13時50分ごろ、議会は再開して、こちら側の意見陳述に入る。まずは事務局の山川よしやすさん。
はじめに「吉村知事、やっと会えましたね!」とマスクを取って横を向く…署名提出時も、吉村知事は山川さんを含め、こちら側の人間と会おうともしなかったからなのだが、すかさず議長から注意が入った。やだなぁ~「21万の署名をみましたか?府の法務室に行けばあるんです」と述べて、段ボールに積まれた署名の写真を示した。署名集めに関し、能勢町から岬町までまわって(注:大阪府の北の端から南の端までまわったということだ)府民と500万回は会った。知事はそこまで府民と会っていないでしょう…「意見は違うけれど、大阪を良くするのは同じ。署名するよ」と言ってくれた人もいたと、署名運動の広がりについて述べた。その後、条例制定のための議会手続きが短いことへの批判や、IRへの入場者の見積もりの問題、そして黒字になるのが50年後!今署名できなかった10代の若者が70歳、80歳になっても借金が返せていない問題にふれられた。
6人で30分の持ち時間しかないのだが、多くの時間を費やして山川さんが包括的な問題提起をする戦術をとったようだ。それにしても山川さん、やっぱり上手いわ!こうゆうの。
続いて豊中市の井上眞理子さんの意見陳述…豊中市会で住民投票条例を求める議決が上がったことの報告をした後、なぜ署名を3~5月の間に集めたのか?区域整備計画の策定で吉村知事は「地元住民の意見を反映」させたといっているが、公聴会では90%の公述人が反対を表明したことが反映されていないし、セミナーは参加人員が少なく、説明会もコロナで中止になっている。充分に意見が反映されていないからだと主張され、住民投票で必要なものは充分な討議・熟議であると述べられた。
次は四条畷市で子ども食堂を運営する、山本啓一郎さんが発言された。カジノは必ずギャンブル依存症を生み出す。親が依存症になることで、暗い生活をおくらなければならない子どもをつくることになる。依存症対策は、依存がどうしようもなくなってからでないと(手が後ろに回ってからでないとと表現された)手を差し伸べられない…その時、子どもはどうなっているか!見えない貧困と闘っているが、子どもの失くした夢を満たすことはできないなどと述べられた。
高槻市の加納忠さんは、高齢者運動をしているが、子や孫に大阪をバクチの街として残したくないと、多くの高齢者が受任者になってくれた。ギャンブルは何かを生み出すものではないなどと述べられた。
堺市の山口美和子さんは、父と弟がギャンブル依存症になった被害者であると述べられた。父親は年金掛け金が払えず、生活保護で暮らしている。現行でも依存症一人当たり60万円かかっている…カジノも統一教会もいっしょ、医療従事者にカジノも雨がっぱもいりませんと述べられた。
枚方市の高松まさ子さんは、署名運動に生き生きと取り組んだことを述べられた…トータルの意見陳述は40分ぐらいかかった。
維新の笹川理議員が代表質問に立つ…署名は重く受け止めなければなりませんと言い、区域整備計画は着実な手続きで進められてきたか、IR推進局長に伺うと質問すると、IR推進局長は、必要な手続きを行って来たと答弁…笹川議員は、手続きは適正だったと確認できましたと言う…もーこんなんばっかり!すごい茶番なやりとりだわ!
土地改良費の790億円については、特別会計からの支出であり、大阪市民税金ではないと答弁。ギャンブル等依存症対策については、健康医療部長から大規模依存症センターを設置するほか、MGM社のマニュアルか何かにそって、IR施設内でも依存症対策をするようだ(マッチポンプというヤツ)
笹川議員は吉村知事にも質問し、高校生向けの予防教育や、市民への啓発活動を行うと答弁させた。その上で吉村知事は「ギャンブル等依存症対策のトップランナーを目指す!」などとのたまったが、コロナワースト1の知事が、何ゆうてんねん!というものだ。コロナ対策もロクに出来ない知事が、依存症対策のトップランナーなぞ「寝言は寝て言え!」の世界である。
続いて笹川議員は、大阪都構想の住民投票と今回の住民投票との違いは何か?と質問すると、吉村知事は「都構想は『大都市法』に基づいて、大阪市を特別区に再編する際に市民の意見を聞くため法律で住民投票を行うように定められている。IR設置についてはそれが義務付けられていない」などと答弁した。要するに法律で定められていないから、手続き的にはOKという論なのだが、それでは憲法や地方自治法に定められている住民投票に関する条項はどうなのだろう?ホント、目先の法律論で誤魔化すやり方は維新政治の最悪の方法である。
笹川議員の代表質問はこれで終了、場内から維新議員のなが~い拍手が行われる。
続いて公明党の肥後洋一郎議員の代表質問、こちらも署名は「重く受け止める」としながら、まず需要予測や経済効果について質問、IR推進局長から茶番答弁を引き出す。夢洲の土地改良費の上振れの可能性についても質問…依存症対策としてIR推進局長から「(先進地域)シンガポールの依存症対策も取り入れる」旨の答弁(「超管理国家」シンガポールの依存症対策って、なんか怖そう!)を引き出す。
肥後議員も吉村知事に、住民投票実施について知事の見解を求めた上で、IRについて積極的な情報発信をと質問すると、知事もそれに応える形で答弁したが、具体的に何をするのかということはほとんど説明されなかった(毎日、関西のテレビに出演するのか⁉)議場、傍聴席からヤジ、イチャモン的騒ぎか聞こえてくる(大阪府議会のネット中継は、傍聴席からのヤジの類いはほとんど聞こえてこないようになっているが、議長が休憩の都度、注意・警告をしていたので、かなりざわざわしていたのであろう)
続いて自民党の原田りょう議員の代表質問…署名は重く受け止め、賛成であるが外国人の投票には反対である旨発言の後、吉村知事に直接請求制度についての考えと、19万2739筆の重みをどうとらえているか質問した。
吉村知事は署名について「手続きを大切にして、そのため今回議会に審議を求めている。重く受け止める」と答弁…心なしか、維新議員の時に比べ声が小さくなっているが、要するに手続きさえすれば、それでよしというところだ。
原田議員は、議会での手続きが府民に充分伝わっていないから、直接請求が来た。住民投票を行うことで、IRの姿をしっかり周知できる、大阪IRについての認識が深まると主張した。自民党はカジノ・IRについては推進の立場なので、これはこれでまっとうな意見である。「今のやり方が不十分だから請求が起きたのでは?充分に説明ができているとは言えません。住民投票を行って賛成多数で合意形成をしたほうが良い」と述べたのに対し、吉村知事は「自民党が定めた法に基づいて行っている」と答弁…どこまでも他力本願、他人、他党のせいにしたがる維新メソッドである。
原田議員は間接民主制は完全ではないと述べ(吉村知事はこの間、住民投票をやらない理由で、地方自治は代表制民主性だからと、選挙の結果が全てと言う対応、答弁を繰り返してきた)、一度、府民の声に耳を傾けませんかなどと正論を続けた。また自民党からは、同時に審議されている知事専決事項…コロナによる貧困対策として、クオカード、ポイント付与事業についての質問も行った。
代表質問後、少数会派からの質問も認めよとの動議が出されたが、否決…その後休憩に入る。
休憩時間中は、こんな画面が続くのだ午後3時40分から、延々と6時半過ぎまで休憩となっていた。どうも裏での調整や意見とりまとめに時間がかかっているようなのだが、それだったら議会そのものを時間と日数をかけてやればエエものを…なぜかその間に食事も済ませて、再度PCの前へ…
再開後、自民党奥田えつお議員から、外国人の投票権を外すこと、投票人要件の厳格化を求める条例案の修正動議の説明…それについては質疑なし。その後、維新西田薫議員、自民党徳永しんいち議員、公明党垣見大志朗議員のそれぞれ反対、修正賛成、反対の討議を行った後、採決に移る。修正案、原案とも賛成起立少数で否決…午後7時前の決定であった。
少数会派から意見も聞かず、維新・公明と大阪府・IR推進局との茶番答弁で審議の形だけつくって住民投票条例を否決した大阪府議会と、吉村知事を徹底的に弾劾する!
と同時に、これでIR・カジノ計画がとんとん拍子で進むというわけではない。国に対し、住民投票を否定して進められる計画に正当性はないと認可を認めさせない運動や、市が土地改良のためにカネを出すのは違法であるという訴訟も始まる。闘いはこれからなのだ!