大気中の二酸化炭素や水蒸気のような三原子以上の分子が、回転や振動によってその周期に応じた赤外線領域の電磁波を放射・吸収する。このような性質を「赤外活性」と呼び、吸収されたエネルギーが他の気体分子に伝わって大気を温めたり、放射した赤外線によって地表を温め、大気上層では宇宙空間に放熱する…この赤外活性気体による熱減少の総体を「温室効果」と呼んでいる。
 さてここに、地球表面で観測した大気からの下向き赤外線放射の図がある。
温暖化、大気からの下向き放射_0001
 参考図書図5.10 地球表面で観測した大気からの下向き赤外線放射
 上図の破線は、各温度Kに対する黒体の放射スペクトルを指名sている。水蒸気(H2O)は多くの範囲で赤外線を吸収・放射するのに対し、二酸化炭素(CO2)は波長15.01μmと4.26μm付近の限られた波長帯域の赤外線だけ吸収・放射する。CO2による地表面放射の吸収で元も重要なのは波長15μm付近であり、上図を見ると、観測されたスペクトルの包絡線は270K(-3.2℃)の黒体の放射スペクトルより少し低く、15μm付近の帯域では充分安定している。それに対し、8~12μmの帯域での放射は小さく、16~25μmの帯域では不安定である。これは「温室効果」を考えるにあたって大気中のCO2濃度は充分に高く、H2Oの濃度はまだまだ低いということを示している。
 従って、大気中のCO2濃度はすでに15μm付近の赤外線を放射・吸収するのに充分な濃度であり、これ以上濃度が上昇しても温室効果が大きくなることはない。
 金星は大気中のCO2濃度が96.5%あって、その「温室効果」により金星の表面温度は460℃にもなっている。しかし、同時に金星の大気は地球よりも50㎞くらい厚い!大気圧は92気圧もある。ところで金星の大気が仮に100%二酸化炭素であったとしても、乾燥断熱逓減率は地球大気とほぼ同等の9.1(K/㎞)、地球の大気が仮に金星並みにあと50㎞厚くなれば、地表の気温は778K(500℃超え)、逆に金星付近の大気を断熱的に1気圧まで減圧すると、-12.6℃となる。金星の大気温度が高い理由は、金星大気が分厚く、大気圧がべらぼうに高いからである。
温暖化、都市化の影響を取りのぞく_0001
 参考図書 図3.27 都市化の影響を取り除いた地球の気温変動とCO2濃度
 上図は名古屋産業大学の小川克郎氏らのグループは、NASA/ GISSの気温データベースから人口1000人以下の気温観測点データを使って傾向を分析したものである。気温は都市化の影響をあまりうけていないものだと考えられる。そうすると、CO2はほぼ一直線に右肩上がりなのに対し、気温は上昇したり下降したり、産業革命以降、1930年代までは上昇、その後1970年代までは下降し、8~90年代は上昇、21世紀に入ってまた下降している。二酸化炭素の濃度が上昇して、気温も上がり続けるとなっているわけではない。
温暖化、気温と二酸化炭素_0001
 参考図書 図4.25大気中のCO2濃度の変化率と世界月平均気温偏差の変化率(p186)
 上図は槌田敦と近藤邦明氏が作成s他グラフであり、世界月平均気温偏差の変化率が変動し、その後1年ほど遅れてCO2濃度の変化率が追随している。そう、気温の上昇傾向が先で、二酸化炭素の濃度上昇が後なのだ。
 気温が上昇すれば、すなわち海水温も上昇するだろう(あるいは海水温の上昇が先かもしれない)そうすると、溶解度の小さい二酸化炭素は、海水温の上昇とともに海水から出てくる!ということで説明がつくのである。(実際はそんな単純なものではないが)
 産業革命後に気温が「自然に」上昇しているのであれば、その結果として二酸化炭素濃度も上昇していると言えるのではないだろうか?(つづく)
参考図書:検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]
検証温暖化 20世紀の温暖化の実像を探る (シリーズ「環境問題を考える」) [ 近藤邦明 ]