10月16日、京都円山野外音楽堂で「変えよう!日本と世界」集会に参加してきた。毎年、国際反戦デーに合わせて行われている「反戦・反貧困・反差別共同行動in京都」で、今回は第16回目になる。
開会前のプレイベントで、ひらた博さんのライブが始まる。
開会あいさつの後、主催者あいさつで代表世話人の新開純也さんが発言。基調は配布された資料にあるということであるが、アベ死去後も、アベ政治そのものが残っている。アベ政治のミソは「歴史修正主義」であり、日本中心のナショナリズムをあおるものだ。アベ政治を継続する「2012年体制」を断固として粉砕し、岸田政権・自公政権を打倒すると訴えられた。
ウクライナでの戦争について、プーチンの大ロシア主義に基づいた侵略戦争である一方、これを口実にした世界的な軍拡を許してはならない。戦争を止められるのは最終的にロシア・ウクライナの人々の意思であり、とりわけロシアの人々の反乱でなければ終わらない。そうゆう人々と連帯して戦争を止める努力をしないといけないという見解を述べた。
新自由主義に対抗するオルターナティブ、新たな「社会主義」を掲げる政治勢力が必要であるとともに、杉並区長選挙で岸本聡子氏を当選させた「ミュニショパリズム」…自治体で公共性や自治を取り戻す運動に注目しなければならない。あと、連合・芳野体制ではなく、新しい労働運動の復権との結合であると述べられた。
つづいて中北龍太郎さんから、大軍拡を阻止し、改憲のうごきや辺野古新基地建設阻止、核兵器禁止条約を結び、武器なき社会の実現を目指そうと連帯のあいさつがあった。
いよいよメインの、木戸衛一さんの講演である。
木戸さんは、なぜドイツ現代政治を研究するようになったか?美濃部都政に挑戦した石原慎太郎のような極右政治家の台頭などがきっかけだったと述べられた後、平和研究の成果として、平和の反対は戦争ではなく、暴力であるということを紹介された。暴力には「直接的暴力」「構造的暴力」「文化的暴力」があり、後者2つを克服することで積極的な平和が生まれるとした後、ドイツの三つの言葉を紹介された。
「狂気は個人にあっては稀有なことである。しかし、集団・党派・民族・時代にあっては通例である。」(ニーチェ『善悪の彼岸』)
「この地上で最も巨大な変革の原動力は、どんな時代でも、大衆を支配する科学的認識よりも、彼らを鼓舞する熱狂、また往々彼らを駆り立てるヒステリーにあった。大衆を獲得しようと欲する者は、彼らの心の扉を開く鍵を知らなければならない。その鍵は・・・意思と力である。」(ヒトラー『我が闘争』)
「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し保護することは、あらゆる国家権力の義務である。」(ドイツ連邦共和国基本砲第1条)
上の二つは、再現してはならない。そしてドイツでいいのは、連邦共和国基本法第1条だ、「人間の尊厳」であって「ドイツ人の尊厳」ではない…世界的な普遍性を持っていると述べられた。
西ドイツの「赤軍派」の弁護を続け、西ベルリンでオルターナティブの日刊紙tazを発行し「緑の党」を創設するも、そこに安住することなくドイツの「左翼平和主義者」の矜持を持ち続けたハンス=クリスティアン・シュトレーベレを紹介した後、ウクライナ戦争直後雄のドイツに見る「時代の転換」について語られた。現代のドイツは社会民主党・緑の党・自由民主党(これはネオリベ)の連立政権なのだが、2月27日にショルツ首相は「2022年2月24日は、我々の大陸の歴史に時代の転換を刻印した」と演説し、国会は連邦軍向けの1000億ユーロ(14兆円)の特別基金、軍事予算のGDP2%以上を計上した。ウクライナへの軍事支援が始まり、武器輸出も行われている。ドイツでは若者があ有り前の様にボランティア活動を行うが「ボランティアの義務化」による事実上の徴兵制再導入も目論まれている。街のあちこちで連邦軍のポスターが掲示されていると述べられた。
「武器なしに平和を創る」というのは、ドイツのプロテスタント教会の反戦スローガンであり、89年のライプチヒの民主化でも、強権国家に弾圧の口実を与えないという経験から来ているものだが、これが「プーチンの第五列」呼ばわりされるという逆風にさらされている。NATOという軍事同盟の存在が思考停止を招く実例となっている。
またドロテー・ゼレの本「軍拡は戦争がなくても人を殺す」を紹介され、軍拡をやれば福祉や教育にお金がまわらない。ドイツでも国民の16.6%、8人に一人が貧困に陥っており、子どもの貧困は5人に一人であると紹介された。
ドイツのみならず、世界もまた転換期である…格差・貧困、気候危機、パンデミック、戦争、インフレ、食糧・エネルギー危機など、文明に起因する問題に直面している。にもかかわらず「民主主義対専制主義」と言う安直な二項対立に陥っている。1970年代に「過剰な民主主義」批判が行われ、格差拡大の「新自由主義」が導入されていった。一人の人間が決めていくしかないという「強権主義」が現れ、右翼ポピュリズムの跳梁ともつながっていると現状認識を述べられた。
日本の状況は「2012年体制」という捉え方に賛成である。「安部国葬」はアベ政治の継続であり、首相は誰だっていい。G7は「自由・民主主義・人権」を建前としているが、日本では「世界の真ん中で輝く日本」であり、建前すら喪失している。安部、菅、岸田の「日本型オリガルヒ」は「(半)カルト国家」「無責任の体系」…「無責任の体制」を完成させたのはヒロヒト天皇であり、アベは21世紀の無責任体制の象徴的人物である。そして合理的思考を停止させるための装置としての反共主義がある。自民党を解体していく…そのためには、政治のフェミ内ゼーション(女性化)と若い人たちを取り込んでいくことが、民衆運動の課題であると述べられた。
講演終了後、予定では服部良一、社民党幹事長の国会報告であったのだが、新潟市長選挙の応援ということでメッセージのみ…なぜか代わりに菅孝之氏が昨日から関西に来ていたということで壇上に…
平和主義にとって困難な時代になった。日本政府は閣議決定による独裁と対米従属を続けている。モリカケサクラの仕上げが統一協会問題だ。若者が政治の場に登場できない環境にあるが、それを作って来たのは我々世代の責任である。資本主義を肯定しないアジール・抵抗の拠点をつくっていこうと述べられた。
続くよ…
開会前のプレイベントで、ひらた博さんのライブが始まる。
開会あいさつの後、主催者あいさつで代表世話人の新開純也さんが発言。基調は配布された資料にあるということであるが、アベ死去後も、アベ政治そのものが残っている。アベ政治のミソは「歴史修正主義」であり、日本中心のナショナリズムをあおるものだ。アベ政治を継続する「2012年体制」を断固として粉砕し、岸田政権・自公政権を打倒すると訴えられた。
ウクライナでの戦争について、プーチンの大ロシア主義に基づいた侵略戦争である一方、これを口実にした世界的な軍拡を許してはならない。戦争を止められるのは最終的にロシア・ウクライナの人々の意思であり、とりわけロシアの人々の反乱でなければ終わらない。そうゆう人々と連帯して戦争を止める努力をしないといけないという見解を述べた。
新自由主義に対抗するオルターナティブ、新たな「社会主義」を掲げる政治勢力が必要であるとともに、杉並区長選挙で岸本聡子氏を当選させた「ミュニショパリズム」…自治体で公共性や自治を取り戻す運動に注目しなければならない。あと、連合・芳野体制ではなく、新しい労働運動の復権との結合であると述べられた。
つづいて中北龍太郎さんから、大軍拡を阻止し、改憲のうごきや辺野古新基地建設阻止、核兵器禁止条約を結び、武器なき社会の実現を目指そうと連帯のあいさつがあった。
いよいよメインの、木戸衛一さんの講演である。
木戸さんは、なぜドイツ現代政治を研究するようになったか?美濃部都政に挑戦した石原慎太郎のような極右政治家の台頭などがきっかけだったと述べられた後、平和研究の成果として、平和の反対は戦争ではなく、暴力であるということを紹介された。暴力には「直接的暴力」「構造的暴力」「文化的暴力」があり、後者2つを克服することで積極的な平和が生まれるとした後、ドイツの三つの言葉を紹介された。
「狂気は個人にあっては稀有なことである。しかし、集団・党派・民族・時代にあっては通例である。」(ニーチェ『善悪の彼岸』)
「この地上で最も巨大な変革の原動力は、どんな時代でも、大衆を支配する科学的認識よりも、彼らを鼓舞する熱狂、また往々彼らを駆り立てるヒステリーにあった。大衆を獲得しようと欲する者は、彼らの心の扉を開く鍵を知らなければならない。その鍵は・・・意思と力である。」(ヒトラー『我が闘争』)
「人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し保護することは、あらゆる国家権力の義務である。」(ドイツ連邦共和国基本砲第1条)
上の二つは、再現してはならない。そしてドイツでいいのは、連邦共和国基本法第1条だ、「人間の尊厳」であって「ドイツ人の尊厳」ではない…世界的な普遍性を持っていると述べられた。
西ドイツの「赤軍派」の弁護を続け、西ベルリンでオルターナティブの日刊紙tazを発行し「緑の党」を創設するも、そこに安住することなくドイツの「左翼平和主義者」の矜持を持ち続けたハンス=クリスティアン・シュトレーベレを紹介した後、ウクライナ戦争直後雄のドイツに見る「時代の転換」について語られた。現代のドイツは社会民主党・緑の党・自由民主党(これはネオリベ)の連立政権なのだが、2月27日にショルツ首相は「2022年2月24日は、我々の大陸の歴史に時代の転換を刻印した」と演説し、国会は連邦軍向けの1000億ユーロ(14兆円)の特別基金、軍事予算のGDP2%以上を計上した。ウクライナへの軍事支援が始まり、武器輸出も行われている。ドイツでは若者があ有り前の様にボランティア活動を行うが「ボランティアの義務化」による事実上の徴兵制再導入も目論まれている。街のあちこちで連邦軍のポスターが掲示されていると述べられた。
「武器なしに平和を創る」というのは、ドイツのプロテスタント教会の反戦スローガンであり、89年のライプチヒの民主化でも、強権国家に弾圧の口実を与えないという経験から来ているものだが、これが「プーチンの第五列」呼ばわりされるという逆風にさらされている。NATOという軍事同盟の存在が思考停止を招く実例となっている。
またドロテー・ゼレの本「軍拡は戦争がなくても人を殺す」を紹介され、軍拡をやれば福祉や教育にお金がまわらない。ドイツでも国民の16.6%、8人に一人が貧困に陥っており、子どもの貧困は5人に一人であると紹介された。
ドイツのみならず、世界もまた転換期である…格差・貧困、気候危機、パンデミック、戦争、インフレ、食糧・エネルギー危機など、文明に起因する問題に直面している。にもかかわらず「民主主義対専制主義」と言う安直な二項対立に陥っている。1970年代に「過剰な民主主義」批判が行われ、格差拡大の「新自由主義」が導入されていった。一人の人間が決めていくしかないという「強権主義」が現れ、右翼ポピュリズムの跳梁ともつながっていると現状認識を述べられた。
日本の状況は「2012年体制」という捉え方に賛成である。「安部国葬」はアベ政治の継続であり、首相は誰だっていい。G7は「自由・民主主義・人権」を建前としているが、日本では「世界の真ん中で輝く日本」であり、建前すら喪失している。安部、菅、岸田の「日本型オリガルヒ」は「(半)カルト国家」「無責任の体系」…「無責任の体制」を完成させたのはヒロヒト天皇であり、アベは21世紀の無責任体制の象徴的人物である。そして合理的思考を停止させるための装置としての反共主義がある。自民党を解体していく…そのためには、政治のフェミ内ゼーション(女性化)と若い人たちを取り込んでいくことが、民衆運動の課題であると述べられた。
講演終了後、予定では服部良一、社民党幹事長の国会報告であったのだが、新潟市長選挙の応援ということでメッセージのみ…なぜか代わりに菅孝之氏が昨日から関西に来ていたということで壇上に…
平和主義にとって困難な時代になった。日本政府は閣議決定による独裁と対米従属を続けている。モリカケサクラの仕上げが統一協会問題だ。若者が政治の場に登場できない環境にあるが、それを作って来たのは我々世代の責任である。資本主義を肯定しないアジール・抵抗の拠点をつくっていこうと述べられた。
続くよ…