先日の住民投票条例否決を許さないぞ!【議会編】で次のように書いた…
 続いて笹川議員は、大阪都構想の住民投票と今回の住民投票との違いは何か?と質問すると、吉村知事は「都構想は『大都市法』に基づいて、大阪市を特別区に再編する際に市民の意見を聞くため法律で住民投票を行うように定められている。IR設置についてはそれが義務付けられていない」などと答弁した。要するに法律で定められていないから、手続き的にはOKという論なのだが、それでは憲法や地方自治法に定められている住民投票に関する条項はどうなのだろう?ホント、目先の法律論で誤魔化すやり方は維新政治の最悪の方法である。

 大阪都構想をやるために2回も住民投票した時は「住民投票は究極の民主主義!」だとして前のめりにヤルヤルと言っていたのは、実は「大都市地域における特別区の設置に関する法律」に規定されていたから「仕方なく」住民投票をやったに過ぎない…と吉村府知事は答弁した。それに対し、IR設置についての「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」には、なぁ~んも住民投票についての規定はないので、住民投票はしなくていいんだということだ。もちろんここでも批判したように、地方自治法の第74条に基いて、有権者の1/50以上の連署で「住民投票条例を制定しろ!」という直接請求について、吉村府知事がないがしろにできるのは意味が分からないわけなんだが…
 そこを補完する形で吉村知事は「地方自治は代表制民主主義だから」という答弁を繰り返し、選挙で選ばれた首長と議会で充分話し合って決めたことだから、住民投票はやらなくてよいとした。これに対し、自民党の原田議員は、そこが不十分だったから、住民投票条例制定の直接請求が来たのだ、府民の声をちゃんと聴くために住民投票をやりましょうという、まっとうな質問を行ったわけだ。当たり前の話だが、代表制民主主義がうまく機能しない場合の補完的なものとして、住民投票などの直接民主主義的な手法が位置付けられており、憲法(国民投票や特定の地方のみに適用される法律の可否を決める住民投票)や地方自治法に定められているのである。

 ともあれ彼らは「法律に書いてないことは、しなくて良い!」ということで都合よくなんでも解釈してくる。かつて大阪市役所前や府庁前で、コロナ対策に市民にカネを出せ等の要求をしてきたが、維新首長の意をうけた市や府の役人どもは「国の制度どおりやっています」ぐらいの回答しかよこさない…独自でなにかやろうという発想…例えば70年代の革新自治体が、国の基準に先駆けて厳しい条例を作成し、公害対策や福祉政策を行ってきたような気概も何もない。維新の目玉政策に”教育無償化”があり「大阪府は高校を無償化した!」などと威張っている。実際は完全無償化ではなく、無償なのは授業料のみ、それも所得制限があるし、学費の安い公立高校を統廃合して、私立に行かざるを得なくしているところもある。そもそも公立高校は国の制度で授業料が無償化されている。(ちなみに朝鮮学校は差別政策により、無償化の対象外とされている)…まぁそれはともかく「現行法」や自治体の裁量でなんとでもできるのであるが、維新は教育無償化のために、憲法改正をなどと言っている。改憲の口実につかっているわけだが、逆に言うと憲法上に位置付け、国がイニシアチブをとってやらないとなぁ~んもやりませんよ!と言っているに等しいわけだ。

 彼らの言う「身を切る改革」にしても、政務調査費などはやりたい放題、文書通信費も国会で議論して法律を変えないと、自ら返納とか絶対にしない(それどころか、党組織にこっそり寄付・上納するありさま)…政党助成金なんぞ、共産党のように「受け取らない」という選択ができるにもかかわらず、やらない。ほんとうにご都合主義であり、また自らの利権にかかわることは、絶対に法改正もやらないでそのままにしておくだろう。

全国の皆さん、維新にだまされてはイケマセン!