3月21日、様々な集会がある中、狭山事件の再審を実現しよう市民のつどいin関西に参加してきた。
 西成区民センターのホールは、なんかデカい。 DSC_5723

 写真は、写りは良くないがビデオメッセージの石川一雄さん、石川早智子さん。
 司会のあいさつの後、地元から部落解放同盟大阪府連合会書記次長の、袈裟丸朝子さんがあいさつ。昨日の袴田事件の再審決定に対し、検察が特別抗告を断念した大変喜ばしいニュース(ホント、これがあったから「次は狭山だ!」との明るい、希望に満ちた空気が会場内に満ちていた)について触れた後、狭山事件の事実調べを求める緊急署名が49万筆も集まったことなどを報告された。
その後、記念公演の露の新治さんが「お笑い人権高座」…「笑う」という字は本当に笑っているという図を示したり、差別とはいわれのない区分、コンプレックスとは自分を差別する「自差別」そして被差別と言う言葉があるが、「加差別」こそが問題、自分にコンクレックスがあっても、より弱い人を差別をしたら「あかんたれ」のまんま、差別する側に「アカン」というのは少ないが、被差別者に「頑張れ!」という話ではない…などなど、ほんとうに大切な話を笑わせながら語っていただく、楽しい高座だった。
 弁護団報告ということで、指宿昭一さん。まず袴田事件の「ふりかえり」検察や入管(最高検の植民地と呼ばれている)、法務省は絶対に謝らない。いつも自分たちが”正義”であると考えている。袴田事件も証拠がねつ造されていたが、ねつ造の積み重ねが狭山事件…だが、彼らは捜査機関がねつ造をするはずがないと信じている。その常識は崩れてると批判された。
 そして狭山事件再審のため、証人尋問とインクの鑑定がなぜ必要か?そもそも再審はすごくハードルが高い。明々白々な新しい証拠が発見されないといけないのだが、証拠はすべて検察が持っており、新しい証拠を弁護側は持っていないし、証拠開示については、法に規定されていない(裁判官の「勧告」で出てくるようになった)。狭山における証拠は弁護側が独自に鑑定した有力なものだが、証拠調べにはその鑑定をした専門家の証人尋問と、インクの裁判所による鑑定が必要となるとのことであった。
 証拠そして石川さん宅の鴨居から発見されたという、被害者の万年筆には、ジェットブルーインク(被害者が使っていた)は混じっていなかった。下山鑑定書では、クロム元素の有無で分かる。また3度目の家宅捜査で発見されたと言うのも、心理学者による実験でおかしいと鑑定されているとのことだ。
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 裁判は裁判所の中で動いているわけではない。上からの圧力の他に、世論の力というものもある。裁判官の背中を押すのは、メディアの報道と市民の力だ。支援の数は狭山事件のほうが多いが、報道は袴田事件のほうが多い。長い闘争の歴史があっても報道されないが、今ここにいる人が知らなかった人に伝えて、その人が声を上げるようになれば報道されるようになるだろう。入管問題がまさにそうだった。狭山事件でもそういう動きがある、「緊急署名」の目標は20万筆だったが、倍以上の49万筆も集まった。新たな広がりがメディアを動かすチャンスである。
 関西テレビで冤罪事件をテーマにした「エルビス」というドラマがあった。正義の実現のために、登場人物が手探りで何かやろうとして最後まであきらめなかったということだ…と述べられた。
 続いて市民とメディアの力だけでなく政治の力も大きいということで、議員・政党あいさつ。社民党副党首、大椿ゆうこさんは来られないのでメッセージを代読。れいわ新選組、大石あきこ衆議院議員は、自ら受けた解放教育と狭山事件との出会いと再審法の改正について、立憲民主党、森山浩行衆議院議員は、「冤罪はあってはならない」が「冤罪はないこと」になっている、あったことをなかったことにする冤罪は、公文書改ざんやいじめの隠蔽と同じ、これを無くしていきたいと語られた。
 10分休憩の後、冒頭写真の石川一雄さん、石川早智子さんのビデオメッセージになる。
 84歳の石川一雄さんは、健康を保つために公園を歩いているそうだ。今、天国から迎えが来たら困るが、冤罪が晴れたらいつ逝ってもいいとおっしゃられた(そんなことはない。清廉潔白の身を1日も多く生きて楽しんで欲しいものだ!)石川早智子さんは、再審が決定した時の、袴田ひで子さんの満面の笑顔をテレビで見た。裁判官は自分の眼で、証拠しらべの実験をしているところを確認して欲しいとおっしゃられた。
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 袴田ひで子さんもビデオで登場!先週の土曜日にインタビューしたものなので、まだ3~4年は頑張れる、狭山事件については、後に続くように再審開始になるよう願っているとおっしゃられていた。テレビの映像でもそうだが、90歳でほんとうに元気な様子である。
 トークセッションということで、映画「獄友」や「オレの記念日」の金聖雄監督、住吉事件冤罪被害者の青木恵子さん、湖東記念病院事件冤罪被害者の西山美香さん、狭山事件の再審を実現しよう、Facebook管理人のノジマミカさんら四人のトーク。青木さんと西山さんは、和歌山刑務所で「獄友」だったそうな。西山さんはとにかく、よくしゃべる方だ。青木さんは仲間が勝つとやはりうれしいと述べられていた。ノジマさんは、袴田さんの苦しみは、再審法改正と冤罪を生み出すシステムを変えることに生かされなければならないと述べられた。
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 和太鼓集団熱光(ひかり)、和太鼓いぶき、太鼓集団鼓情炎のライブ太鼓演奏…昨年まではコロナでビデオ出演だったが、今年から勢いのある生演奏が聴ける…袴田さんの再審決定を喜び、石川さんの再審開始に向けた希望を感じる力強い演奏であった。
 市民のつどい実行委員会の山中秀俊さんの閉会あいさつ…参加者数の発表はなかったが、200名以上はいただろう。終了後、16:30からパレードという名の、デモでありますっ!
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 岸里から国道26号を北上して、花園で右折、南海電車の高架をくぐってから、細い道に左折、釜ヶ崎の三角公園の隣を通ってJR大阪環状線の新今宮駅にぶち当たり、閉鎖されたセンター前で解散する1時間弱のコースである。小雨がぱらつく中「狭山事件の再審を行え!」「証拠のねつ造を許さないぞ!」「証人尋問を行え!」「インクの鑑定を行え!」などのコールの他、「袴田事件の再審万歳!」「再審で無罪を勝ち取るぞ!」コールもあった。また集会は解放運動色はほとんど無かったのであるが、デモでは釜ヶ崎の労働者たちといっしょに「差別裁判を許さないぞ!」とコールしたり「差別裁判、打ち砕こう」のメロディーが流れたりもした。

参加して良かった…本当にいい集会だったと思う。