システムから日本の資本主義システムについて触れるとともに、
 次々と現れる感染症は今後も経済停滞を引き起こす。規模の経済が巨額の債務と固定費によって弱点となる。グローバル経済は根底から揺さぶられることになり、それを前提にした庶民の生活も再考を迫られる。
 と展開された後
 崩壊する競争社会の中で、イタリアではベーシック・インカムが取り入れられる。沖縄においては地域貨幣の取り組みが役立つだろう。日本でもアベノミクスの呪縛が解けて地域社会再興の切っ掛けとしたいものである。
 とづづき
 抜本的な制度改革が必要ではあるが、地域貨幣によるベーシック・インカムを沖縄県が行えば、離島やへき地の農林水産業が一四十五万人の食料を確保する最重要産業となり、都市集中、第三次産業偏重の社会構造は大きく変化し、地域社会が維持可能なコミュニティとなる。ここ百年で最大の災害を克服するカギは人々の決意と創意である。 
 と結んでいる。
 この発想は、最低限の生活が保障される”通貨”は、沖縄の内部だけで通用するものにする、そうすれば、その通貨で地域内経済を回し、沖縄の(特に第一次)産業を自立させることができるのではないか?ということだ。なるほど、発想は面白い!
 もちろんベーシックインカムは、なんでも使える「お金」「日本円」をとりあえず渡すことで、福祉の給付に伴うモロモロの手続きなんかを簡素化しようとするもので、もらった人がそのお金を食費に使おうが光熱費に使おうが、本を買おうがパチンコにつぎ込もうが問題はない。ところでベーシックインカムを「地域貨幣」にして一次産品+αの福祉サービス”だけ”手に入る制度設計にした場合、その「地域貨幣」で食料品や光熱費は払うことが出来るが、本を買ったりパチンコすることは出来ない…本の流通やパチンコは「日本円」で運営することになるのであろう。(沖縄だけで流通する本なら、地域通貨で運営するのはアリかもしれない)
 また「地域貨幣」にすれば、ベーシックインカムで流通させた「通貨」が、大資本を経由して(本土の)金融資本に流れ込むこともなくなる。金融資本に「余計なお金」が流れ込むことは、MMTを適用して「財政出動」させる場合でも、注意しなければならない…というか、普段流通している通貨で財政出動をやれば、確実に出動させたカネは金融資本に流れ込み、「利子生み資本」となって新たに貸し出し先を探すことになる…このへんが何らかの「悪さ」を行うであろうということに、MMT論者は答えていないと思っているが、そのへんは置いておこう。

 ともかく思白いアイデアなので知り合いにその話をしたら「キミ、沖縄で『地域貨幣』を発行すうrということは、琉球独立だよ!」と言われた…そーか、通貨発行権を持つことになるのか!